- Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104444083
作品紹介・あらすじ
噂される町。そこに聳える伝説の奇岩――。日本の行方を見据える壮大な長篇。二〇四五年、北関東の町「院加」では、伝説の奇岩の地下深くに、核燃料最終処分場造成が噂されていた。鎌倉からきた十七歳の少年。平和活動をする既婚のカップル。不動産ブローカー。役場勤めの若い女とボクサーの兄。海外派兵を拒む兵士たち。そして、奇岩から墜落死した少年の母……。日本の現在と未来を射抜く長篇小説。
感想・レビュー・書評
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2045年が舞台の近未来小説。言葉が今の世界と違って都合良く言い換えられている。戦争が『積極的平和維持活動』戦死が『活動死』、民間人が巻き込まれて死んだ場合は『事故死』。そのくせ陸上自衛隊は陸軍と明確になっている。今の社会の延長線にこうした事態になりそうで怖い。小説では、日本は宣戦布告を行う。テロ支援諸勢力に対しての宣戦布告は憲法の効力を停止させる。これも本当にこんな事態になりそうで怖い。これからの未来が描かれたシミュレーション小説のようで怖い、怖い小説だ。
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面白かった。現(安部)政権をモデルにしていると思われる、政府の ろくな説明をしないままに(むしろ国民に知られたくないがために)秘密裏にいろいろ決めてしまうところとか、傍受用の建物だって、建ってしまえば景色の一部と認識して 考えることを止めてしまう国民性とか、各方面に向けての批判が存分に込められている。
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重苦しい小説です。
途中で息苦しくなって何度も閉じてしまいたくなりました。
それでも、やはり気になってまたページを開いてしまう。
使用済み核燃料の処理の問題、
それに関する市民運動への弾圧、
「積極的平和維持活動」という名の軍隊、そして参戦、
軍の施設から脱走する兵士、それを手助けする人たち
ー戦場に行くのはいやだ、家に帰らせてもらいたいー
というただ一つの要求を掲げて原発に籠城する兵士、
その生々しさに辟易しながらも、
まさにそれらが起きてしまう可能性を重ねながら読み進めてしまう
「この先、人類はもう滅びるしかないないでしょう」、と籠城する兵士の言葉が哀しい。 -
予言小説にならないことを願う、が…?