ワインと外交 (新潮新書 204)

著者 :
  • 新潮社
3.52
  • (9)
  • (15)
  • (26)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 269
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102042

作品紹介・あらすじ

饗宴のテーブルは時に、表向きの言葉よりも雄弁に「本当の外交関係」を物語ることがある。ブッシュが食べたフレンチフライ、「海の幸だけ」が出された独仏首脳の会食、天皇主催の晩餐会で飲まれなかった高級ワイン、日韓首脳会談における盧武鉉の驚くべき発言…。真の政治的メッセージは、そうした饗宴の細部に宿るのだ。ワインとメニューから読み解く国際政治の現実。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 稠密度(ちゅうみつ、ちょうみつ、dense)
    :一般に密集しているさま・ ぎっしり詰まっているさまを表す語である。

    櫂さばき

    イラン:ハタミ大統領は言葉に絶対的な信を置く西洋に対して、日本の禅やイランの神秘主義は、沈黙から多様な示唆と寓意を汲み取ること、相手の言うことにまず耳を傾けることが対話のはじまりであり、相手の立場を重んじるのは東洋、アジアの風土であること、またグローバリズムにあっては、それぞれ固有文化を尊重することが大事であることなどを説いた。

    残滓(ざんさい):残りかすを意味する言葉。時代が変わり、新たな体制が始まったところに残っている前時代の名残を、比喩として表現することもある。似た意味の「残渣」は、ろ過や消化、溶解したときに残る物体を指す。

    破顔一笑:にっこりと微笑むこと

    拝謁を求める諸侯

  • 作者の「饗宴外交」がとても面白かったため手に取った。
    堅苦しいイメージのある外交を、誰にも身近な食を通じた面白いエピソードにして書いてあり「饗宴外交」と同じくとても面白かった。
    これだけ技術や文明が発達した現代社会においても、結局物事を動かすには人間の根元的な欲求である食欲に訴えかけるのが効果的な場面もあるのだなと改めて思った。
    個人的にはフランスとドイツの関係性が印象的だった。彼等こそソフトパワーとしての饗宴を効果的に活用して外交を動かしているんだな~という感じ。

  • 外交の舞台でどのようなワインが供されているのか興味を持ち読みました。ワインだけでなくメニューリストや社会情勢についても述べてあり大変興味深かった。

    リューセックや、モンラッシェはこういう時に飲まれているのがわかり、なんとなく納得。マグナムボトルをどのようにグラスに注ぐのかは、相変わらず謎です。持って、直接とはいきませんよね…?

    メニューの献立数は思いの外押さえ気味なのが意外でしたが、世界の首脳陣にもなるとみなさんある程度高齢なのでこの辺りじゃないと厳しいのだろうなと思いました。それでも、ギリギリかな。デザートがほぼアイスクリーム一択なのも不思議に面白く。健康面を考えると脂質と塩分が多すぎる気も。

    個人的にはブッシュ大統領がホスト時のアメリカンカントリー調の献立と、シラク、シュレーダー会談時のメニューが美味しそう。フォアグラがよく出てくるのですが、私はフォアグラが嫌いなので、もしフォアグラ嫌いな人がいらしたら大変だな、と思いました。

    ちなみに、本書は2007年初版。2000年挟んだ時代の外交が舞台なのですが、今のウクライナ、ロシア情勢や米中をめぐる各国の趨勢を踏まえながら読むと、外交史としても大変興味深く読めました。

  • 料理と外交、面白いアプローチだと思った。タイトルは「ワインと外交」とあるが、決してワイン本というわけではなく、饗宴でのメニューとそこでのスピーチ内容、外交エピソードがちりばめられていて、興味深い。

    特にオランダと日本の外交関係について、本書に書かれている歴史があったとは全く知らなかった。オランダの王室と日本の皇室がいかにして、歴史を乗り越えて関係を築いてきたのかがよくわかった。

    ワインや料理を通じて外交の一端を垣間見ることができる稀な書だと思う。

  • だいぶ前の本だけれども、饗宴で表現される意図、各国の思惑、事前のプロトコールの駆け引きなど、興味深かった。ただ、時系列が前後したり、話が各国間を行き来するのがちょっと違和感...。それ以外は楽しく読めた。

  • 試験後の解禁の一冊は軽めのものから~といって積読からチョイス。
    ワインの知識がなくてもスラスラ読める一冊です。
    そもそもワインの一つ一つの違いなどには興味がなく、
    なぜそこでそのワインを選ぶのかに興味がある私には
    ぴったりのアプローチでした。
    各国元首のスピーチに隠された意味や饗宴にこめられた意味など面白い。
    外国特派員の方が饗宴の場から見た外交舞台という切り口は
    なかなか面白いと思いました。
    特に印象的だったのが日本とオランダの関係。
    一面的な教育を受けてはいけないものだと改めて実感するとともに、
    日本のトップ外交(&慰霊)は皇族に一手に押し付けてるのかなぁ
    とも感じました。(2010.6.1)

  • 新書文庫

  • 2015年9月20日に開催された第1回ビブリオバトル全国大会inいこまで発表された本です。予選E会場発表本。

  • 料理と共に饗されるワインにかくされたメッセージを読む本
    ただ美味しいものを食べているわけではなく、どういう意味が込められているかワインの銘柄から各国の心理を読み取れるのかと思うとただグルメというだけの知識意外にも奥行きを感じる
    オランダから見た時の第二次世界大戦からの反日感情を初めて知りとても衝撃を受けた
    アジアだけでなく、その向こうのヨーロッパの各国が日本をどう見て、どのように感じているかこれからもっとよく考えないといけないのかもしれない

  • 【仕事】ズルさのすすめ/佐藤 優/20150909(97/381)<210/21933>

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

毎日新聞社客員編集委員。長崎県出身。1971年毎日新聞社入社。テヘラン、パリ、ローマの各特派員、外信部長を経て専門編集委員。2020年4月までの18年間、国際政治・外交・文化についてのコラムを毎週朝刊に執筆。2014年から現職。公益財団法人日本交通文化協会常任理事。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、1997 年度サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮社)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、『知られざる皇室外交』(角川新書)など。近著に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)。共訳に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店)。仏国家功労勲章シュヴァリエ。

「2021年 『教養として学んでおきたい日本の皇室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

西川恵の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×