骨まで愛して: 粗屋五郎の築地物語

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 52
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104548064

作品紹介・あらすじ

とろけるほど旨い粗(あら)料理と、古き良き築地の面影。これは、まさに《読む酒肴》! 築地の有名マグロ解体人だった五郎が満を持して開店したのは、日本唯一の粗料理専門店。鰤大根、烏賊の腸煮、鱶鰭の姿煮……四十年の魚河岸人生で磨かれた名物料理の数々は、訪れる人々の舌を“残すとこなく”口福で満たしていく。粗の魅力に取りつかれた著者が渾身の愛を込めて綴る、涙腺ならぬ「唾液腺崩壊」の人情小説。

感想・レビュー・書評

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  • 築地の有名マグロ解体人だった五郎。魚の粗のみを扱う日本唯一の粗料理店を開店した。五郎の熱意と粗料理で客を魅了してゆく。
    著者はとても魚、粗料理が好きなんだなと伝わってくる。そして深い知識。料理の解説が長いので魚を料理するのが好きな人が読むといいかもしれない。魚の魅力の再発見とともに、捨てられるごみについて、考えさせられた。

  • 先生こういう店が欲しいんだろうなあ。
    みんないい人で話もスムーズで
    ほのぼのした。
    しかしあら料理の描写でもうお腹いっぱい!

  • 粗の色んな食べ方が載っていて、美味しそう(・∀・)

  • 築地で働く鳥海五郎が55歳で選んだ第2の人生は、魚のアラだけを使った「粗屋」だった。

    料理小説。読んでいると粗屋に行きたくなる。築地の捌き屋が主人公なので、出てくる料理は残念ながら素人が作れるようなモノではないが、料理の作り方がけっこう詳しく書かれており、ウズウズしてしまう。
    登場人物がみな人格者で粗屋の経営も順風満帆なので、小説としては起伏に乏しいが、魚食、和食、粗への愛はギュウギュウに詰まっている。
    「ペナペナした脂肪」など味や食感の独特の表現もよく、唾液が湧く。

  • 築地で有名マグロ解体人だった五郎は、日本唯一の粗料理専門店を開店する。小説のなかに出てくるどの料理も美味しそうで食べてみたくなる。魚だけではなく、すべての動物・植物の貴い命を無駄にせず、大切に味わうことを教えてくれる人情小説。

  • 「うま味と甘みとがチュルチュルと涌き出てきて…」「ペナペナとした脂肪やゼラチン質のコクが涌き出てきて…」「ピョロロンと喉の奥に滑っていって…」「口に入れてムニャムニャした…」「シコリシコリとした歯応え…」「プヨプヨと脂肪ののった…」「ブヨンブヨンとしたゼラチン質…」「蛸の卵のポクポクとした歯応え…」「ピュルピュルと微かな甘みが浸み出て…」なんとも変態的なジズル表現が、本書の陰の主役である魚の粗の美味しさを伝えるために次々と繰り広げられます。そして、この小説の作者である、小泉武夫発酵大先生の目を細めた幸せそうな顔が目に浮かびます。発酵学の泰斗である東京農業大学名誉教授の手に成る小説は、魚の粗の虜になった男の「官能小説」であり、次々と繰り出される魅惑のメニューの「レシピ小説」であり、フートロスに苦悶する社会に対する「テーマ小説」であり、そして素晴らしき男たちの友情とそこから生まれる豊かな第二の人生を描く「ファンタジー小説」なのでありました。「粗は世界を救う」築地市場で見る夢は、意外に夢でないのかもしれません。

  • 築地の有名マグロ解体人だった五郎が満を持して
    開店したのは、日本唯一の粗料理専門店。
    鰤大根、烏賊の腸煮、皮剥の肝和え…。
    魚河岸人生で磨かれた名物料理の数々は、
    人々の舌を口福で満たしていく。人情小説。

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著者プロフィール

小泉武夫(こいずみ・たけお):1943年、福島県の造り酒屋に生まれる。東京農業大学名誉教授。専門は醸造学・発酵学・食文化論。専門的な話を、分かりやすく伝える達人。また食の未来を中心に、日本が抱える多くの大問題に挑んでいることから、「箸(★正字)を持った憂国の士」と評される。140冊を超える著作があり、小説も『猟師の肉は腐らない』、『魚は粗がいちばん旨い』など、専門的な知識に裏付けられた独自の作品が多数ある。


「2023年 『熊の肉には飴があう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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