- Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037146
作品紹介・あらすじ
同胞の無理解を超えて独ソ戦を予言し、対米参戦の無謀を説き、王室を仲介とする和平工作に砕身した小野寺信。大戦末期、彼は近代史上最大級の「ヤルタ密約」を掴み、ソ連の日本参戦情報を打電する。ユダヤ系諜報網から得た正確無比なオノデラ電は、しかし我が国中枢の手で握り潰された。欧米を震撼させた不世出の情報士官の戦果と無念を完全スクープ。
感想・レビュー・書評
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第二次大戦中にスウェーデンで欧州情報を担当した今で言うインテリジェンスオフィサーの陸軍の小野寺信少将の記録である。杉原千畝を配下にしていた人だ。ソ連の対日参戦という極秘情報を入手打電したのに大本営で握り潰されたのを本人が知ったのは、なんと1983年だそうだ。筆者は、その後に公開された米英資料や、本人の家族に語った証言テープなどを渉猟し、どのように戦時下の異国で情報入手ルートを作り上げたかを克明に記している。本書の出だしはクドイ部分もあったが、しだいに筆ものってきてグイグイ引き込まれた。当時の日本に第一級のインテリジェンス能力があったのがよく分かる。でも、それを使いこなせないのは、変わらないのかもしれない。筆者は新聞記者だが、別の出版社が出したところにも、本書に対する熱い意欲が感じられる。力作である。
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戦後日本を振り返ると瀬島龍三はキーマンの一人であると考える。瀬島は戦前の超エリートで陸軍中枢にいた。大東亜戦争はエリートが判断を誤ったところに大きな敗因があった。終戦後はシベリアに抑留されソ連に洗脳を施された。帰国後、堀栄三に謝罪したのはまだ良心の炎が辛うじて消えていなかったのだろう。彼の転向・二枚舌・無責任・経済的成功が日本の姿とピッタリと重なる。
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ふむ
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【要約】
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【ノート】
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2012年刊。
著者は産経新聞編集委員。
第二次世界大戦の日本の戦争指導につき、一部の単発・例外事象を除き、情報保秘と活用に決定的問題のあったことは従前言い尽くされ、本書もこれを追認している。
ただし、本書はその中で特異な存在であった人物である武官小野寺信について、従来からの資料に加え、新規に公開されてきた英国秘密文書を新基軸に、エストニア、スウェーデンから的確な情報を送信し続けた人物の足跡を辿っていく。
エストニアでの杉原千畝との邂逅、ポーランド情報担当者に貫いた誠、高いインテリジェンス能力は驚異的ではある。
この点、ソ連対日参戦決定のヤルタ密約だけでなく、独ソ戦開始、独軍戦況不利、それゆえの対米参戦回避打診、緒戦から終結模索打診、P宣言受諾直前の天皇制保持容認の方向性など、小野寺提供情報は実に特筆すべきであることは論を待たないだろう。
とはいえ、些か穿った書き方になるが、「誠」とはいえ、小野寺も、多聞に洩れず、多額の資金・機密費を投入しており、貧者の誠、紐付きのない誠、というわけではない。
また、そもそも小野寺が的確な情報提供者だから、他の情報担当者との繋がりが出来た面もあろう。
これらは、ある意味当然のことだが、彼方此方の叙述から偏りが見られる著者の小野寺贔屓を一歩引いて観察すべきことを示唆すると言えようか。
もとより、クロスリファレンスや他書への目配せもきっちりした本書は、内容十分の重厚な書と言ってよいだろう。
ところで、本書は日本の参謀本部戦争指導班へのコミンテルンの浸透につき興味深い仮説を提示する。
そこから見えてくるのは、班員だった瀬島龍三はもちろん、戦争指導班長種村佐孝大佐は要注目すべき人物という点。
本書で触れられるものとして、戦後、種村は本当に日本共産党に入党したか?という疑問。
さらに本書はいう。戦況不利の中、日本の軍人指導部らは顕著な英米嫌悪、ソ連擦り寄りの心性であると。ただそれが中立条約締結相手国だからか、他の要素は本当になかったのか?、と。
本書からは こういう疑問も湧くが、そういう疑問を惹起させるところも本書の買いの部分といえそうだ。 -
この本からできたドラマ「百合子さんの絵本」を見ました。ドラマを見ての感想ですが、海外に送り出された閣下は情報を得ては、日本へ暗号化した手紙を出すが手紙は常々無視され敗戦し、原爆投下に至る。
もっと日本が情報に耳を傾けていればと悔やまれるし、そんなずさんな対応に耳を疑いたくなるような信じられない出来事でした。 -
ヤルタ密約電を封印した売国奴は
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第二次世界大戦中、帝国陸軍のストックホルム駐在武官であった小野寺信少将の非合法活動について、取りまとめた本(2012/08/25出版、1944E)。
本書は、アメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、ソ連のスターリンの三国首脳がソ連のヤルタで会談を行い、「ソ連はドイツの降伏より三ヶ月後に対日戦へ参戦する」と云う緊急機密電を日本の大本営参謀次長宛てに打電したが、その情報は上層部に伝達されていなかった謎について、元産経新聞の記者である著者の推測にもとづいて書かれています。
一見、ソ連・ドイツ・イギリス・アメリカ等と肩を並べる日本の諜報機関が存在し、知られざる諜報活動や破壊工作について、赤裸々と書かれているように見えましたが、注意して読むと矛盾点も見られるため、かなり疑問を感じる内容となっています。
例えば、日本はおろか、日本の暗号解読に成功していたイギリスやアメリカ等、当時の機密文書を調べても見つからないにも関わらず、知りえる筈の無い大本営の末端の参謀がヤルタ機密電を見たと云う不確かな手紙を根拠にしていたり、何故か海軍の駐在武官である藤村中佐が陸軍の参謀本部に会談のことを打電しているとか、イギリス・アメリカ・ポーランド軍による史上最大の空挺作戦マーケットガーデン作戦(本書ではアーネム作戦と書かれている)についての情報をドイツが小野寺少将から事前に入手し、実は何の役にも立っていなかったにも関わらず一矢報いていると評価をしている等々...
その上、同じ事柄に対し繰り返し記述いるため、先に話が進まず、まどろっこしく文章が読みにくい、語(例えば、ドイツと書いたり、独逸と書いたり等々)が一貫していないところがあったり、所々で時系列が飛んでおり、とにかく読みにくい本です。
全部が全部、矛盾点ばかりでは有りませんが、微妙に残念な本です。 -
第一章で終わってるやろ。周知の事実の羅列だけの水増し本だ。ボリュームの割りに価格が安い理由に納得❗️