悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107757

作品紹介・あらすじ

守銭奴、女好き、瀆神者。なれど、その音色は超絶無比。19世紀の悪魔ブームをブランディングに用い、超絶技巧で人々を熱狂させた「史上最強の演奏家」パガニーニ。謎と伝説に包まれたその生涯を解き明かす、本邦初の伝記。

感想・レビュー・書評

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  • パガニーニという音楽家の名前は聞いた事があったけど、詳しくは知らなかったので、図書館の新刊コーナーにあったこの本を手に取った。超絶技巧のヴァイオリニストで、生きる悪魔のようなその風貌でヨーロッパを席捲した音楽家。死して埋葬される事なく、5年間も棺のまま放浪を余儀なくされて、まさに伝説の音楽家と言えそう。ヨーロッパの歴史やヴァイオリンの歴史も簡単に記されていたし、なかなか興味深かった。パガニーニの音楽も動画で確認してみた。聞いた事のある曲もあり、あぁと納得。
    けれど、本人のヴァイオリン演奏、実際に聴いてみたかった。

  • 『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』が面白かったので、こちらも手に取った。
    やっぱり面白い!

    音楽史でもなく、ただの歴史でもない。
    切り口が斬新だし、愛ある分析だなぁと思う。

  • 【書評】ピアニスト、文筆家・青柳いづみこが読む 『悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝』浦久俊彦著 教会から36年間も埋葬を拒否された天才 - 産経ニュース
    http://www.sankei.com/life/news/180819/lif1808190015-n1.html

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    ニコロ・パガニーニ。全身黒ずくめの姿で繰り出す超絶技巧で人々を熱狂させた、空前絶後のヴァイオリニストである。「悪魔ブーム」をブランディングに用い、巨万の富を築いた守銭奴にして女好き。「無神論者」の烙印を押され、遺体となっても欧州をさまよった彼には、「幽霊となっても音楽を奏でている」との伝説も生まれた。十九世紀に鮮やかな刻印を残した「西洋音楽史のメフィストフェレス」、本邦初の伝記。
    http://www.shinchosha.co.jp/book/610775/

  • 第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」2時間目 音楽で紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2021.05.03

  • 中世から近世史に興味がある私。最近、再度ブーニンの世界に浸っている事もあって『天才の名をほしいままにした男』の象に迫る分析の旅はなかなか面白かった。

    パガニーニの名は知っていても、具体的にはバイオリンの名手とだけ知るのみ。ドラクロアが彼の肖像を描いていたのは驚いたし、こういったデモーニッシュなイメージに包まれていたとは。

    遺体が数十年に渡り、欧州を彷徨ったことは「狂えるスペインの王女」のエピソードが被った。

    最後の章でストラディバリとそれを上回るグァルネリ・デル・ジュスの話がある。初めて知った名前ながら、ルネサンス期、職人の世界‥で如何にもの内容。
    私が思う天才のイメージだし、カラヴァッジオ、そしてブーニンにもつながった(彼はかなり真摯に生きているヒューマニストだけれど枠にはまって大衆が望むような常識的なラインを歩んでいないように。。)

    200年前に活躍した天才。演奏家が宮廷の、皇帝の慰みだった存在から一気に「稼げる」アーティストになったさきがけ・・自らを悪魔とやつすことはある意味パフォーマンスであろうし、折からのクリエーター―時代(作曲家の大活躍と曲の誕生)と相まって社会現象にすらならしめたことは確か。

    パガニーニカルテットと称されるヴァイオリンとその同属楽器による究極カルテット・・が彼の夢だった・・それが今なお、引き継がれている締めくくりが素晴らしい。

  • ●パガニーニ、その驚異的な技巧でヨーロッパ中を狂乱させ、「悪魔」と呼ばれたバイオリニストである。ナポレオンの妹など貴婦人たちに囲まれ、博打と酒と女に溺れた守銭奴。バイオリンを片手に、かつてどんな音楽家も夢見ることすらできなかった巨万の富を築き、病弱で干からびたように死んでいった1人の音楽科。
    ●バイオリンの5世紀に及ぶ歴史の中で、彼に匹敵するバイオリニストは、現在に至るまでただの1人も現れなかった。
    ● 7歳で楽器を手にしたとして、9歳で公開演奏会を行ったとすれば、たった2年間でほぼ1通の奏法をマスターしたことになる。正真正銘の天才である。
    ●彼の奏法には、いわゆるメソッド(教則本)と呼べるようなものはなかったと言われている。
    ● 1801年からの数年間は、全く空白となっている。本人曰く「農園を経営し、毎日ギターを弾いていた」
    だからパガニーニのギター曲が数多く残っている。ギターとバイオリンのために作曲した曲のいくつかを聞いてみると、そこには優美で澄みきった紛れもない「歌」があることがわかる。
    ● 1827年、ローマ教皇から黄金拍車勲章を授けられた。5段階の第二ランクに相当する名誉ある勲章。かのモーツァルトに授けられたのもこの勲章である。
    ●イギリスで1年間開催した151回の演奏会の収益が、約80億円。
    ●「ゲーテとの対話」には、悪魔的と芸術について語る件で、パガニーニが登場してくる。悪魔的なものとは、悟性や理性では解き明かし得ないもののことだ。芸術家の中では音楽家に多く…
    ●パガニーニの方唯一の弟子として知られているのが、ジェノバ出身のバイオリニスト、カミーロ・シボリである。
    ●パリでパガニーニの名を冠した豪華なアミューズメント施設を建設すると言う計画にまんまと騙されて、大金をむしりとられたと言う話がある。
    ●ルネサンスは、人間が感情と理性を獲得するための運動でもあった。そこで誕生した楽器がバイオリンである。初めから人の声を模倣し、人間の感情を表現できる楽器として運命づけられていたからだ。初めて人間の合唱に匹敵する音量と音質の微妙なニュアンスを、弦楽器だけで表現できるようになる。
    ●ストラディバリウスをも凌駕すると言われたバイオリンがわずかだが存在する。グアルネリ・デル・ジェスと呼ばれる。製作者は、バルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・グァルネリである。その中の一挺が、パガニーニの生涯の伴侶と言うべき愛器「カノーネ」である。

  •  かつてビートルズはフェノメノンであると言われた時代があった。本書の主人公であるパガニーニも百数十年前のヨーロッパを席巻したフェノメノンだったと言えるようである。

  • バイオリンの伝説的名手パガニーニの伝記。1782年生まれ1840年没。
    彼が生きた時代には、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、リストなどとの影響や関係も深い。
    ナポレオンの妹との関係なども興味を引く。
    どれだけバイオリンを弾きこなしたのかは、さまざまな評価が残っているのでそれからの推定だが誰をも感心させるだけ室の高いものであった。
    パガニーニの生きた時代のヨーロッパを知りつつ読み進むのも勉強になった。
    最終章では、バイオリンとはどういう楽器かについても書かれており音楽の門外漢としてはよい知識を得た。

  • 演奏家がお金を稼げるようになった時代に出てきた、稀代のパフォーマーということか

  • 「悪魔のヴァイオリニスト」と呼ばれていたパガニーニ。
     二つ名の由来は、人間離れした超絶技巧と演奏スタイルだけではなくて、自己プロデュースでキャラ立ちさせていたこと、そして病のせいもあったのだそうな!
     病気のデパートみたいな人だったのに、よくまあヨーロッパ中演奏旅行してまわってたよ。
     ナポレオン一族に囲われてたりとか、ロッシーニら有名音楽家との交流とか、時代のせいもあったのでしょうが、ナカナカ激しい一生を送った人のようです。

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著者プロフィール

1961年生まれ。文筆家・文化芸術プロデューサー。一般財団法人欧州日本藝術財団代表理事。代官山未来音楽塾塾頭。サラマンカホール音楽監督。フランスを拠点に作曲、音楽研究活動に携わったのち帰国。三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。多彩なアーティストのオリジナル企画を手がけるほか、文化芸術のナビゲーターとしても全国で活躍している。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』『138億年の音楽史』『ベートーヴェンと日本人』など。2021年、サラマンカホール音楽監督としての企画で、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞した。

「2021年 『「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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