- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106104091
作品紹介・あらすじ
いまアフリカに、世界中の熱い視線が注がれている。「大虐殺の地」ルワンダは「アフリカのシンガポール」を目標に急成長。マサイ族の生活も携帯電話の普及で一変した。タンザニアやボツワナは、資源をテコに「中進国」への戦略を描く。不幸な歴史に苦しめられてきた豊かなる大地で何が起きているのか。大反響を呼んだNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材チームが深層に迫る。
感想・レビュー・書評
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急速に経済発展を遂げているアフリカについて書かれた本.新興国市場としては中国やインドが取り上げられることが多いが,これらの国はすでにかなり発展してしまった感が強い.アフリカはまさにこれから発展しようとしている途中であり,なかなかおもしろい市場だと思えるようになった.気になったトピックをいくつか.
・携帯マサイ(ケニア、ウガンダ)
最近のマサイ族は携帯電話を使用しているらしい.固定電話回線を敷くよりもアンテナを立てる方が安上がりなのだとか.先進国では固定電話から携帯電話という発展の歴史があったが,そういった固定観念を捨てることが新興国市場を攻める上では必要かもしれない.
・移民の受け入れと歪み(南アフリカ、ジンバブエ)
ジンバブエでの歴史的インフレは周知の事実だが,その後経済状態の芳しくないジンバブエ人は仕事を求めて南アフリカへと移民している.そして安価な労働力としてのジンバブエ人と現地で職を探す南アフリカ人との間で敵対感情が生まれている.ドイツなどで起きた移民問題が新興国の間でも起きており,新興国の間にも格差による問題が起きている.
・中国の対アフリカ政策(エチオピア、ザンビア)
中国が国を挙げてアフリカ攻略を狙っているようだ.中国とアフリカがくっついてしまうと,世界の天然資源の大部分を中国に押さえられてしまうだろう.しかし成功しているところもあれば,無理な展開で労働災害からデモ活動が起きるなど歪みも生まれている.個人的な考察になるが,他の国に進出するときは安価な労働力や資源にすぐに目がいってしまうが,フェアな条件でその国と協調関係を築きその関係を維持していくことが重要になるのではないかと思う.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「先進国の食い物にされる大陸」
アフリカのイメージはこうだったし、本書を読んでも変わらなかった。
そしてアフリカが自立するにはまだまだ時間がかかるとも感じた。
仕方ないことかも知れないが、他国の資本や知識を流入させ基礎を築いてからでなければ、「アフリカ独自の発展」は望めない。
そんな伸び盛りな国故にビジネスチャンスは多い。
しかし、「今の日本」はイメージ先行で大きく進出できず仕舞いなことがもったいない(不毛地帯のような時代の日本なら絶対進出していたはず)。
逆に中国は政府の意向も汲みつつ私企業がどんどん進出している。
そんな中で中国のアフリカでの強さは資金力ではなく、私企業であっても「国益とは?」という当事者意識を持って、ある意味で政府と連携して(チームワークを持って)事業展開している点にあると思った。
どんな分野でも一人でできることよりチームプレイの方ができることは増えることの実例。 -
アフリカに関しての知識はまったくないので、アフリカの今が知れた。
ジムロジャースがいっていた、アフリカは中国式の発展を採用するというのが大分現実的になっているのかもしれない。
つまり独裁を維持しながら、発展していくということ。
独裁をもう少しやわらかくいえば、中央の統制のもと。ということになる。
これなら日本も同じといえるだろう。 -
読了
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本書はNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の書籍版。テレビでは出せなかったディープな出来事もふんだんに含まれている。アフリカを知っている人にとっても、知らない人にとっても知的な刺激にあふれた内容になったのではと思っている(まえがきより)、とのこと。
例えばアフリカ各国の歴史をざっと把握するためにwikipediaを覗いたりしたことはないでしょうか?いわずもがな、そのほとんどでヨーロッパ諸国の植民地支配が影響しており、根源として、それらが様々な争いの火種となっていることが多い。
そういうことが前提としてあるわけだけど、徐々に新しい時代が始まりつつある。再びまえがきを引用すると、「グローバリゼーションは、これまで先進国がアフリカから資源などの富を収奪するためのものだった。しかし、知恵を絞って新たな人材・情報・マネーを生かせば、グローバリゼーションを順風に変え、自立への追い風に変えることができる。そうしたことに気づき、実現し始めた人々の姿をアフリカの各地で見られるようになった」と。
こういうのを読むと、そのアフリカンパワーの力強さもそうだし、例えば第三章の「中国企業アフリカ進出最前線」にある中国の貪欲さ、国家レベルの取り組みなどで、果たして日本が彼らと対等に渡り合える何かを持っているのか?と感じざるを得ない。いや、実際には様々な日系企業がアフリカに進出しているのだろうけど、この凄まじいパワーにどの程度ついて行っているのだろうか。そもそもその輪に入る必要があるのだろうか?
光と闇が交錯するアフリカ。本書だけではなくいろいろ出ているので、それらもあわせて読むと、なお面白いんじゃないのかなと思いました。
(過去の読書記録登録のため評価なし) -
Vol.190 9億人の大市場!携帯電話を駆使するマサイ族に何を見る?
http://www.shirayu.com/letter/2013/000383.html -
「9億人の大市場アフリカ」と標榜するには取材範囲が随分限られているが、考える視座を与えてくれる良書。さらりと読み流せる。読み流した後であれこれ思考を広げるにはもってこい。
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レビュー省略
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2010年に3回シリーズで放映されたNHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材をベースに執筆された本。東アフリカの現状をを、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピア、ザンビア、タンザニア、ボツアナ、ジンバブエ、南アフリカの順で紹介している。
民族紛争など様々な問題を抱えつつも豊富な鉱物資源をベースに発展し続けているアフリカの状況が理解できた。本書から7年、更に発展しているんだろうなあ。それにしてもアフリカに投資し続ける中国の動きが不気味。