彼女の思い出/逆さまの森 (新潮モダン・クラシックス)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105910082

作品紹介・あらすじ

今なお話題のサリンジャーの煌めく才能。これが最後の「9つの物語(ナイン・ストーリーズ)」! 若い頃の留学先のウィーンを終戦後に再訪した男が行方を探す美少女、謎の女とともに行方不明になった天才詩人、少年が見てしまった悲劇の黒人ジャズ歌手。グラース家の物語の無垢、そして『ライ麦畑でつかまえて』の異議申し立て……サリンジャーが後年描いたエッセンスを湛えながら本国では出版されることのない幻の短篇集!

感想・レビュー・書評

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  • 「留学中に出会った美少女の記憶、行方不明になった天才詩人の末路。『ライ麦』以前の初期短篇を集めた、最後のナイン・ストーリーズ。」

    J・D・サリンジャー、金原瑞人/訳 『彼女の思い出/逆さまの森』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/591008/

  • 「彼女の思い出」
    ナイン・ストーリーズの「バナナフィッシュにうってつけの日」を彷彿とさせる。
    こうも唐突に世界が終わるものか。

    「逆さまの森」
    一番のめり込んで読んだ一編だったかも。
    『月と六ペンス』のようだと思ったが違う。少しずつ画像が乱れてくる映画を観ているかのようだった。
    帽子を元通りにすることにかけては世界一の女の子には幸せになってほしい。

    十代の頃に受けた鮮烈な印象より、いくぶんナチュラルな気がしたが、訳者の違いでしょうか? 

    ちょっと生意気で掴みどころのない語り口。ずっとその語りを聴いていたい気分になる。
    戦争や人種差別などのテーマを扱いながらも独特の軽快さで煙に巻かれるような短編集でした。
    またしてもサリンジャーに取り憑かれている。

  • サリンジャーの初期の頃のナインストーリーズ。1940年代発表のものなので、第二次世界大戦がバックにチラつく。学生時代ライ麦畑にはまり、サリンジャーの作品を読み漁ったことが懐かしい。やはり、サリンジャーは大好きだ。

  • 好きですね、サリンジャーの世界。
    うっとりしながら読みました。

    帯が大袈裟だから、ほんとに未発表かと思ったら、『ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない』くらいで、なんでこんなに既視感あるんだろう。でも面白すぎると思い始め、『ブルー・メロディ』でようやく気づきました。
    私のサリンジャー選集に入っていた。
    …でもこの選集はたぶん全部読めてないから新鮮に楽しめた作品ばかりでした✨

    『ブルー・メロディ』はベッシー・スミスをモデルにした、今で言うBLMを謳った強烈な作品なので、久しぶりに読んで、ほんとにうまいなぁと思ったし、春樹さんっぽいなぁと思ったし、金原先生の訳が読みやすくってほんとに瑞々しく、哀しくて、かっこよくて。

    そしてタイトルのセンス❣️
    前作の『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる』もすごくよかったけど、
    『ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない』もかなり素敵なタイトル。
    倒錯の森の方がかっこいいけど逆さまの森の方がわかりやすいし、なんかたぶん仕方ないですよね

  • これを手に取ってる時点で、すでにサリジャー作品はあらかた読んだ人が殆どだと思われるのでそら評価は高い。相変わらず(初期作品だが)皮肉が笑えて、精神疾患ある登場人物描写がかなりしっかりしてる。しっかりし過ぎていて、怖いがそこに強烈に惹かれる。

  • 面白かった!サリンジャー初期の幻のナイン・ストーリーズ。「ボーイ・ミーツ・ガールがはじまらない」が特に好き。

  • 「このサンドイッチ…」があんまりピンとこなかったので同じシリーズで出てきた今作もちょっと怖かったんだけど、こちらは最高でした!
    「ナイン・ストーリーズ」や「フラニーとズーイ」が好きなんですが、書かれたのがより若いせいか、オチで露骨に殺しにかかってくる感じもいいし、最後の「逆さまの森」がなんとも新鮮なラブストーリーで痺れた。

    自分にとってかけがえのない瞬間だからこそ、その意味に執着してしまう怖さ。
    それが共有されていない悲しさ。
    無理矢理に奪い取ったところで指の間をすり抜けてしまう。
    ちょっと落ち込んでいた心に響いた。

  • 私はサリンジャーの熱心な読者ではない。「フラニーとズーイ」を読んでから、どれだけ時間が経ったことか。

    今回の短編集は、第二次世界大戦後の比較的早い時期に発表されたのものが多い。そのせいか、死とその影がそこかしこにある。

    コロナ以降、死は、我々の日常生活のすぐ近くに見られるようになった。近しい人々が、非合理的に思える理由で、自分の世界から消えてしまう。我々は、その突然に切断された現実を乗り越えて、生きることの意味を探し続けなければならない。「彼女の思い出」は、淡々と語られるが、そこに展開する人生に胸が締め付けられる。

    不思議だけれど、人間の感情を映し取る文章は、どれだけ時間を経ても古びない。そして、サリンジャーには、なぜかレモン色が合う。今回の装丁は、とても良い。

  • 途中までしか読めなかった。
    戦争の話が多い。

  • J.D.サリンジャーは、ご存知「ライ麦畑でつかまえて」の作者。と言ってもそれを読んだことがなかったのだが、たまたま図書館で本書を見つけて読んだ。

    本書に限らないのだが、外国人の書いた小説は日本人のそれと異なり、主語述語の短文と会話の占める割合が多く、よく言えばテンポ良く話が進むようだが、情景描写や登場人物の心の動きを表す形容が少ないため、感情移入がしにくい。またなぜか、その話しが進む光景すらはっきりと読み取れない。
    自分の読解力がないせいかも知れないが、それはそれとしても、自分には合わなかったかな。

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