高校生ワーキングプア:「見えない貧困」の真実

  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104056095

作品紹介・あらすじ

働かなければ学べない。進学や就職、未来を奪われた子どもたちの叫! 学費のみならず、生活費を稼ぐためダブルワークは当たり前。もらいものばかりの家では、親に代わりきょうだいの世話や家事をこなす毎日。成績優秀でも学費が賄えず、多額の奨学金をはじめ「多重債務」を背負う危険性も……。最新ファッションにスマートフォン、一見すると、普通の彼らが直面する「見えない貧困」の実態を炙り出す。

感想・レビュー・書評

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  • 親が貧困だと当然子供たちも貧困です。それが具体的にどんな様相か、取材によって「見える化」しています。高校生が生活のためにバイトをしている。しかも、週3日以上かつ長時間が多く、高校生活の楽しみを奪っています。挙句に進学時は奨学金と負債を抱えてます。人生の楽しみはどこにあるのでしょう。古着の支援は途上国も喜ばないというのに、他人のお下がりを喜ぶ家族が紹介されると、不作為にいたたまれなくなります。貧困は自己責任と批判している事態ではなく、制度の欠陥と知るべきです。コロナ禍によって貧困は更に進んでいるでしょう。継続した取材が待たれます。

    • りまのさん
      私も、高校生の時、週7日アルバイトを、していて、見事に大学受験に、落ち、高校を卒業後、バイトから正社員になりました。大学受験に落ちたのは、自...
      私も、高校生の時、週7日アルバイトを、していて、見事に大学受験に、落ち、高校を卒業後、バイトから正社員になりました。大学受験に落ちたのは、自業自得だったし、働くのは楽しかったけど、高校生の時、もっと頑張って勉強しておけば良かった、とは思います。家計は、苦しかったけれど、貧乏だという自覚がありませんでした。普通と思っていました。りまの
      2021/01/31
    • myjstyleさん
      りまのさん コメントありがとうございます。

      周7日のバイトだと、どうしても勉強時間が不足しますよね。だったら、受験に失敗しても、自業自...
      りまのさん コメントありがとうございます。

      周7日のバイトだと、どうしても勉強時間が不足しますよね。だったら、受験に失敗しても、自業自得ではありません。また、貧乏と思わなくても、余裕がないとは思いませんでしたか。この場合、塀の上を歩いているのと同じで、会社が給与を下げてきたり、入院したりすると急に生活がひっ迫します。この時に支えてくれるシステムがないのが今の問題ではないでしょうか。努力してもダメな時に、自己責任と言って見捨てるシステムはおかしい。
      2021/01/31
  • 相対的貧困
    活動家やマスコミが「貧困」を政権批判として問題にするために新たに定義された「貧困」とも言えると思います。
    それだけに「貧困」と認めない層が多いのもまた事実です。
    でもその中に「貧困」に見えない「貧困」が現在するのもまた事実なんです。

    本書は丁寧な取材を通じて現代の「貧困」をあぶり出していると思います。
    スマホ持ってるから「貧困」と認めないと言ってる層に気づいてもらえるのか。

    個人的には活動家やマスコミがなんでもかんでも相対的貧困に入れ込んで玉石混交に全てを問題にしようとする姿勢が認めない層に反論の機会を与えて着地点を遠ざけてるように思うんですよね。
    折り合いをどうつけるかが政治行政が動く突破口になると思います。

    貸与型の奨学金についても高卒の求人が激減してるから借りて大学進学しか手がないと言ってますがホンマなんか。
    逆なんとちゃうんか。
    実際大学全入時代やから考えずに借金して進学するのが大多数やったら求人出しても意味がないんじゃないのか。
    大学の適正配置が先ではないのか。
    給付型奨学金と並行して優勝劣敗の法則はこれからの大学再編として絶対必要やと思います。

    僕はそのためにもこちら側の論理も勉強すべきやと思ってます。
    こどもの貧困は自己責任論で片付かない問題やし逆に言えば認めない層が受け入れる余地のある問題やとも思います。
    「親は何してんねん」って批判はできてもどうしようもない親は現実としているんやから仕方ないです。
    そこからどうするか考えないと。

    本書はまさにそんな見えない「貧困」をあぶり出してる良書やと思います。
    ただ惜しむらくは生活費とか母親のダブルワークとか女の子のアルバイト代とかこんだけ働いて児扶手もらえる水準の所得しか無いんかとか。
    児扶手もらってるとしたら父親は生きてるんちゃうん?とか。
    数字について疑問が残れば相対的貧困を認めない層を説得するのは不可能やと思います。

    政治行政がこれからどうすれば良いか
    一つの問題提起になり得る本やと思います。

  • 図書館で借りた本。
    高校生ながら、働かないと生活できない子がいる。「働かないと生活できない。でも働いて学業に支障が出てしまったら、何のための高校生活なんですかね。」の言葉が印象的だった。うちの子も、受験生。この言葉を聞いて何を思うかな。勉強、勉強で苦しいかもしれない。でも、勉強だけに専念できて、塾にも行かせてもらえる。これはありがたい事なんだと思って、苦しい今を乗り越えて欲しいと感じた。また、今勉強中の奨学金の問題点なども書かれていて、大変参考になった。

  • 高校生で ワーキングプア? って 
    ありえないでしょ。。。と
    子供のいない私はすぐ思いました。

    でも、読むと 高校生がというより
    保護者が 片親だったり 色々の事情があって
    ぎりぎりの生活を余儀なくされている 
    家庭があることを知りました。

    勉強したいので 進学したいけど
    学費が払えない。奨学金を 受給できる事になったけど(奨学金は入学後なので)事前に支払う入学金の工面を考えなくてはならない事。
    奨学金を受けれても 卒業と同時に 数百万の借金を背負う事。

    そして スマホは 持ってるけど 新しい洋服など買えず、
    バイトの給与は 家族の食費にという 高校生がいるという事。

    親が寝る間を惜しんで 働いているのだから
    自分は 部活に入りたくても(入ると 色々お金がかかる) 
    ガマンして 生活する。
    心が成長する時期なのに 心を自由に出来ない環境。

    なぜ 見えない貧困なのかというと
    貧しいと言うのが 見えちゃうと 子供が(いじめられたりして?)かわいそうだから 
    できるだけ見えないようにしているからなのです。

    なんか せつないですね。
     
    おしゃれとかしたい 年頃の子が 洋服を 数枚しか持っていない。
    でも、スマホのお陰で 安い服が入手できたりする。
    だから スマホは 必須なのです。

    日本の子供の 7人に一人が 貧困状態とは 驚きました。

  • ニュースなどで奨学金返済に苦しんでいる人がいることは知っていましたが、高校生でもこんなに大変な生活を送っている子がいるのかと衝撃を受けました。
    高校生活は3年間しかなく、これから生きる上でたくさんのことを学んでいく時期です。
    学びの機会が働くことによって奪われてしまうのは残念なことであり、改善しなければならないと感じました。

  • 2021/3/2

    高校生の6割が奨学金を申請することに驚き。

    高校生が平日4日4時間、日曜も8時間働いて家計を支える。
    入学金を払えず合格したにもかかわらず入学できないかもしれない。
    高校生のバイト代で収入が上乗せされているから貧困とは思われない事案も多数。
    ツラいなぁ。

    親に介護が必要となり、毎月10万仕送りが必要になったら?
    他人事じゃない。

    子どもには勉強する権利があってほしい。

  • 子供が働かないといけない状況,また働くことで助成金がもらえなくなること,大学の奨学金の悲惨さ,など何となく感じていたが,これほどとは知らなかった.

  • 家族や自身の為に働かざるをえない高校生達の生活を書いたドキュメント。
    「見えない貧困」を見える化することが大切。

  • こどもの相対的貧困に焦点をあてた本。ワーキングプアという一面だけでなく、いかに進学や日々の生活において制限があるのかがあげられている。特に母子家庭の子の貧困が多い

  • 日本は低所得者が増えることを望んでいるんだろうか…

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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