ナボコフ・コレクション ロリータ 魅惑者

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (556ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105056100

作品紹介・あらすじ

読み直すたびに新たな発見がある20世紀文学に聳える最高傑作の完全版。少女への倒錯した愛を描く恋愛小説であり、壮大なロード・ノベルであり、ポストモダン小説の先駆でもある。数々の謎を孕み多様な読み解きを可能とするナボコフの代表作「ロリータ」。ロシア語版との異同の注釈を付したその増補版に、少女愛モチーフの原型となった中編「魅惑者」を併録。ナボコフ・コレクション全5巻完結!

感想・レビュー・書評

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  • しつこいくらいに愛を語るハンバード。彼が語り続けるこの話を愛と呼ぶかどうか、、、。愛だと自分自身にも信じ込ませようとしている可哀想な男性にしか見えなかった。ロリータに誘われた。そんな書き方もあるけれど、この小説を「手記」としてナボコフは書いている。どこまで語り手の言葉を信じるのかは読み手によって違う。だから今でも色んな論争が巻き起こる。すべて読み終わったあとに「序文」読み直して呆然とした。そこに全部書かれているのに初めは気づけない。

  • 気持ち悪いハンバート!この本物のロリコンは野放しにしてはいけない。ロリータのスカートに頭をうずめたいとか言っていて、笑えてくるくらいおぞましく気持ち悪い。

    ロリータは幸せになっているといいね。

  • ここに居るロリータは「ハンバート・ハンバートの目を通した」ロリータだ。だから、私たちは彼の饒舌で明晰な語りを通して彼があたかも「創造」するというか「現前」させるロリータに付き合うこととなる。その意味ではこの作品を読むことはどうしたって彼の掌の上で踊らされることを意味するのであって、そこから「性的搾取」や「反フェミニズム」を読み取るためにはかなりやっかいな手続きを踏まなければならない。「(本人も含めた)誰の目も通さない『透明』なロリータ」なる存在がありうるかどうかという実に手強い問いとぶつかるという手続きだ

  • 「非行児、自分中心の母親、あえぐ異常者(P12)」が織り成す物語。

    『テヘランでロリータを読む』を読むために読みました。本作を読んでいないと『テヘラン~』が理解できないかもしれなかったので…こういった理由がなければ手にしなかったです(;´Д`)

    ロリータ、という単語でイメージが先行していて、「ある男性が少女に道ならぬ想いを抱いてしまった悲劇」などと思い込んでいたんですよね。全然違ってました。

    読み終わった感想は「やっぱロリ好き中年親父は無理」に尽きました(『源氏物語』ですらちょっと…と思っているので)。風景描写などの良質な文章になぜかイラっとしてしまいました。ごめん、ナボコフ。

    そして、この主人公(ハンバート)って別にドロレス(ロリータ)自身を愛しているわけじゃないんですよね。理想のニンフェットっぽい子が手近で見つかったっていうだけであって。他の女児に目移りしたりするし。自分の欲求のために子供を束縛する。

    そこがもう個人的に合わなかったです。

    「『ロリータ』と題する書物について」
    ロリータを発行したらわたしもあなたも刑務所行きと言った出版社もあれば、ロリータの性別を変えるなどすれば出版を検討してもいいと言った出版社もあったらしい。

    短篇の「魅惑者」は「ロリータ」で辟易して読む気力がなくなったので未読。

    *****************************************

    以下ネタバレしつつ感想

    第1部
    ・少年時代に恋した少女アナベルは死んでしまった…けど24年後に転生してきた!

    ・9~14歳までの選ばれし乙女を「ニンフェット」と呼ぶことを提案したい。

    私「あれ?この主人公ヤバい?」
    1部第5章、主人公ハンバートの止まらないこだわりを読むのはキツかった。

    ・身の安全のため結婚する。イケメンなので相手はすぐ見つかった。伯父が亡くなって「アメリカに移住して商売を継ぐなら収入を与える」というので浮気した妻と離婚してアメリカへ。

    ・ある一家(12歳の娘がいる)のところに喜んで下宿しようとしたらその家が全焼した(ガッカリ!)ので奥さんの親友の未亡人の家へ。…アナベルの生まれ変わり(12歳)発見!

    「国王は喜びの声をあげ、喇叭が鳴り響き、乳母が酔いしれる」(P55)

    ・中年ハンバートは毎日のロリータ(12歳)チェックに忙しい。ロリータの学校の名簿の名前をすべて暗記。まるで詩のようだ。
    ・ロリータの純潔を守りつつ楽しむことを覚えた

    私「シンプルにヤバい」

    ・ヘイズ夫人(ロリータの母)と結婚。二人を薬で眠らせてロリータを触る計画を立てる。薬は母親で試す。

    私「犯罪では?」

    ・ヘイズ夫人事故死。ハンバートはキャンプにいるロリータを引き取る。自分がロリータの初めての相手ではないことを知る。母親が死んだことを告げる。

    第2部
    ・全米にまたがる大旅行開始、ロリコンアラフォー男性と非行女児のホテル、モーテル暮らし。大学町ピアズレー(女子校と女子大学がある)が終点。

    ・1950年頃にロリータのニンフェット期が終わる…運が良ければ彼女は私(ハンバート)の血を引くロリータ二世を生みその子が8~9歳の頃、私はまだ男盛り。さらにロリータ三世が生まれるかも!

    私「もうダメだこいつ」

    ・ロリータの奴隷になりつつある。ロリータが要求する金銭が増える。男友達などもっての外。女友達は期待外れ。ロリータのスカートにひたすらに顔を埋めたい。

    ・ロリータ14歳、父親(ハンバート)は学校から呼び出しを受ける。ロリータは条件付きで演劇部に入ることになり、劇に魅了される。

    ・ロリータの提案で再び旅に出ることに。道中、赤いコンヴァーティブルに追跡される。夏の演劇を見に行く。

    ・コロラドの保養地でテニス。テニスウェアを着たロリータはニンフィットみが増す。映画に取っておけばよかった。

    ・ロリータ発熱、入院。見舞いに行ったらロリータは退院した後だった。捜索したが発見できず。

    ・3年後、ロリータから「赤ちゃん産みます」と手紙が来たので会いに行き、ある人物の名前を聞き出しその人物を訪ねる。

    私「逆恨みヤバい」

    「陪審席にいらっしゃる淑女のみなさん!どうか我慢してお聞きください!みなさんの貴重なお時間をほんの少しだけ拝借したいのです!」(P172)の淑女の気分をしっかり味わいました。

  • もう少ししたら読むのをやめようと思いつつ読んでいたら読み終わった。
    長いポエムを読んでいるようで最初は気持ち悪かったけど慣れとは恐ろしいものでまた語ってるな〜と思うだけだった。

  • 図書館本。とりあえず「ロリータ」のみ読了。

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著者プロフィール

1899年ペテルブルク生まれ。ベルリン亡命後、1940年アメリカに移住し、英語による執筆を始める。55年『ロリータ』が世界的ベストセラー。ほかに『賜物』(52)、『アーダ』(69)など。77年没。。

「2022年 『ディフェンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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