- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106107542
作品紹介・あらすじ
41歳で脳梗塞になった後、僕は僕じゃなくなった!? 夜泣きにガン見、小銭が数えられず、電話も会話もできない……リハビリ後に悩まされた思いもよらぬ困難と、その克服までを描く。『脳が壊れた』著者最新刊。
感想・レビュー・書評
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脳梗塞を発症し、高次脳機能障害が残った著者から見たとき、どんなことが起きていたかが述べられている一冊。
ご自身の身に起きた変化を、感じた違和感を、ここまで観察し、文字に残すことができるのか!と、驚きとともに読みました。
何が苦手で、どんな配慮や工夫があれば、パニックに陥ることなく過ごせるのか。
妻のサポートが合理的でさっぱりしていていいな、と思いながら読みみました
伴走者の基本姿勢は肯定。
浩二脳機能領外どうして苦しいのか、自分でもわからない。苦しいということすら、人に伝えられなくなる。
「そばにいてくれるだけ」でできることが増えていくという。それもまた今まで気づくことのできなかった観点だったので、はたと膝を打ちました。
支援者として、そしていつか支援を受ける側に立つものとして、多くの学びが得られる一冊でした。
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ここまで詳細に経過と症状をご自身の内省を踏まえて書いたものは珍しいのでは無いか。
医療者側と患者側の「障害」の捉え方に大きな差を感じる。
患者側が感じている「生き辛さ=障害」を非常にわかりやすく言語化されているのが、とても勉強になる。
私自身、高次脳機能障害に深く関連する医療者なのだが、学校で教えられるのは「〇〇障害」=「〜が出来なくなる」「〇〇の検査で何点以下」というような内容である。その為、この著者が書いているような、実際の生活上の困難さに対して落とし込む事が出来ていない者たちが多くいる。(私も含めて)。
この本は、高次脳機能障害がいかに生活に困難さを与えるのか、そして私たち医療者の仕事は、その生活に困難さを覚えている人達と共に生きる事であるという事を教えてくれる。 -
自身も記す通り、かなりの部分で回復した後に書かれた本書だけに、前作よりもまとまった内容。前作のエッセンスも盛り込まれているから、時間が無ければ本書だけでも可。そもそも言語化能力に長けた人の手になる、なかなか理解されづらい領域の内容だけに、資料的価値も高い。
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いくら話せないと訴えても、医療関係者は話せてますよとしか言ってくれない。当事者研究の意義を余すところなく伝えている。
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脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害にかかり、そこから回復できた筆者が、障害の時の気分や体調を言語化した貴重な本(筆者談)。感情や言動がうまく表現できなかったり歯止めが利かなくなる時の状況が分かりやすく伝わる。
本人は苦しみ、もがいていても医者や周囲の人の理解が得られずに孤独を感じてしまう様子も、明るい調子ながら克明に文章化されている。
筆者の妻が発達障害を持っており、以前はその妻を支える立場だったのが、逆に支えてもらう立場になった。その筆者が最後の方で語る、「高次脳機能障害者を扱えない組織・上司はダメだ」という言葉に説得力がある。
本書は脳機能の障害を持った人への理解を深めると共に、昨今言われている多様性、「自分と異なる考えの人との関わり」の在り方考えさせられる。 -
2021年11月8日購入。
2022年11月7日読了。 -
なかなか当事者が言語化するのは難しい障害だから、こういう本とっても貴重だと思う。
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社会学部 金澤ますみ先生 推薦コメント
『脳梗塞をきっかけに高次脳機能障害となったルポライターが、当事者の視点で記す日々の暮らし』
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/616757 -
著者の症状と、私の母の症状が酷似。別の診断名で治療中の母。読了後、母は高次脳機能障害だと確信した。著者が懸命なリハビリによって回復していく姿は、改善しない母を見続けてきた私に希望を持たせてくれた。
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★体験記を書けた病状と能力が両立★脳梗塞からのその後の回復記。「脳コワさん」という表現で困った日々を少しでも深刻に感じさせない妻の工夫が光る。妻が発達障害だから分かる部分があるというのが興味深い。前著に比べると、純粋な回復記に近づいている。できることとできないこと、それを周りに理解してもらうことの大切さと難しさがよく分かる。