プリンス論 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106347

作品紹介・あらすじ

行間からビートが鳴り響く、革命的ポップ・ミュージック論! ポップで前衛的な曲、奇抜なヴィジュアル……すべては天才による“紫の革命”だった――。彼を師と仰ぐ著者が同じ音楽家ならではの視点で、その栄光の旅路を追う。

感想・レビュー・書評

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  • プリンスのCDを買ったのはベスト盤1枚きりで、それも気に入らなくて人にあげてしまいました。
    その頃はハードロック、ヘヴィメタル、70年代ロックに夢中だったので、きらびやかで人工的な音に馴染めなかったんですよね。今聞けばとんでもなくハイレベルな事が分かるのですが、風貌含めて受け入れ難かったのは確か。
    2016年に亡くなったのでもう5年前ですが、そのニュースを見た時も特別衝撃は受けなかったです。
    ところがこのサブスク時代に色々聴けるようになって、気まぐれに聞いたパープルレインのアルバムで一気に引き込まれました。初期の音源を色々聴いて沼にどんどん嵌っていき、現代方面に向かって聴いていますが、時代時代で色々なスタイルありますが、どれもこれもじっくり聴くに値するものばかりで攻略には当分掛かりそうです。
    そうすると当然どんな人物だったのか気になるところです。そこで発見したのがこの本でした。
    亡くなるほんのすぐ前に書かれた本なので、なんというか運命的なものを感じます。
    プリンスは変わり者で俺様で天才だという事がよく分かりましたが、割と知っていたというか、みんなそういう印象ですよね。そういう意味でブレない人なんですね。面白かったです。

  • カセット→CD→MD→データ→ストリーミングの全てが
    青春時代の私は、
    データ期にプリンスに出会い、プリンスだと「知らずに」ただ踊り狂っていました。
    そんな私は今レコード期にいます。

    「アルバムって覚えてる?」
    の言葉にあるよう、今の私は単一的に作品を選び取るのではなく丸ごと向き合うことが楽しくなった。
    この本でさらに一層楽しみが深まりました。

  • 2017年3月26日読了。2015年に発表された、まさに「プリンス論」。訃報を聞いてから読み始めたにわかファンの私にとって、熱烈なプリンスファンであり自身もミュージシャンである著者のスタンスや時代性を感じる書きっぷりは読みやすく、ツボにはまる。黒人という人種、複雑な家庭環境、白人率90%以上のミネアポリスという出身、シンセサイザーの出現など音楽の変化などいろんな要素があるけれど、プリンスという天才を分析し尽くすことは到底無理、その足跡を追い作品に浸るだけで我々凡人は精一杯だな…。一人多重録音による衝撃のデビュー作、最強のバンドでのヒット連発からまた多重録音への回帰、変名・レコーディング会社との軋轢から再評価など、「変化し続けること」を自然に実践できるのがプリンスの天才性なのか?先天性の病気を患った子どもの死にまつわる悲しい出来事については知らなかった、プリンス作品を改めて聴き直してみたくなった。

  • 新書になる程話題性がある?
    という風に読んだときには思った
    早世したのは実に残念だ

    プリンスは天才である
    プリンスを取り巻く環境
    多作で駆け抜けた年代
    名前を捨て記号になり
    再び復活してきた

    ここ数年はプリンスの曲を聞いていなかったがまた聞いてみようかな
    手軽にプリンスを知るためには良書かもしれない
    しかしこれだけでは彼の才能と与えた影響は分からないだろう

  • 西寺郷太氏が影響を受けたマイケル・ジャクソン、ワム、そして今回のテーマであるプリンスについて彼の圧倒的な知識と自らミュージシャンであるという同業種であることからわかる凄さを名前しか知らないような(音楽はなんとなく聴いたことはあるが詳しくない)人たちでも生まれてからデビューし現在に至るまでをわかりやすく、そして彼らのファンでも納得のいくものを書き続けているのは本当に頭がさがるというか素晴らしい仕事をされているといつも思う。

    郷太さん自身もかつてはリスナーだった。そして今はプロのミュージシャンになった。小説で言えば作家は読者の成れの果てというようなところだろうか。でも、作る側になっても自身はほかの作り手の受け手でももちろんある。

    プリンスのゼロ年代以降の復活について今作の中で時代が一回りしたという指摘がある。これはずっと追いかけ続けてきた郷太さん自身にも当てはまる部分はあるはずだ。
    幼少期から追いかけ続けているアーティストたちへの尊敬と敬意、好奇心を持ち続けて彼らのことを伝えたい、もっと多くの人に知ってほしいと思っていた郷太さんが今の年齢になってプロのミュージシャンとして第一線に居続けてことでこれらの本が書かれるきっかけが生まれて同世代の出版人たちももっと一般の人に読まれるべきだし彼によって書かれて届くべきだと思ったのだと僕は感じている。

    だけど好きだからと言ってなにかについて書くのは難しい。バランスが必要になる。僕のようにプリンスって名前ぐらいしか知らなかった人間が読んでもすげえなプリンスと思わせて引き込むことはマニアックになりすぎに時代ごとに書かれているからだろう。

    プリンスという存在の生きてきた時間、歴史を郷太先生によって教えてもらっているという感覚、アーティストがファンを育てるように。郷太さんは書籍によって自分が好きなアーティストについて興味ある人間を育ている、知識を増やそうとしている感じがある。

    それらもプリンスをはじめとする郷太さんが影響を受けてきたアーティストからファンとして受け継いだものをさらに下の世代に引き継いで残していこうという郷太さんの想いが伝わってくる。

  • 著者のプリンス愛に溢れた一冊。
    個人的にもプリンスは大好きで、今までいったライブで一番良かったと思っている。
    それだけに2016年の突然の訃報は衝撃だった。
    著者である西寺郷太氏も、この本が発売された数ヶ月後に衝撃の訃報を耳にするとは思わなかっただろうな。

  • NONA REEVESのフロントマンであり、かつ作曲家・プロデューサーとしても活躍するポップス職人の西寺郷太が、80年代アメリカ音楽に関する愛情と優れた批評眼をもとに書き下ろしたプリンスの生涯とその音楽性についての論考。

    基本はクロノロジカルにデビュー時から2015年(この本が出た翌年、プリンスは死去するため、実質的にはほぼラストアルバムまで)を振り返っていくスタイル。プリンスはとにかく多作であり、80年代の作品を愛好する自身にとっても(特に極彩色に溢れるポップ絵巻、『Around The World in a Day 』がマイベスト)、90年代以降の作品はちゃんと聞けていないものが多く、解説と共にSpotifyで聴くと発見ばかり。

    自身が音楽家でもある著者の分析は非常に面白い箇所が多いのだが、中でもBPMに関する指摘は非常に興味深い。

    一般的に70年代のディスコミュージック、ディスコファンクと呼ばれる曲は、BPM 110-120前後(このくらいのBPMだと気持ちよくノレる感じ)であるが、プリンスにとっての大ヒットアルバムである『Purple Rain』ではBPM135くらいから最も高速な曲では190台と、高速化を遂げる。高速化される曲はロック的なダイナミズムを持ち、アリーナなどの大会場でもわかりやすく盛り上がれることから、これが大ヒットを生んだ1つの音楽的背景ではないか、というのが本書での指摘である。

    この流れでもっと興味深いのは、日本においては特にBPM 110-120の曲はヒットしにくい、という指摘である。それは例えば、
    ・AKB48のヒット曲の多くのBPMが150-180台のかなりの高速であること(唯一の例外としてBPMが122の「恋するフォーチュンクッキー」が言及されているが)
    ・アメリカではどちらも爆発的ヒットしたものの日本でもヒットしたファレル・ウィリアムズの「Happy」がBPM160であったのに対して、日本ではそこまでのヒットに及ばなかったマーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」がBPM 116の典型的なディスコファンクであったこと
    などを証左として挙げているが、この指摘は感覚的に非常にうなづけるところがあった。

    しばらくこれを片手に殿下の豊富な音楽世界に浸りたいと思う。

  • 2021/2/24購入
    2021/4/21読了

  • プリンス最高

  • 今までほとんど聴いたことがなかったのだが、プリンスが亡くなった際に興味を持ち、デビューから全盛期と言われる頃までの音源を聴いた。 その流れでこの本を手に取りました。

    プリンスの生い立ちから現在までを、読みやすい文章と自分の思い出を絡めて書いた本です。 著者は小学校4年生くらいからプリンスを聴いていたらしく、その早熟さに驚いた。 どんな小学生なんでしょうか。

    プリンスや音楽への愛情が感じられる、いい作品でした。 3時間くらいで読了できます。

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著者プロフィール

西寺郷太(にしでら・ごうた)
1973年東京都生まれ京都府育ち。バンド「NONA REEVES」のボーカリスト、メインコンポーザーを務める。音楽プロデューサー、作詞・作曲家として、V6、岡村靖幸、YUKIなどへの楽曲提供・プロデュースを行うほか80年代音楽研究家として、マイケル・ジャクソン、プリンス、ジョージ・マイケルなどのオフィシャル・ライナーノーツなども数多く手がける。
著書に『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』(新潮文庫)、『マイケル・ジャクソン』(講談社現代新書)、『ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い』(NHK出版新書)、『プリンス論』(新潮新書)、『始めるノートメソッド』『伝わるノートマジック』(スモール出版)、監修『MJ ステージ・オブ・マイケル・ジャクソン』(クレヴィス)などがある。
現在、『GOTOWN Podcast Club』を配信中。

「2020年 『ディスカバー・マイケル THE BOOK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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