- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104062058
作品紹介・あらすじ
津波に呑まれながらも濁流の中を自力で泳ぎ、人々を救助した隊員たちがいた。東日本大震災での救助活動、遺体捜索、そして原発対処。緊迫と感動のノンフィクション大作。
感想・レビュー・書評
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東日本大震災での自衛隊の活躍を実名、実部隊名を挙げて、地震と津波の遭難から救援、福島原発対応まで記録したものである。この災難には人の数だけエピソードがあり、全貌を記すのはとても困難だ。杉山隆男という屈指のノンフィクションの書き手は、これまでの経歴もあり自衛隊に焦点を絞って記録を試みたものだと思う。確かに自衛隊の活躍には目を見張るものがあったが、訓練で鍛えられた彼らでさえも未経験の驚き、苦しみ、悲しみ、に覆われていたのだ。涙をこらえて読書するのはつらいので、それを最低限にさせるために本書をこの災害の記録の代表とさせてもらっても、書物の選択ミスには決してなるまい。
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あの震災のことを、書くべき人が書いてくれた。
最前線に携わった隊員たちの珠玉のインタビュー、これだけ集められるのはさすがです。
杉山さんの「兵士」シリーズの集大成ともいえる作品。 -
2011年3月11日14:46三陸沖の太平洋を震源として未曾有の大地震が発生した。
「東日本大震災」である。
本書は、陸上自衛隊多賀城駐屯地にスポットを当て、宮城県沿岸の救助活動、遺体探索、原発対処を追いかけたノンフィクション。
私の妻の実家が仙台にあることあり、震災後の荒浜や野蒜地区の惨状を目の当たりする機会があった。
1年ほど経過した後ではあったが、周辺にはまだ埋もれた乗用車がいたるところにあり、かろうじて残った家屋にも、津波の傷跡が多数残っていた。
地震発生直後からの数ヶ月間の自衛隊の皆さんのご尽力感謝いたします。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」これこそ自衛官の矜持なくしては、できないことでなのでしょう。
遺体捜索のエピソード、涙無しには読めませんでした。 -
自衛隊員から見るあの'11.3/11のノンフィクション、私達が知らないで有事の時だけ頼っている自衛隊を垣間見せてくれるドキュメント。
違った切り口からの3/11が参考になります。 -
ううむ。やはり大手出版社の本はこんなものかな。悪くはなかったけどちょっともの足りず。
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東日本大震災当日、どうにか帰りつた自宅で延々とテレビを観ていた。
大地震と巨大津波の被害は、時を経るごとにとてつもないものだと
感じさせた。
そして、自衛隊の幕僚長による記者会見。制服ではなかった。迷彩
の戦闘服での会見は、本当に日本が非常事態なのだと感じさせた。
東北に展開する多賀城駐屯地では、地震発生直後から災害派遣への
準備がなされ、車両には「災害派遣」の横断幕が掲げられ、担当地域
へ出発する寸前だった。
そこへ津波が襲いかかった。車両は水没し、集散の為に駐屯地を
目指していた隊員の何人かは津波に飲み込まれた。
同じく東北に位置する松島基地では、戦闘機が、輸送機が、津波に
押し流される。被災者を救助し、物資を運ぶはずの航空機が使い
ものにならなくなる。
隊員たちの多くは、被災地に居を構えている者が多くいる。自衛隊員
とは言え、彼らも被災者だ。しかし、家族の安否確認さえ出来ぬまま
彼らは与えられた任務につく。
父である隊員は駐屯地近くの造船所で高所クレーンを操作する息子
から電話を受ける。津波に襲われクレーンの運転席から動けない。
「お父さん、助けて」。しかし、彼にはどうすることも出来ない。
夫である隊員は妻の安否を気にしながらも「きっと逃げていてくれて
いる」と信じて、被災地での行方不明者の捜索に追われる。
本書は自らも被災した多賀城駐屯地と松島基地の自衛隊員を
中心に据えて、東日本大震災での自衛隊の活動を追っている。
著者は自衛隊員目線での作品を書いて来た人なので、客観性
はまったくない。大江健三郎と思われる作家の過去の発言を引き
合いに出してまで、自衛隊礼賛をするのかどうかと思う。
ただ、あの未曾有の災害のなかで自衛隊、消防、警察、海上保安庁
が果たした役割はかなり大きい。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって
国民の負託にこたえる」
批判以外で自衛隊がこれほど注目を浴びたことがあっただろうか。
東日本大震災後、本書以外にも自衛隊の活動を取り上げた本や
ムックが多く出版された。私も数冊、所持している。
本書の中である自衛隊員が「自衛隊の活動が注目されるような
ことがあってはいけない。自分たちは影の存在でいい」と言って
いた。
そうなんだよな。自衛隊が注目を浴びるのは、日本に大変なことが
起っているってことなんだから。
尚、本書には一切の地図が掲載されていない。位置関係が上手く
つかめなかったのが残念。