赤いモレスキンの女 (新潮クレスト・ブックス)

  • 新潮社
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感想 : 130
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901707

作品紹介・あらすじ

男はバッグの落とし主に恋をした。手がかりは赤い手帳とモディアノのサイン本。パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。英王室カミラ夫人も絶賛、洒脱な大人のおとぎ話第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 誰かのバッグの中身を見せるのが流行っているのかそういった特集をよく見かけるけど、今回のはそれらとは毛色が違ったスリルがあった。
    中の小物から女の秘密に近づいていくところまで何もかもが魅惑的。舞台のパリどころかフランスにすら行ったことがないけど、映画に見るような憧れが沢山散りばめられていた。

    そもそも書店長が主人公って時点で個人的にはポイントが高い笑 現地では閉店した本屋も多いと小耳に挟んでいたけど、まだまだ文学や本屋が重要視されている土地なんだと羨ましかった。

    フランスらしいって言うのかな。
    作中登場する物の香りがどれも豊かで、今でもしっかりと記憶に染み込んでいる。雨に香水、ロールの部屋、そしてポトフ。

    恋愛小説は確かに夢心地になるけれど、自分なんかは突然アウェーになりやすくてたちまち引き離されてしまいがち。
    今回は、少なくともアウェーにはなっていないはず。まだ見ぬ相手に想像をめぐらすパターンだからか、かろうじて「憧れ」の範囲内にとどまれた気がする笑

    終始脳内で優雅に映像化されていた。おまけに香りもついてくる4Dと来たもんだから、思いがけない贅沢をした気分。

  • 顔も知らない二人の男女が出会うまで。
    パリの書店主は拾ったバックを頼りに女性を探し、女性は顔も正体も明かさず姿を消した書店主が気になり探し始める。
    出会わずに愛情を深めていく過程が見どころ。

  • 「書店主が拾ったバッグには、赤いモレスキンの手帳が入っていた。」という帯の文と装幀に惹かれて手に取った本。

    舞台はパリ。ひったくりに襲われてバッグを奪われ、けがで意識を失う女性。次の日、男性がハンドバッグを見つけ、警察に届けるも忙しくて受け取ってもらえず(!)、つい中を確認したところ、赤いモレスキンの手帳に日記とも独り言ともとれる書き込みがあった。
    これだけでも気になるのに、ハンドバッグにはさらに、謎が多く伝説となっている作家のサイン本が入っていた、となれば、書店主の男性が持ち主の女性に会わずして恋に落ちてしまうのも仕方がないかもしれない。
    ちょっとレベルは違うかもしれないが、電車の中で誰かが読んでいる本が思いがけず自分好みだったりした場合、急に親近感を覚えたりするようなものだろうか。本好きなら、わかるわかる、とうなずきたくなるシチュエーションである。しかも二人は、離婚歴のある中年の脱サラ書店主と、同年代の女性金箔職人というしぶさ。若くはない男女だからこそ、おずおずと近づいていく様子がなんともいとおしい。

    この本のキャッチコピーは「大人のためのおとぎ話」である。たまたまだがクリスマスに手に取り、心がほっこり温まった。
    ただ、これが日本なら、と考えると、どうしても「人間椅子」のイメージになってしまう。おしゃれで大人の町、パリだからこそ成立する話なのかもしれない。

  • 『ミッテランの帽子』で一躍有名になった著者が同作から2年後の2014年に出版した小説。
    前作は1980年代だったが、今作は現代のパリが舞台。主人公は書店主の男性と金箔職人の女性。小説からフランスの街の様子、フランス人の人付き合い、生活様式、家族のつながりやティーンエージャーの様子など、日本とはまた違う文化を窺えるのが面白かった。映画『アメリ』に全体の雰囲気が似ている印象。偶然の重なりが導く物語を読み、こうなりたいと思ったら迷わず行動すべきということだなぁと妙に納得してしまった。

  • 裏表紙に書いている「大人のためのおとぎ話」というフレーズがぴったりな作品。

    深夜の帰宅途中に、一人の女性がハンドバックを盗まれるところから物語は始まります。
    後日、偶然にもその盗まれたハンドバックを拾った書店主の男性が、バックの中身のわずかな情報の中から持ち主を探し出し、次第に不思議な恋に落ちていく。

    ざっくり紹介するとこんな感じです。
    読んでる途中で、ん?この男性ちょっと怖くないか?と思うところもあったんですけど、最後まで読むとその違和感もなくなって綺麗におさまりました。

    英国王室カミラ夫人がコロナ禍で
    「大切な人から隔離されたとき、人は読書に癒やしを求める」
    という言葉を添えて
    「正真正銘の本好きが選んだ一風変わったブックリスト」の九冊を選び、その中の一冊が本書のようです。
    アントワーヌ・ローランの次の作品が楽しみです。

  • 現代のパリ。
    パリの書店主が拾ったバックに赤いモレスキンの手帳が入っていて…
    まだ見ぬ持ち主に心を動かされて物語は始まる。

    書店を通じて街の人々が交流し、繋がっていく様子が印象的。
    書店主ならでは…の「本ほど信頼できる友はいない」というヘミングウェイの言葉の引用。

    大切な人から隔離された時、人は読書に癒しを求める。このフレーズがお気に入り。

    まさしく運命的な出会いを感じた大人のためのおとぎ話。

  • Moleskine® official website - ダイアリー、ノートブック、ジャーナル
    https://www.moleskine.co.jp/

    赤いモレスキンの女 アントワーヌ・ローラン(著/文) - 新潮社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784105901707

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      新潮クレスト・ブックスフェア 2021-2022 赤いモレスキンの手帳 2022年版 プレゼント | News Headlines | 新潮...
      新潮クレスト・ブックスフェア 2021-2022 赤いモレスキンの手帳 2022年版 プレゼント | News Headlines | 新潮社
      https://www.shinchosha.co.jp/sp/news/article/2685/
      2021/10/11
  • 素敵な世界観で最後まで楽しく読めた。
    パリの情景が浮かんでくるような、この街ならではの物語。登場人物も愛らしい。
    実在する作家・本もたくさん出てくるので、そちらも読んでみたいと思った。

    また、翻訳にしては癖がなく、注釈も少なめで読みやすい。新潮クレスト・ブックスは装丁も美しく魅力的で手に取りたい本がたくさんあって悩ましい…

  • 男目線で読めばおとぎ話、女目線で読めばホラー。

    拾ったバッグに家の鍵が入っているのに、
    持ち物から恋心を抱いて
    警察に届けず持ち主を探し出そうとするなんて、
    持ち主の女の人の立場からしたらサイアク。
    こわすぎる。
    手帳の日記も隅々まで読んで、
    勝手に家の中やアルバムまでみて、
    そこまでして自分を知りたいと思ってくれるなんて…って喜ぶ女が本当にいるのか???
    たとえイケメンでステキな人であっても、
    人が見ていなければ平気でプライバシーを覗き見できる人、という時点で最低。
    まるで奇跡の連続で紡がれた運命みたいな雰囲気出してるけど、留守電消したこととか思い出してほしい。

  • 赤いモレスキンのノートが入ったハンドバッグを
    盗まれたロールと、それを拾ったローランの
    恋物語。

    フランスの小説で、
    すごくおしゃれな美しい物語。

    海外の物語なので仕方ないかもしれないが、
    会話に『』がないので、
    誰の発言か非常に分かりにくかった。笑

    ストーリー自体は難しくない。

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