ナニカアル

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104667031

作品紹介・あらすじ

昭和十七年、南方へ命懸けの渡航、束の間の逢瀬、張りつく嫌疑、そして修羅の夜。波瀾の運命に逆らい、書くことに、愛することに必死で生きた一人の女を描き出す感動巨編の誕生。女は本当に罪深い。戦争に翻弄された作家・林芙美子の秘められた愛を、桐野夏生が渾身の筆で灸り出し、描き尽くした衝撃の長篇小説。

感想・レビュー・書評

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  • 林芙美子のことも、放浪記もほとんど全く知らずに読んだけれど、とても面白かった。
    放浪記、読んでみたくなる。
    芙美子は実際は、面倒な嫌な女性なのかもしれないと思うけれど、それでもとてもエネルギーのある、魅力を感じた。
    重苦しい戦争の時代の雰囲気も、とても伝わってきた。
    桐野夏生は、欠点を包み込んで女性を描くのがほんとにうまいと思う。

  • 放浪記を読み、林芙美子という人に興味を持っていたら桐野夏生がこれを書いて出してくれた。
    縁があるものはふとした時に目に飛び込んでくるしあちらから顔を見せてくれることがよくある。本当に。

    これは桐野さんの作ったフィクションだけど、読み始めてすぐに「林芙美子」そのものに見えて(読めて)くるし、林芙美子の目線になりきって読ませてくれる。
    こういう才能あふれ湧き上がる情熱をおさえられないような女の描き方、いつも間違いなくうまい。

  • 林芙美子は女だったなぁ。ずーっと、女だったなぁ・・・

  • 林芙美子の作品は読んだことのない私です。
    でも興味深く読むことができました。
    芙美子の愛の行方よりも、戦時中の作家・ジャーナリストのこと、文壇のあれこれ、南方に暮らす日本人のことなどに惹かれました。
    3ページにも及ぶ参考文献の上澄みを小説という形で味わえるのは、また楽しからずや…ですね。
    マンデーは水浴び。

  • 戦争にも触れた作品なので読もうと思いましたが、面白くなさすぎてギブアップ。桐野夏生先生の他の作品は好きなもの多いです。

  • 有時,不只是研磨,某些契機會讓心非常地柔軟敏感,甚至連微小纖細的毛髮的顫動都能感覺到。恰巧在這樣的契機,偶然讀了這本書,因此完全沉浸於作者的筆力之中。林芙美子,看似在戰爭中替軍部妝點敲鑼打鼓的文化人,作者站在她的角度虛構出一個回想錄,一個堅強無比到有些背德的女人,被自己體內的精力推著向前衝,無論周遭的人怎麼看她就是拼命地活著。故事從芙美子回想昭和12、13年前往前線開始從第一位踏入漢口的作家而聲名大噪,但是漸漸感到軍部控制的壓力(掌握紙採取統制制之後新聞社都只好受軍部指揮),昭和17年再度因為大東亞戰爭開始一周年與一堆作家們被徵用到前線,撰寫符合軍部意向的御用作家文。芙美子被派到爪哇島和加里曼丹。從一開始與作家之間的關係描寫、搭上偽裝紅十字醫療船前往昭南(新加坡),船上與事務長的短暫偷情,故事隨著回想漸漸明確主軸其實是不倫,芙美子一面回想與斉藤謙太郎的過去並期待見面,也被同行作家警告小心軍部的監視。故事伴隨的各地風情,也提到加里曼丹當地日僑的處境(戰爭之後被送到收容所,後來交換船交換回日本也被懷疑,日本佔領土地之後很好不容易回來但也發現日本人並不完全信任他們)。故事後半一口氣往不倫的細緻描寫前進,齋藤由於駐英美、親英美加上只有他沒被送收容所因此被認為可能是間諜,芙美子也成為憲兵吊出齋藤的一個煙霧彈。坦白說齋藤本人我並未感覺任何魅力,而他對芙美子分手的赤裸裸血淋淋地指摘芙美子為軍部抬轎的愚蠢,也深深傷害芙美子攻擊她的本質,兩人就有了一段很悲傷的分手,但下一次偶然見面的那一幕,芙美子懷了謙太郎的小孩且即將臨盆,但芙美子完全不動聲色,把那個兩人愛的誓言"如果快忘記就拿出來研磨"的鑽石說要送去研磨後來甚至直接送人,決意在40歲且是戰爭正中時生下小孩,生下屬於自己的小孩(然後跟先生說是抱來的...),讓人感覺到她的無比堅強。雖然對不倫的故事無特別興趣男主角的自大感與語言暴力讓人有點討厭,但後半作者的筆力讓人感到超強的移入感,讀著讀著無比地せつない,但卷末的芙美子的強悍與最後開朗的感覺是給人救贖的。或許是當下的敏感,讓讀後心中的共振久久久久不能停歇。這標題,取得真好。

  • うーん。

    戦争本なのか、恋愛なのか、はたまたミステリ?なのか。わからん。なんだかどれもこれもな感じでどれにも当てはまらず、なんとなくどれもこれもな本。

    戦争は悲惨な感じかと思いきや、マレーシアなどに行って悠々と過ごしていたようだし。お金持ちはこんな感じだったのか。と思わないでもないけど、移動や好きなこと出来なかったっていう点ではやっぱ大変だったんだろうなぁ。

    恋愛の点でも、なんか汚い感じの恋愛。笑笑

    綺麗でも素敵でも、ふわふわしてもいなけりゃ、なんかようわからんけど主人公の年齢が近いせいなのかわからないし、喋り方や語り方がちょっと崩れてるからそうなのかもしれないけど、なんかもういいですその下り。って言いたくなるような汚い恋愛。汚いっていうか、なんつーか。臭うようなそんな恋愛話でした。

    そういう意味ではよりリアルなのかな。冷静と情熱の間のような、素敵でキランキランした大人の恋愛なんかフィクションもフィクションか。と、この本によりより現実を見せられたようなそんな一冊です。

  • 林芙美子といえば「放浪記」、「放浪記」といえば森光子なわけですが、個人的には成瀬巳喜男が監督し、昨年末に亡くなった高峰秀子が主演した1962年版の映画が印象深いです。
    そして、原作:林芙美子、監督:成瀬巳喜男、主演:高峰秀子とくれば、名作「浮雲」(1955年)。
    南方での従軍体験、不倫、という共通するモチーフから、この小説「ナニカアル」は映画「浮雲」を否が応でも連想させる。
    しかも、映画「浮雲」の脚本を書いた水木洋子が実名で登場したりもしてますね。

    かつて読んだ<a href="http://blog.goo.ne.jp/rainygreen/e/85c641568bad3ab0c1402ad32456d846">「残虐記」</a>ほどの複雑さではないにしろ、小説内小説、小説内手記という形式で物語を成立させていく構成力には感心させられるし、実在の人物をこれだけ登場させて戦争の時代の息苦しさを生々しく表現する説得力は、巻末の参考文献リストのボリュームから見てとれる綿密な取材の成果に違いないと思います。

    特に南方で主人公に従卒として付きまとう「野口」という軍人の不気味さ、厭らしさの描写は、女流作家(林芙美子に憑依した桐野夏生)の本領といったところでしょう。

  • 資料から、これだけ書いたということで★をプラス。
    タイトルだけでホラーだと思い借りましたが、全く予想外の内容でした。
    タイトルをなぜこのフォントにしたのかが、最大の違和感。

  • 戦争に翻弄されながらも 必死に作家として執筆し女性として愛に生きた作家・林芙美子を描いた作品。

    戦時中の自らについて独白した文章を姪が発見するというという設定で話が進みます。
    実在した林芙美子さんの事については良く知らないので、どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのかはわからないけど、 あたかも林芙美子さんが残したかのような回想録のように感じられた。

    それも桐野さんの描写、筆力によるものだと思う。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

桐野夏生の作品

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