戦争の日本中世史 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037399

作品紹介・あらすじ

源平合戦から応仁の乱まで、中世の二百年間ほど「死」が身近な時代はなかった――。手柄より死を恐れた武士たち、悪人ばかりではなかった「悪党」、武家より勇ましいお公家さん、戦時立法だった一揆契状……「下剋上」の歴史観ばかりにとらわれず、今一度、史料をひもとき、現代の私たちの視点で捉え直してみれば、「戦争の時代」を生きた等身大の彼らの姿が見えてくる。注目の若手研究者が描く真の中世像。

感想・レビュー・書評

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  • Lv【初心者】

    初心者にも歴史研究書読み込んでいる層にも面白い!
    日本史自体の研究史照らし合わせつつ、実態を探る。

    やはり自分でもこのカテゴライズは惜しいのだけど、「室町人の精神」「破産者たちの中世」「大飢饉、室町社会を襲う!」などこの時代の本と合わせて読むと面白味が倍増する。

    「そこにシビれる憧れるゥッ」だけじゃない面白さ

  • 中世を生きた武士の等身大の姿がいきいきと描き出されている。

  • 階級闘争史からの脱却。
    人は進化しているという考えをベースに歴史を紐解くのは危険。
    たた、思想があるから解釈ができるとも言える。
    事実と意見を分けること。

    結局、過去も現在もいろんな柵の中でバランスを取って為政者は判断を行っている。
    有権者である自分たちもバランスの上に成り立つべきなのか。

  • 元寇から応仁の乱くらいまでの戦争の仕組み等を昔の歴史観を否定しながら語っている。
    昔の歴史観を否定しながら語っている部分が若干くどかったが途中からその部分は薄まって読みやすくなった。

  • 今思えば、鎌倉・室町時代沼への第一歩でした。入門書としてもお勧め(悪魔の誘い)。

  • 特徴に「階級闘争史観」へのアンチテーゼがあるが、自分にはそれが何か分からず、所謂従来の定説と読み替えたが、結果個人的には著者の主張が空回りした格好になった。日本中世の情勢や局面を現代に例える箇所もさほど腑に落ちず。史料が多用されているので、当時の実情を垣間見るには良かった。南北動乱期あたりの経過は、所領をめぐる小事件の連続で、一つ一つ追っていては面白い読み物にはならないと再認識。

  • ふむ

  • めちゃくちゃ読み応えがありました‼︎中世史ビギナーの癖していきなり手に取ったので(無謀)、蒙古襲来から応仁の乱まで、もうちょい勉強してから読んだらもっと頭に入るかなという感じです。

    あとがきにも書かれてましたが、一番面白かったのは思考のプロセスを全て書かれてたことですね!

    史料の読み方、評価の仕方、疑問に対してどういう思考プロセスで掘り下げていくのか、疑問の持ち方に至るまで惜しげなく開陳してあるので本当に勉強になりました。

    私はどうも枠組みとか制度とか構造から考えていくのが面白いみたいで、ようやく中世史の面白さの端緒を掴ませてもらった感じです。中世史引き続き掘り進めて行きたいです!(やる気)

  • 応仁の乱で一躍有名になった著者の前著。
    最後に「ハト派こそがリアリズムに徹するべきである。そのために歴史学が貢献できることは、まだまだあると思っている。」また、あとがきに「私は軍事学の専門家ではないし、ミリオタでもない。にもかかわらず中世の戦争を取り上げようと思ったのは、この分野の研究が一番遅れているからだ。」と記載のあるように、鎌倉中期から室町期を通じての戦争(合戦)に向かう武士の姿を丁寧に描き出しつつ、戦争の姿、平和の姿を見いだそうとしている。教科書では単に年表的に過ごされ、歴史小説では武勇伝的に描かれる武士の姿が、単にそれだけではない様子で丁寧に論じられるのが好ましい。また、時折顔を出す今風の表現や、会社組織になぞらえた比喩がこの著者の魅力。

  • 社会科学に興味があるなら『応仁の乱』よりもこっち。制度の特徴が歴史にどのように影響を与えたか、社会環境の変化に応じて制度が生成・変化していく様の記述が多々ある。(かなりくどいが)戦後史学、特に日本史研究に対してマルクス主義がいかに影響を与えていたかを考えさせられるのもよいところ。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター助教
著書・論文:『応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱』(中央公論新社、2016年)、「永享九年の『大乱』 関東永享の乱の始期をめぐって」(植田真平編『足利持氏』シリーズ・中世関東武士の研究第二〇巻、戎光祥出版、2016年、初出2013年)、「足利安王・春王の日光山逃避伝説の生成過程」(倉本一宏編『説話研究を拓く 説話文学と歴史史料の間に』思文閣出版、2019年)など。

「2019年 『平和の世は来るか 太平記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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