残像に口紅を

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 159
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120017872

作品紹介・あらすじ

ひとつ、またひとつ、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい。言語が消滅してゆく世界で、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家…ついに書かれた究極の実験的長編。

感想・レビュー・書評

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  • 世界からひとつずつ、文字が消えていく。「あ」が消えれば「愛」や「朝」が消える。そうしてあと10文字、あと5文字と消滅していき… 文字が消えることでその文字が含まれる人や概念も消えていき、どんどん寂しく切なくなっていく。文字がなくなっていくのにきちんと意味をなす物語が構築されているのがすごい。うっかりなくなったはずの文字を使っていないかチェックしてみたりして。

  • 翻訳不可能。

  • 言葉が消えていくという実験小説ですが、それがエンターテインメントとしての最高の面白さにつながっているという稀有な作品と思います。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ひとつ、またひとつ、ことばが消えてゆく。愛するものを失うことは、とても哀しい。言語が消滅してゆく世界で、執筆し、飲食し、講演し、交情する小説家…ついに書かれた究極の実験的長編。

  • 筒井氏は、わりと好きな作家。
    超有名なあの作品は未読なのに、チラホラと話題性ありげな作品は読んでいる。
    やっぱり、面白い。
    いつか、あの超有名作品を読まないと。

  • 幽白の蔵馬VS海藤の元ネタらしい、と聞いて前から気になっていた作品。
    「文字が一つずつ消えていく」なんて設定だし、「時をかける少女」が予想外に短かったのもあって、これも短編なんだろうと思っていたら一冊まるごとこの作品だった。
    逆じゃない?!
    でも、多分だけど、時かけよりずっと書くの楽しかったんかないかなと思われる…。
    主人公も作家で、自分が書いている作品を司る立場、残像に口紅を」という文字が消えていく世界を生きる立場、更に消えていく世界を創造する立場という3つを自由に行き来している。
    その流れが面白い。
    文字が消えていってもこれだけ書けるのか…!というのももちろん面白い。
    そういった面白さに対して、結末はちょっと肩透かし。
    まあこれしかないだろうけど…。
    タイトルに繋がる部分が一番好き。

  • 評価が微妙な作品だ・・・

    私、筒井さんは嫌いではない、、、でもすごい好きって分けでもなく、でもまぁ、この方法でよくこの分量が書けるなぁ、という敬意は持った

  • 2018/12/05/Wed.(図書館で借りる)

    アメトーークの「読書芸人」でカズレーザーがプッシュしてて興味が湧いた。
    2017年12月に図書館で予約したんだけど、かなりの人数で順番待ちだったらしく、私が借りられたのは結局1年後の2018年12月(笑)。

    2018/12/06/Thu.〜2018/12/19/Wed.

  • 虚構船団まで読んで先生のメタフィクション物はどうにも面倒くさく長い間ほっておいたのだが、カズレーザーに促され読了。序盤は言葉遊びが楽しく、消えた元の言葉を探す、クイズの様相で読むものだから時間がかかる。どこかに完全版を誰かがアップしてそうなものだが。「ご」が消えた章で略称が一世風靡した女性タレントの名前が後藤久美子、すなわち「ゴクミ」だと気づいた際の快感は忘れられない。文章の離れ業もさることながら、先生のことだから何かしら物語の仕掛けをかけてくるはずと思ったが、早いうちに娘を消して、センチメンタルはないものと分かった。お家芸のドタバタを経て、この条件設定ならではとクライマックスまで連なるおそらくリアルな自伝はとてつもなく胸をえぐった。つまりギミックでは済まされない傑作なのだ。

  • 言葉(音)がだんだん失われていく実験的小説。小説で使える言葉がだんだん減っていくので、最後まで小説の体をなしたまま行けるのか心配だったが、それは無用だった。言葉をたくさん知っている著書だから芸当なのは言うまでもない。もう見事としか言いようがなく、きっちりと最後まで読ませてもらい、読後は清々しさまで感じる。挿し絵がかわいい。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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