戦争と平和 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
3.92
  • (47)
  • (69)
  • (42)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 572
感想 : 58
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107313

作品紹介・あらすじ

「ゼロ戦」はなぜ敗れたのか。日本は絶対に戦争をしてはいけない。日本人ほど戦争に向かない民族はいないのだから――。大ベストセラー『永遠の0』著者が今こそ放つ、圧倒的説得力の反戦論!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書を終戦記念日に手にした理由
    ①毎年8月には大戦に関する書籍を意識して手にするようにしている
    ②本日、戦艦「武蔵」レイテに死す(豊田穣著)を読了し、私が先の大戦に関する書籍を手にするようになったきっかけの1つが「永遠の0」(百田尚樹著)を読み感銘を受けたことを強く思い出したから

    という理由で本書「戦争と平和」(百田尚樹著)を手にしました。

    3章から構成された本書ですが、非常にわかりやすい。

    そして、改めて自分がいかに無知であるかに気づかされました。

    第3章 護憲派に告ぐ
    非常に興味深く、私なりに知識を深めることが出来、私なりに憲法改正の必要性を感じることが出来ました。

    戦争の理解とは、個々の戦場の詳細や、兵器の知識ではありません。そんなものをいくら知っても戦争を理解したことにはなりません。戦争を真に知るとは、その戦場で戦った男たちの心の中に入ることです。彼らの帰りを待つ者の気持ちに入ることです。
    (第2章の中で出てきた印象的な言葉です)

    (/-\*)
    確かにそうかも知れません。
    「永遠の0」を見た時、先日読み終えた「ソ連兵へ差し出された娘たち」(平井美帆著)を読み終えた時には少しは感情移入していた気がしますが、それ以外は知ることを主眼とした読書になっています。

    「平和」について語るには、「戦争」を知る必要があると、私は考えています。
    (まえがきより)

    無知故に、私なりに「戦争」を知る為、先ずは何が起こっていたのか(史実)を知る事はこれからも続けていきたい。




    最強のゼロ戦はなぜ敗れたのか――
    『永遠の0』著者が放つ圧倒的説得力の反戦論!

    まえがき

    第一章 ゼロ戦とグラマン
    極限状況下に短所は現れる/根本から異なる設計思想/職人技を求める日本
    高すぎる要求水準/パイロットの命をどう考えるか/ゼロ戦と日本刀
    日本には「盾の思想」がない/戦で人が死なない国/悪いことを考えると実現する?
    撃たれなければいいのだ/日本国憲法は「万が一」を想定していない/ダメージコントロールを重視したアメリカ
    浸水にどう対処するか/閉鎖式格納庫と開放式格納庫/アメリカは防御重視
    原爆並みの開発費を投じたVT信管/使い捨てられた熟練パイロット/ガダルカナルの消耗戦
    名人芸への過大な期待/救命ボートに釣竿も完備/ヒューマニズムではなく合理主義
    遠方からの攻撃能力/データ重視の弊害/牛に引かれて進むゼロ戦
    曖昧さを許さない日本人/ハンドルにバリエーションは必要なのか/戦場で銃は使い分けられない
    補給の重要性を理解していなかった/石油を死守できなかった/一騎打ち幻想
    戦争とは長引くものである/硬直した官僚制度の弊害/弱気になるエリートたち
    上層部の無責任体質/戦争の目的/最悪を想定しない日本人

    第二章 『永遠の0』は戦争賛美小説か
    五〇歳の決心/小説家を目指した動機/戦争を語り継ぐ
    戦争は遠い歴史になった/宮部久蔵とは何者か/『永遠の0』で描きたかったもの
    朝日新聞からの批判/戦争賛美か?/読まずに批判する人たち
    右翼と戦記マニアからの非難/お世話になった人たち/口コミと書店の後押し
    そして四五〇万部に

    第三章 護憲派に告ぐ
    永世中立国スイス/自衛隊は軍隊ではない/能登半島沖不審船事件
    世界の軍隊/NATOの戦争抑止力/集団的自衛権に反対する文化人たち
    放送法の問題点/机上の空論で国は守れない/日本国憲法を作ったのはGHQ
    自衛隊は憲法違反/憲法学者は神学者か/護憲派の論理
    九条教という宗教/戦争を回避できるのはリアリスト/リアリストとロマンチスト
    日米安保で日本は守られるか/日本を守るのは日本人

    内容(「BOOK」データベースより)

    日本は絶対に戦争をしてはいけない。日本人ほど、戦争に向かない民族はいないのだから―。「ゼロ戦」と「グラマン」の徹底比較から見えてきた、私たちの致命的な欠点とは何か。ベストセラー『永遠の0』に秘めた、本当の想いとは。作家が「何としても戦争を回避しなければならない」という強い想いから真摯に綴った、圧倒的説得力の反戦論。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    百田/尚樹
    1956(昭和31)年大阪市生まれ。同志社大学中退。放送作家として「探偵!ナイトスクープ」等の番組構成を手掛ける。2006年『永遠の0』で作家デビュー。他著書に『海賊とよばれた男』(第十回本屋大賞受賞)等多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • とてもわかりやすく日本と戦争の位置付けを語った本です。

    世界で唯一の被爆国日本。その中でたった二箇所の被爆地広島と長崎。

    長崎に暮らす私は8月9日という原爆投下の日は必ず登校日で平和学習を受けてきました。少なくとも毎年、戦争の犠牲になった方のことに思いを馳せ、平和を祈るそんな少年時代でした。

    進学のため、大阪に出た時にそんな登校日はないことを知った時はビックリしました。

    ただ私が子供の頃に学んでいたことは戦争を始めた私たちが悪いという自虐史観によってなされていたことも本書を通して知ることができました。

    外交のためにも、自分の国を自分たちで守るためにも憲法の改正は必要という認識になりました。
    様々な考え方もあると思いますが、今後の日本を考える上で無関心ではいられないことを考えさせられる良書です。オススメ!

  • 「日本が平和であり続けるために何ができるのか」を考えるきっかけを与えてくれる本です。また、戦争から見てとれる日本人の性格、憲法改正の論点、百田尚樹さんが作家になったきっかけなどを知ることができ、大満足でした。本書を読むと、日本が戦後70年以上も平和であり続けたのは、運が良かっただけなのでは、という気さえしてきます。最悪な事態を想定すること、時代にあった柔軟な対応をすることが大切だなと感じました。

  • 捕虜になるくらいなら死んだほうがマシだと考える日本軍の兵士たち。
    遠方に出る際に、落下傘すら持たずに出撃する覚悟。
    戻れないなら死を選ぶ勇ましさ。
    それに引き換え、アメリカ軍は、パラシュートを積むのは当然。
    水上に不時着することを考えて、救命用のゴムボートや救急セット、それから、海水を真水に変える装置まで積んでいたそうです。
    いざとなったら生き延びるために、食用に魚を釣るため釣り竿まで用意されていたのですから、アメリカ兵士達は大事にされていたのですね。

    まったく日本人の精神的強さには感服いたします。

    • hei5さん
      兵士を大事にするというのは、人名よりもむしろ、
      兵力の減退防除の目的が強いようですね。
      兵士の心身の健康も含めて、「兵士も貴重な武具」
      この...
      兵士を大事にするというのは、人名よりもむしろ、
      兵力の減退防除の目的が強いようですね。
      兵士の心身の健康も含めて、「兵士も貴重な武具」
      この観点が 旧日本帝国軍には根本から欠如していたようです
      2024/01/02
  • 日本人の民族性から展開される反戦論。
    平和ボケの日本人には必読と思います。

    本書では、全3章からなっており、
    第1章ではゼロ戦とグラマンの設計思想をベースに日本人の思考を明らかにし、さらに、戦争状況下の日本人の思想・行動から、日本人は戦争に向いていない民族という論旨を展開しています。
    この考え方は今までなかったのでとても新鮮でした。

    技術を突き詰めたゼロ戦に対して、大量生産が可能なグラマン。
    職人気質で技術を研ぎ澄ます日本人に対して、合理主義なアメリカ。
    攻めることばかりで守りを考えない日本人。
    言霊信仰ゆえにリスクを考えない日本人に対して、対策、リスク管理がしっかりされているアメリカ。
    責任が問われない高級士官。
    戦闘状況にありながらも縦割りでありつづける官僚制度。
    最悪の状態を想定しない日本人の性格。
    などなど。
    日本人が戦争に向いていない民族ということを様々な事例を基に語っています。
    ここで指摘されている内容、民族性はまさに、現在の日本人そのものであり(当り前か)、戦争じゃなくてもビジネスの世界でも同じことが起きていると思います。

    第二章では「永遠の0」にこめた思いが語られています。
    これについては、なんら異論はありません。
    「永遠の0」で語られるセリフが引用され、小説の世界観に引き込まれます。

    第三章では自衛隊をテーマに、護憲派に対してのメッセージ、さらに、戦争抑止に必要なモノは何か?を強く伝えています。
    そのための憲法はどうあるべきか。
    我々もしっかり考えなければなりません。

    ということで、戦争を回避するためにはどうすればよいか、とてもわかりやすく、伝えている内容となっています。
    今まさに、必読の書です。

  • 「永遠の0」も読んだし、8月だからこういうのも読んどかなきゃ。と思って読みました。
    日本人がいかに戦争に向かない民族だったかという分析はなかなか興味深かった。歴史を省みて、日本の「いくさ」は敵方の大将の首をとれば「勝ち」。しかし人種・民族や宗教対立が続いたヨーロッパなどの歴史では、市民も含め、皆殺しにするのが当たり前。何を目的に戦争をするのか、そもそも感覚が違う。
    ゼロ戦は背後からの攻撃にまったく無防備だった。できるだけ身軽に戦える戦闘機を開発して、「もし背後から狙われたらどうするのか?」ということは考えず、ちらっと考えたとしても「撃たれなければいい」ということにした。
    その他、自衛隊をどうするか、憲法改正をどうするのか、多角的に考えるのに非常に参考になった。
    百田氏の言っていることは本当にもっともなことで、戦後70年以上たっても一文字たりとも憲法が改正されず、誰がどう見ても自衛隊の存在と憲法に矛盾が存在する現在、改正議論が加速するのは当然だとは思うが、様々な意見を一つにまとめて憲法を改正するのは至難の業だと思う。
    本書でも最後の方は、やっぱり反対派(護憲派)に対してけっこう挑発的な感じになっていて、それがまた面白おかしくもあるのだけど、こうやってけんか腰の議論になると結局はまとまらないんだよなぁ…と思ってしまう。

  • もっともなことをいっているなぁ、という部分も多いんだけど、相変わらず、「俺は正しい、同意しないやつじゃバカ」というスタイルと、他者攻撃をするあたりは鼻白む。

  • 至極まともなことを書いておられるが、その小説といっしょでわかりやすくエンターテインメントの匂いのする言動でコテンパンに護憲派を斬って捨てるので嫌われるのでしょうね。万人にわかるように、当たり前のことを凄く単純化して書かれているので、逆に誤解されるんだろうなと感じます。
    記載されていることはほぼ既知のことでしたが、名古屋の三菱重工で作ったゼロ戦を一度分解して、牛に運ばせて各務原の飛行場まで運んでいたというのは知りませんでした。本当に唖然としました。

  • 目新しい事が書かれている訳ではなかったけど、とてもわかり易く書かれているので、いろんな方に読んでもらいたいなと思います。 日本人の中にも、いろんな考え方をする人がいるのは当たり前だし、それが健全な事だと思うけど、日本人なのに反日思想を持っている人が少なからずいる事が、本当に理解できない。

  • 百田尚樹ってどんな思想を持ってるのか?を理解したかったので読んでみた。
    改憲派の人も戦争はしたくない、だけど他国に攻められる可能性はあるんだからそれに対抗する手立ては作っとかなきゃでしょってことなのね。

    言いたいことはわかるけど、自分と意見が合わない人をとことん責める口調で罵るあたり、本当に戦争する気ないの?と思ってしまう…笑

    そして万が一に備える、だとしても、その万が一に備える軍隊にいかされるのは国民だよね。
    私たちの世代かもしれないし、もしくは私たちの子供かもしれない。国のために死ぬことが本当の幸せなのか今一度考える必要があると思う。

全58件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

百田尚樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×