- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103735
作品紹介・あらすじ
哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。
感想・レビュー・書評
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2件の事件で2人を殺害した無期懲役囚の筆者。ここでは冤罪があるから死刑廃止という議論はやめておく。大事なのは被害者の生命権。加害者の人権や、死刑囚にも人権があるというわりには、被害者の人権(生命権)と遺族の人権への配慮が欠けていると思われる死刑廃止論者。例えば、生きたままドラム缶に入れ灯油をかけて焼き殺した加害者が生きている事自体公平のなのか?何の過失もない人を1人、2人、3人・・・と冷酷に殺す加害者に死刑以外の刑罰が考えられるのか?殺害方法・動機によっては、法の正義を満たす為に、遺族の意志に拘らず、見合った刑罰を科さなければならない、それが死刑ではないか?
終身刑の話がでて来るが、社会に出る可能性が無い終身刑の受刑者は自暴自棄になるのは必至。どれだけ罪を重ねても死刑にはならないと言う事は、受刑者にとってやりたいようにやれ、と言っているのと同じ。それに職員に危害を加えるリスクも高い。
欧米では主流だからというが、そもそも宗教を背景とした死生観が違う。終身刑=思考停止、ただでさえ反省しない受刑者が己の罪に向き合って改善を促すことはないだろう。人権人権と叫ぶ人は社会復帰の希望のないまま長い間生きるということがどういう事なのか分かってるのだろうか?
非常にリアルな話で納得させられる内容。ただ、かなりの読書家と言う筆者だが、語彙も豊富で文章も上手い。本当に無期懲役囚なんだろうかと疑問・・・・
因みによく裁判で出る『つい、カッとなって・・・殺す気ではなくて・・・』という台詞。これは嘘だと。最初の一撃で殺意はなかっとしても、その一撃だけで死亡する被害者はほとんどいない。何回も何十回も殴打や暴行を繰返しての結果。途中から明確な殺意、あるいは殺すかもしれないという未必の故意はある。
これは俺もそうだろうと思ってたw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
某先輩が勧めていたので購入。死刑に特化した話は第7章だけで、全体的には刑務所の囚人は反省していないものが圧倒的に多いので厳罰化したり刑務所改革をすべきだという議論。とはいえ、実体験に裏打ちされているようでおもしろい。死刑の議論は、死刑以外では加害者は反省しないし、殺人とも釣り合わない、また遺族も死刑を望んでいる、といったような話。冤罪については態度を留保している。今日、教育がうまくいっていないのは学校だけではない、ということか。著者は刑務所では実存主義的な、自分の死を見つめる教育に効果があると考えているようだ。
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2017/11/21
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2017/12/10
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美達大和(みたつやまと)
著者は2人の人間を殺めたことにより、無期懲役で刑務所服役中で、刑務所暮らし20年弱。
その著者が語るのは、普段知ることのできない”塀の中”の実態と死刑肯定について。そして、現状の更正システムをどのように改正させたらよいかについて提言をされている。
刑務所暮らしについては具体的なことはあまり書かれていないが、受刑者の実態・心情についてはしつこく書かれている。
加害者のほとんどは、反省をしていないということが何度も書かれている。(彼によると、反省しているのは1%程度だという。)
また、受刑者感覚としては10年20年の刑期は「あっという間」とのこと。
その中では反省よりも、むしろ慣れが生じるらしい。
出所しても、再犯を繰り返す人が多いとのことだ。
現行のシステムでは、懲役刑によって彼らを更正させることは無理であるように論じられている。
死刑を肯定する論拠としては薄いように感じた。
が、それは、著者の刑務所暮らしと、多くの加害者と接した肌感覚によるものであって、それはそれで貴重なものに感じた。
自分としては、死刑の是非について深く考えてきていなかったので、これが切っ掛けになればいいと思った。
毎月100冊あまりの本を読んでいる著者による解説は丁寧だが、やや反復が多くてたびれた。
著者は自身の犯行と囚人としての生活の手記を出されているらしいが、そちらの方がきになったので、機会があれば読んでみたい。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
哀しい事実だが、犯罪者のほとんどは反省しない。監獄法の改正後、「自由」になった刑務所では、今日も受刑者たちの笑い声が響いている。裁判では頭を垂れるも内輪では「次は捕まらないよ」とうそぶく彼らを前に、何をすれば良いのか。犯罪者を熟知する著者は、彼ら自身を「死」と向き合わせるために「執行猶予付き死刑」を導入せよ、と説く。現役の無期懲役囚が塀の内側から放つ、圧倒的にリアルな量刑論。
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【目次】
はじめに
第一章 ほとんどの殺人犯は反省しない
普段は大人しそうな人が……/放火、強姦による殺人犯/計画的な強盗殺人犯は「極悪」/喧嘩による殺人/暴力団同士の殺人/気が小さくても人殺しになりうる/倫理も道徳もない連中/他者への共感意識が希薄
第二章 「悪党の楽園」と化した刑務所
イメージと大きく違った現実/新法の施行で待遇が一変/人権派が見落としていること/「経済」の観念が欠けている/受刑者にとって犯罪は「効率」がいい/人生の最期を考えさせる/職人の養成にはちょうど良い場所/報奨金をプールして出所後の生活をイメージさせる
第三章 殺人罪の「厳罰化」は正しい
一〇年一五年は「あっという間」/被害者の命が軽すぎる/加害者の更生より被害者の生命権を/罪が軽すぎる幼児虐待殺人/ヴェテラン受刑者にとっては「遊びに来ている」感覚/アメリカ・イギリスの量刑制度/実情にそぐわない『永山基準』/違和感の残る判決/死刑基準の再設定を/一度人を殺すと殺人の心理的抵抗が減る
第四章 不定期刑および執行猶予付き死刑を導入せよ
反省の度合いを徹底的に測る制度/まず自分自身と向き合わせる/長文のレポートを書かせる/「目標」を持たせる/被害者への賠償を法制化する/刑務所職員の絶対数が不足している
第五章 無期懲役囚の真実
平均服役期間は三〇年以上/「無事故」でいるのは難しい/無期囚同士の奇妙な連帯感/「反省」によって仮釈放に差を設けよ/将来の展望がない者がほとんど
第六章 終身刑の致命的欠陥
囚人を「効率的」に使った明治の日本/欧米の終身刑/終身刑の受刑者は反省しなくなる/刑務所の風紀が悪化する/終身刑は「思考停止」の産物
第七章 死刑は「人間的な刑罰」である
私が出会った二人の死刑囚/死刑囚との対話/死と向き合うことが改悛の情につながる/「世界の潮流だから」は理由にならない/犯罪抑止効果は条件によって変わる/冤罪の問題/「犯行の態様」を熟視せよ/遺族の苦しみは一生続く/粛々と執行せよ
第八章 無期懲役囚から裁判員への実践的アドバイス
「再開」した裁判員制度/「更生の可能性」は考慮しなくていい/被告人の表情を見逃すな/被告人は法廷でウソをつく/「裁判員のカタルシス」より「犯罪行為の責任」を/死刑の求刑を恐れない/裁判官個人の心情に流されない
おわりに
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筆者の主張は以下の通り。 長期で服役している囚人たちは全然反省していない 死刑廃止を唱える人の中には被害者側の視点が欠けている 将来の更正を見込んで形を減軽したり情状酌量をつける場合があるが、更正するかどうかは未知数のものでありそれを見込んで量刑を決めるのは間違っていると主張している。犯した犯罪罪の重さに対して刑罰の重さを決めるべきだ。執行猶予付きの死刑の導入を提言していた。つまり服役中に本当に反省が見られるのであれば死刑は回避し更正をする気がないのであれば死刑に処すると言う考え方である。
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刑務所の中にいる人しか分からないことが沢山あり、リアルな文章に引き込まれました。
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自らが犯した計画殺人によって2人もの命を奪い、無期懲役の判決を受けて現在も服役中である懲役囚が塀の中で記した手記。受刑者にしか分からない殺人犯や刑務所の実態を描き、加害者よりも軽んじられている被害者の人権に異を唱えながら、死刑廃止論を真っ向から否定する。『10年なんてションベン刑だ』『12, 3年は、あっという間』『15年くらいで一人前』などと呑気に構え、被害者やその家族の心情など微塵も考えない死刑囚に「反省」や「更生」を求めるなど無理な話であり、こんな連中を国民の税金で生き長らえさせる事こそ愚の骨頂と断じる。死刑囚にとっては「死と向き合うこと」のみが悔悛(かいしゅん)の情につながる唯一の方法であり、死刑こそが彼らに相応しい「人間的な刑罰である」と主張する。死刑反対派が推進する「人権のインフレ」によって、「生きて償う」などという愚劣な詭弁を弄(ろう)す死刑囚らを「粛々と執行せよ」と訴え続ける。
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「刑務所が社会福祉施設の最後の砦となっている」
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無期囚が書いてありないようがかなりリアル。
で、結局タイトル通り日本人には、死刑制度が必要だと再認識します。
確かに、被害者の命が軽過ぎます