- Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106465062
作品紹介・あらすじ
キリスト教世界の統合という高邁な理想を掲げ十字軍派遣に命を賭したピオ二世。法王庁の堕落を批判し反旗をひるがえした修道士サヴォナローラに対し、泰然と応じた老獪な策士アレッサンドロ六世。西欧の列強を巧みに利用することでイタリア統一を目指したジュリオ二世。芸術と豪奢を愛し、法王庁を食いつぶしたメディチ家出身のレオーネ十世。-ルネサンス後期に君臨したあまりに個性的な四人の法王の姿を通し、宗教と人間の本質に迫り、時代を鮮やかに浮彫りにする。また、初めて収録した著者自身による執筆当時の回想(メイキング)は、自伝とも言いうる内容で、塩野文学の核心を明かす好読物。
感想・レビュー・書評
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塩野七生のルネサンス著作集その6。
綿密な資料調査と鋭い洞察力によって描き出される“神の代理人”ローマ法王の物語です。
ルネサンス後期の4人の法王をとりあげた4編から成っていて、キリスト教のことをよく知らなくても、歴史上の個性豊かな人物たちの物語として楽しめます。もちろん、当時のイタリアと周辺諸国についてもよくわかる。
筆者も「宗教人としてではなく、組織を率いるリーダーとしての面に照明を当てた。」と述べている通り、リーダー論としても面白く読める一冊です。
ところどころに現れる、辛口塩野節がやっぱり痛快。 -
3.93/179
内容(「BOOK」データベースより)
『キリスト教世界の統合という高邁な理想を掲げ十字軍派遣に命を賭したピオ二世。法王庁の堕落を批判し反旗をひるがえした修道士サヴォナローラに対し、泰然と応じた老獪な策士アレッサンドロ六世。西欧の列強を巧みに利用することでイタリア統一を目指したジュリオ二世。芸術と豪奢を愛し、法王庁を食いつぶしたメディチ家出身のレオーネ十世。―ルネサンス後期に君臨したあまりに個性的な四人の法王の姿を通し、宗教と人間の本質に迫り、時代を鮮やかに浮彫りにする。また、初めて収録した著者自身による執筆当時の回想(メイキング)は、自伝とも言いうる内容で、塩野文学の核心を明かす好読物。』
『神の代理人』
(塩野七生ルネサンス著作集)
著者:塩野 七生(しおの ななみ)
出版社 : 新潮社
単行本 : 420ページ -
ルネサンス期のローマ教皇のお話。
まあ例によって塩野史観なのだけど、読み物としては面白い。 -
2番目のアッレサンドロ6世とサヴォナローラの抗争を読みたく本書を取る。
ちょっとした不誠実な対応からサヴォナローラへのフィレンツェ市民の信頼が短期に崩壊するのが怖い。
どちらが正義の味方か悪役かという表層的な書き方出ないのが良い。 -
4人のローマ教皇が描かれている
サヴォナローラが出色 -
このシリーズにしてはそんなにおもしろくなかったんだけど最後まで読み解くことはできた
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こちらも再読。新潮文庫から新しい版が出たため。
ペテロから始まる、神の代理人である法王たちの物語。
時系列に沿って
「最後の十字軍」ピオ2世
「アレッサンドロ6世とサヴォナローラ」アレッサンドロ6世
「剣と十字架」ジュリオ2世
「ローマ・16世紀初頭」レオーネ10世
の4編からなる。
キリスト教徒の頂点に立つ法王と言えばさぞかし徳が高く敬虔な人なのだろうという幻想を打ち砕いてくれる。今はどうか知らないが、ルネサンス期の法王として描かれる彼らの姿はどこまでも人間である。
中でもアレッサンドロ6世とサヴォナローラの対決が読み物として非常に面白い。政治的駆け引きに長けた老人と、信仰を貫くが現実が見えていない修道士という二人の戦い。
ローマとフィレンツェを往復する書簡から窺える両者の立ち位置の違いが印象的。
他の法王3名は美点より欠点が書かれすぎて今ひとつ乗れない。作者の贔屓目かもしれない。 -
ルネサンス期の人間的な法王像。ルター時代のイタリア半島とスペインとドイツの関係も描かれていて、興味深い。