ミッキーはなぜ口笛を吹くのか (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037351

作品紹介・あらすじ

絵と動きと音の王国、アニメーション映画はこうして生まれた! 一九〇六年、世界初のアニメーション映画で、黒板に絵が描かれるのはなぜか。ポパイの歩行、ベティ・ブープの大きな口、『トムとジェリー』の音楽の魅力とは? アメリカン・アニメーションの傑作を読み解き、ウィンザー・マッケイ、ウォルト・ディズニー、フライシャー兄弟など、巨匠たちの表現技法の謎に迫る。図版多数。

感想・レビュー・書評

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  • 世界初のアニメーション
    『愉快な百面相』

    ウィンザーマッケイ
    眠りの国のリトルニモ

    第一次世界大戦の新兵教育にもブレイのアニメーションが使われた(ブレイが売り込んだ)

    ミッキーが口笛を吹いているのは、呼吸の表現。蒸気船ウィリーは、ミッキーが初めて呼吸をした場面である。

    日本のアニメはアフレコだが、アメリカは今もプレレコでリップシンクを重要視している
    日本がリップシンクの不在に寛容なのは、吹き替え映画になれているおかげ?

  • アメリカのアニメは「口唇の動きと音の完全一致」させるリップシンクに執拗にこだわる。それはアメリカにおけるアニメがサウンド・フィルム(『ジャズ・シンガー』のような)からの歴史を踏まえているからだろう。
    著者はミッキーマウスが人気を博したのも『蒸気船ウィリー』での口笛のシーンにあると説明し、ベティー・ブープの唇が赤いのも歌声と唇のシンクを印象づけるためだと説いている。

    翻って日本のアニメはリミテッド・アニメとも呼ばれリップシンクにそれほどのこだわりは見せない。せいぜい決めのセリフのシーンくらいだ。これは日本のアニメの源流には紙芝居があるからではないかと思うのだがどうだろう?

  • ☆なかなかおもしろい。

  • ちょっとたいくつだなと思っていた「蒸気船ウィリー」の謎、そしてトムとジェリーの素晴らしさを改めて実感いたしました。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784106037351

  • 150418 中央図書館
    懐かしの『トムとジェリー』やベティ・ブープなど、YouTubeで確認。『恐竜ガーティー』、意外に面白かった。フラーシャー兄弟の『インク壺から』を見ていると、井上ひさし『手鎖心中』に出てくる煙曲師の技を思い出した。

  • 日本のヒーローは変身すると口を隠し、アメリカのヒーローは口だけ出す。この指摘がすごく興味ぶかい。頭をガツンと殴られたような衝撃だ。
    こんどは日本のアニメ-ションの歴史を読んでみたいと思わせられる本。注意ぶかく書かれており、読みやすい。
    ただ、注釈がくせ者かもしれない。
    ミッキーの口笛考察がすごく面白かったにもかかわらず、その考察があやうくなるような事実を注釈で解説するのは……。「世界初のアニメーション」の定義も、注釈を読んだあとだと納得しづらい。
    自身の説がすべてではないことを明記しているのは誠実で、好感がもてる。たんに読者の好みの問題かもしれない。

  • アニメーションの誕生からその多様な表現手法の変遷を解説した力作。口の動きとセリフを合わせるリップ・シンクをはじめ、表現手段としてのアニメーションを発展させてきた人々の力量に敬服させられる。懐かしいアニメキャラだけでなく、キャブ・キャロウェイという思いがけない名前が出てきて「ブルースブラザース」をまた見たくなった。

  • この本おもしろい!いろいろ調べながら読んだら時間かかった…
    自分は特にアニメ好きでもないし、アニメや映像に詳しくもないけれど、Booksasahi.com のいとうせいこうさんのレビューを読んで興味をもって手に取りました。

    ●ジェームス・スチュアート・ブラックトン「愉快な百面相」
    ●ウィンザー・マッケイ「リトル・ニモ」「恐竜ガーティー」
    ●フライシャー兄弟「インク壺から」「ベティ・ブープ」
    ●ディズニー「蒸気船ウィリー」
    ●「トムとジェリー」
    ●「バッグス・バニー」 など…

    アニメーションがどのように誕生し、その表現がどうやって技術の革新とともに発展していったのか。
    それぞれの時代のそれぞれの作品にはどのような工夫が込められていたのか。
    いくつかの事例を手がかりに、丁寧に解説してくれます。

    現在のアニメーションの技術は、特に日本でもものすごく発達したけれど、
    例に挙がっているような昔のアニメーションが今ではただの稚拙なものだというわけでは全く無くて、
    むしろ新しく手に入れたばかりの技術をどう生かしていこうか、っていう作り手の工夫が見れば見るほど伝わってきて面白い。

    著者の細馬宏通さんのブログに、本の中に出てくるアニメーションでネット上で観られるもののリンクがありました。
    http://www.12kai.com/wp/?cat=38


    本の後半、言葉や音楽とアニメーション表現の関わりについて詳しく言及されているのも面白く読みました。
    キャブ・キャロウェイやルイ・アームストロングといったジャズミュージシャンが「ベティ・ブープ」に関わっていたり、「トムとジェリー」でストーリーに合わせて音楽を作っていたスコット・ブラッドリーや、ワーナーのアニメーションで音楽を一手に引き受けていたカール・ストーリングについてなど。


    Q. ミッキーはなぜ口笛を吹くのか?

    A. 映像と音楽を同期させる技術が発達することによって実現した「リップ・シンク」の正確さを、最も良く表現できる手段の一つが、口笛を吹くミッキーを描くことだったから。

    簡単に言ってしまえば上記のようなことだけれど、もしこの本が「アニメーションの表現史」とかいうタイトルだったら読まなかったかもなぁ…。
    本のタイトルって大事。

  • 細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社、読了。世界で初のアニメーションは『愉快な百面相』(1906年)。3分の作品は黒板に描かれたチョーク画だった。黒板の絵が動く。最初期のアニメはヴォードヴィルの「チョーク・トーク」に由来。寄場の似顔絵即興劇がその原型という。

    本書は、『愉快な百面相』から『トムとジェリー』に至るまで、個々の作品分析を通して「アニメーションの表現史」を辿るユニークな試み。ウィンザー・マッケイ、W・ディズニー、フライシャー兄弟など、巨匠たちの表現技法について具体的に解読する。

    著者の専門は、視聴覚メディア史(言葉と身体動作の時間構造)。映像とセリフのシンクロニシティを巡る考察がスリリング。アメリカではプレシンク、日本ではポストシンク。前者は映像と音声を合わせるが、後者は無視する。アフレコは浄瑠璃等の伝統に浮上する。

    細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』新潮社。 https://www.shinchosha.co.jp/book/603735/ 「アニメーションの傑作はいかに作られたか?」(帯) 本書は著者の大学での講義が本書の元になっているが、映像と併せて読むとより理解しやすい。

    これが世界で最初のアニメーション「愉快な百面相」(1906)ですね。
    Humorous Phases of Funny Faces: http://youtu.be/8dRe85cNXwg

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著者プロフィール

一九六〇年生。声と身体の関わることなら何でも考えてしまう。著書に『絵はがきの時代 増補新版』(青土社)、『うたのしくみ 増補完全版』(ぴあ)、『介護するからだ』(医学書院)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮社)など。『浅草十二階』(河出文庫)、『フキダシ論』(青土社)が近日刊行予定。

「2023年 『代わりに読む人1 創刊号 特集:矛盾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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