散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104774012

作品紹介・あらすじ

娘よ!妻よ!絶海の孤島からの手紙が胸を打つ-水涸れ弾尽きる凄惨な戦場と化した、本土防衛の最前線・硫黄島。その知略で米軍を最も怖れさせた陸軍中将栗林忠道は、粗末なテントに起居しながら、留守宅の幼い末娘を夢に見、お勝手の隙間風や空襲の心配をする愛情こまやかな父でもあった-。死よりも、苦しい生を生きた烈々たる記録。感涙のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 硫黄島の戦いがどんなものなのか,本書を読むまで知らなかった.恥ずかしながら.
    「戦争のない時代に生まれて良かった」じゃなくて,「かつて私達の祖先が,私達の国と未来を守るために命を懸けて戦ってくれた」ということに感謝しないといけないんだと思う.

  • 硫黄島総指揮官の栗林忠通は、「アメリカをもっとも苦しめた男」として、日本よりはアメリカで有名だという。
    「泥水」さえ「甘露の水」となるほどの熾烈な環境で、勝つことではなく負けないことを目的とした「抵抗の戦術」、所謂ゲリラ戦を、2万もの兵隊とともに完遂した総指揮官のノンフィクション。

  • 2016/12/07 読了

    梯久美子さんによる、ノンフィクション物語。

    硫黄島で総指揮官として兵士2万人を率いて戦い抜いた、栗林忠道中将について描かれている。兵士を大切にし、彼らと同じように質素な生活をする心の広い指揮官であり、硫黄島を隅々まで調べて陣地と作戦を練る頭の切れる戦略家であり、本土に残した家族を思う父であり、妻を愛する夫であった。

    非常に史実に忠実で、多くの手記や手紙を元に物語は展開される。硫黄島について、太平洋戦争について、深く知りたくなった。

  • 日本人のために、戦ってくれた人達に感謝する

  •    「潔い死を死ぬのではなく、
           もっとも苦しい生を生きよ」

    生き地獄の中で、兵士2万人の生き死にを預かることの、恐ろしいまでの信念はどこから生まれるのか

    家族への愛はそのまま日本国民への愛

    硫黄島をなるべく持ち堪えることによって、終戦を早めようとする達見
    その後に沖縄戦や原爆投下が行われる

    戦争に関するものは身勝手に避けてきたが、この本に出逢えてよかった。

  • ☆タイトルどおりの話だな。

  • 2004.4.19 ~ 21 読了

  • 2005年刊行。NHK取材班が硫黄島生存兵のインタビューをまとめた著作(「硫黄島玉砕戦」)と比較しつつ読むと、本書が上層部(一般兵卒ではない者たち)の綺麗ごとに彩られているのが良く判る。本書だけを読んでも硫黄島戦について、つまり玉砕戦、更に降伏を許されなかった対米持久戦に関しては、ある一面しか理解できないという感じ。もっとも、硫黄島守備軍の最終電文を改変して公開した大本営は一層酷いが…。PS.硫黄島戦史は刊行物も多く、多少関心があれば直ぐ情報が手に入るが、ここで止まると偏りが出そうな気が。自戒すべき点。

  • 硫黄島の玉砕は当事者がほとんど死んでしまったのでしょうがないことではあるが、インパクトのある証拠物件がないのでちょっと食い足りない。情感を重んじる日本人一般には受けがいいのかもしれない。しかし冷徹な事実をもっとかき集めつなぎあわせてみないと歴史の教訓として活かすことも、今後の指針を決める材料にすることもままならない。私には旧日本軍の塹壕や要塞のつくり方はこうであったと図解で示した本(実際に海外の著者によって本が出ていた)などからにじみ出てくる意図されざる悲哀などの方がよほど胸を打つように思えてならない。

  • 硫黄島守備隊司令官栗原中将について、当時の手紙のやり取りを中心にまとめたもの。
    クリントイーストウッド監督の硫黄島からの手紙はこの本を題材にしたのかと思うほど、映画の内容に合致していた。栗原中将の人柄の伝わる良書。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『昭和二十年夏、僕は兵士だった』、『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)、『原民喜 死と愛と孤独の肖像』、『この父ありて 娘たちの歳月』などがある。

「2023年 『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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