- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120040375
作品紹介・あらすじ
なにをやっても一定の振幅で収まってしまうのをふがいなく思わず、むしろその窮屈さに可能性を見いだし、夢想をゆだねてみること。正弦曲線とは、つまり、優雅な袋小路なのだ。言葉と暮らしをめぐる省察の連鎖。
感想・レビュー・書評
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読書することの楽しみを教えてくれる本。好きです。
教養が読書を深め、読書の深みが自分の栄養になる。そんな風に本を読めたら最高にしあわせです。
多読よりも深く読みたい。全身で味わって、自分の感性で楽しみたい。
本読む人としても、堀江敏幸にあこがれます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
堀江さんの本は
詩をよむ速度で
ゆっくり ゆっくり
口の中の角砂糖を溶かすみたいに
ゆっくり ゆっくり -
この人の文章を読むのは初めて。
漢字とひらがなのバランスがあたたかい。 -
これも装丁にひとめぼれ。
ケースにはエンボス加工がされていて、とても美しい本。
エッセイで、著者のとても穏やかな人柄が滲み出る。小説も柔らかい文体ではあるが、それとは異なる柔らかい文体で、読みやすい。 -
ゆっくり、繰り返し読みたい本
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2015/01/30
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小島慶子さんお薦めの一冊。私にはちょっと難しかったかな。いつかまた読んでみたい。
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本文にある「ああ、あのときの、あの本がこれかと感慨にふけって、出会っていながらほんとうの意味を読み取ることができなかった過去の自分と、それを現在の自分の間の途方もない距離に嘆息する」っていう経験をまさにさせてくれる本だと。
猛烈にジネット・ヌヴーが聴きたくなる。 -
堀江敏幸「正弦曲線」読んだ。http://tinyurl.com/3pcm5wq ごく短い完全な創作話/身辺雑記で、静かなトーンと少しのユーモアは他作と変わらずだけど、気持ちにぐっと入り込んでくる内容のものが多かった。今の自分のせいかな?紙飛行機、落ち葉の栞、風の流線、赤い折鶴。
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なにをやっても一定の振幅で収まる窮屈さに可能性を見出す
「優雅な袋小路」
山と田畑が直行する日本、緩斜面で構成される英国
「絶対無比の曲線を見つめて」
「人間は、善くないから」と話すイルカの声が正弦曲線だった
「沈没船とイルカ」
パジャマのポケットに何を入れるべきなのか考える
「昼のパジャマ」
孤島と無人島は似たイメージだが実際の定義は異なる
「曖昧な海に浮かぶふたつの島」
グライダーはふたつの風速の差を活用して上昇エネルギーに変換する
「風の接線」
落とすことを前提として測量士のおじさんに手帳を紹介してもらう
「野帳友の会」
聞くとは相手の言葉を受け止め、自分でも驚くような表現が出る可能性をもつ
「ぼんやりとは聞けない」
古書店で見つけた木の図鑑のあいだにたくさんの押し葉が入っていた
「押し葉が本のあいだから」
装丁:間村俊一
タイトルの正弦曲線に通じてイルカの音波とか
センターフライの描く放物線とかオブラートの楕円とか
曲線をモチーフにした小品集です。
ふとしたエピソードや外国のお店で出会った小物から
ぽーんと飛んだ発想がたくさんつまっています。面白い。