飲めば都

著者 :
  • 新潮社
3.66
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本棚登録 : 677
感想 : 171
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104066070

作品紹介・あらすじ

日々読み、日々飲む。書に酔い、酒に酔う。新入社員時代の失敗、先輩方とのおつきあい、人生のたいせつなことを本とお酒に教わった-文芸編集女子小酒井都さんの酒とゲラの日々…本を愛して酒を飲む、タガを外して人と会う、酒女子の恋の顛末は?リアルな恋のものがたり。

感想・レビュー・書評

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  • 北村薫による、ワーキングガール&アルコールな連作短編集。
    著者の小説の中でも、突出してユーモア色の強い作品。ボキャブラリーや表現のセンス、言葉遊び等を出し惜しみなく押し出してくれていて、とても楽しめた。
    話自体もまた良い。短編ならではの起承転結は、衝撃的とまでいわなくとも、そこそこ捻りの効いた展開とオチを味わえる。
    ちょっと良い話が、極上の語り口で整えられているというところか、「笑って泣ける」という、ありきたりだが中身の伴っているのをあまり見ないフレーズが、この作品にはピッタリくる。
    「指輪物語」が好き。
    5

  • 最初、印象が散漫で少しだけ我慢して読み始めたけど、指輪物語あたりから面白くなった。

    しっかりと仕事をするのに、いわゆる女子力は邪魔なんだろうな。
    毎日顔をあわせて気持ち良い仕事をするのに、個人的な感情を持ち込むと、不幸な結末になった時の気まずさ...ってリスクがある。
    目の前の自分の気持ちだけで突っ走しらない大人は、泣きたい時も子供みたいには泣けないんだよね。文ネエ切ないね。

    それにしても「恋愛はうっかりするもん 」には笑ってしまった。
    恋愛も結婚も、こっちの都合にお構いなしに、出会い頭の交通事故みたいなものだと思ってたから。
    でも早苗さんとケンくんのうっかりなんとなくカップルもなかなか素敵。

  • 落語の素養がないもので、
    冒頭の「二十七八、三十でこぼこ」の表現に躓いて
    辞書を引いたり、右往左往していたら
    ちゃんと10頁ほど後に種明かしがされていて
    出だしから北村さんの茶目っ気たっぷりなウィンクが目に見えるよう。

    それはさておき、呆然を通り越して
    もはや清々しささえ感じさせる、ヒロイン都の泥酔ぶり!

    新入社員として参加した職場の最初の歓迎会で
    ベテランの先輩編集者にからんだ挙句、腕を鷲掴みして
    二の腕に赤い痣の輪っかを刻みつけ、

    気になる男性との初デートで飲み過ぎた翌朝
    「上の下着」だけをつけた無防備な我が身と、
    家まで連れて帰ってくれた彼に、
    「何か」をしっかり手渡した記憶に愕然とする。。。

    そんな豪快な(?)お酒の失敗を、これでもか!と繰り返しながら
    本を愛してやまない同僚に囲まれて編集者としての経験を積み、
    オコジョさんという純朴で素敵な伴侶に巡り会って

    スコットランドの酒蔵で鴉やネズミの襲撃から
    命がけで原料の大麦を守るウィスキーキャットのように
    「本の蔵」に住むブックキャットでありたいと願う都が
    しみじみ愛しくなる1冊です。

    • 円軌道の外さん

      あはははは(笑)
      なんとも可愛いらしいヒロインですよね(*^o^*)

      彼に手渡した
      『何か』が
      非常に気になります!!(笑...

      あはははは(笑)
      なんとも可愛いらしいヒロインですよね(*^o^*)

      彼に手渡した
      『何か』が
      非常に気になります!!(笑)


      「本の蔵」に住むブックキャットという表現にも惚れ惚れするし、
      ヒロインのキャラがとにかく
      萌え要素たっぷりだし(笑)

      この本も読んでみたいリスト入り
      決定ですね(笑)(^_^)v

      2012/06/19
    • まろんさん
      手渡した『何か』を見つけるまでの
      都の慌てふためき方がハンパなくて、
      ほんとに抱腹絶倒です!

      手渡された彼っていうのが、イラストレーターの...
      手渡した『何か』を見つけるまでの
      都の慌てふためき方がハンパなくて、
      ほんとに抱腹絶倒です!

      手渡された彼っていうのが、イラストレーターのオコジョさんなのですが
      かわいい眉毛ネコをモチーフに描いている設定で
      それが表紙のねこちゃんともリンクしていて、
      とってもかわいいのです(*^_^*)
      2012/06/19
  •  やっぱりうまいなあ。言葉の使い方、選び方。
     ストーリーの中での時間の流れの速さに少々驚いたものの、いやいや、人生はこんな速さで過ぎていくのだろうとも思い、頷いたのです。
     月の砂漠でサバサバと、を読んだ後の感覚に似てるかもしれない。読み終わってしまって登場人物たちと離れていく寂しさを覚えるような、魅力的な人々。
     酒の上のあれやこれやは身につまされるけれど、他人事だと思えば笑えるなあ。自分のことのように思うと胃が痛いけれど。
     面白くて、考えて、感じて。これは星五つ。

    • 雀宮さん
      人生はこんな速さで過ぎていくのだろう...同感です。
      季節先取りの雑誌の仕事をしている都さんたちも、職業柄、なおさらなんじゃないかと思いまし...
      人生はこんな速さで過ぎていくのだろう...同感です。
      季節先取りの雑誌の仕事をしている都さんたちも、職業柄、なおさらなんじゃないかと思いました(^ー^)
      2012/07/20
  • お酒で失敗したことのある人。
    「わかるっー。」ってなる。
    久しぶりに読んだ北村薫。

  • ほとんどが酔っ払いっての失敗話なのに、下品じゃない。
    問診票に怪我の理由に
    『泥酔のため』ってかく都さん。
    とっても愛らしくて面白かった!

  • 編集の仕事をしている小酒井都が主人公。
    都と仕事や同僚、恋がお酒に絡ませて描かれています。

    さすがの北村薫さんです。
    12の短編の形で連続したお話になっているのですが、一つ一つでも十分おもしろく、くすっと笑えたり、お酒の失敗エピソードにうなずいたり。
    楽しい1冊でした。

  • 三浦しをんちゃんの舟を編むを読み終えたばかりですが、またまた偶然にも手にした本が新人編集者のお仕事小説。こちらの方がツボにハマりました。職場の先輩も上司もお酒飲んで陽気。職場の顔と酒席の顔とプライベートの顔とそれぞれあって当然ですが、公私が見え隠れする様が良かったです。

  • 都ちゃん。
    やらかしてます・・・。

    楽しいよね。
    一緒に呑みたいですわアタクシ!

    お酒でなんていうのだろう。
    あっ。
    お酒(の失敗)で生い立ち(成長)語っている?お話。
    それぞれのエピソード、タイトルともに面白すぎっ。

    あはははっ。

    よかったぁ!

     だんな様との出会い
     ~智恵子抄~
     の中の【猫の版木のトコ】
     が、いいお話なの。

     こういう猫の版木を幾つか作って持って行ったんです。
     ~
     自分の手を動かすと、次々に猫が生まれて来る。
     ~~~
     素敵な時間でした。
     猫の顔の中に、お孫さんや、自分達や、知っている色んな人が重 なっているみたいでした。

     
     

  • 北村薫作品は初期の「円紫」シリーズや「スキップ」3部作は、はまったが、ここ10年ほどの作品は、一応全部追っかけ読んではいるが、初期ほど読んでいて楽しくなかった。

    久しぶり?の連作短編集で期待したところ、適度に軽快なお話で、ミステリー的要素はないものの楽しめた。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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