- Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103982074
作品紹介・あらすじ
小説は、人を遠くまで連れてゆく。書き手の境地を読者のなかに再現する小説論。
感想・レビュー・書評
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保坂氏の作品はとても難解で分からないことだらけなのですが、そのような中でもとても印象的なフレーズが宝石のように煌めいているので、私を惹きつけて止まないのです。この作品の感想は特にうまく述べることができませんので、フレーズの列挙を感想に替えます。「この連載を通じて「因果関係」という言葉を何十回書いたか見当がつかないけれど、一つか二つかせいぜい数個の入力に対して一つの結果が出てくるというふつうにイメージされる直線的な因果関係の思考法が、私には思考の省略か怠慢としか感じられないのだ。(P217)自我も私が私のものと思っている意識も、複雑に展開しつづける運動群が一時的に収束した状態にすぎないのではないか。(P218)フェルマーの最終定理の解法もポアンカレ予想の解法も、専門の数学者なら腕組みして「ふむ、ふむ」と聴いてわかるようなものでなく、証明のプロセスに必死に食らいついていかなければ取り残されてしまうほどのもののはずだ。思考の強度というか潮位というか、それなしにわかることなんてろくなものじゃない。(P394)
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保坂和志「小説、世界の奏でる音楽」 http://www.chuko.co.jp/bunko/2012/10/205709.html … 読んだ@台北、うおおおお、おもしろかった!!!この人の本自体が初めてで話はあっちこっち連想で飛ぶし文体も独特だしで、慣れるのに手間取ったけど、途中からのめり込み。旅先の時間の殆どが読書に。。(つづく
そんなに予防線を張らずとも誰もツッコまないとツッコむほど言い訳めいたクドい文章は途中で哲学の様相を帯びる。この人は人間の身体感覚を信じ小説家なのに言葉の力を信じていない、と判った途端に俄然面白くなる。思考をそのままを反映しているような文体だけど幼稚さはない(あたりまえか)(つづく
あらすじとして要約できないものを小説という。小説を批判するのではなく書いてあるままを信じる。印象に残るたった一つの描写に出会うことが小説を読むということ。小説はライブ。とかとか。「わかる」という定義や、時間の概念と記憶と実体の話がおもしろい。この人の他の本も読む。猫。。(おわり -
名選手必ずしも名監督ならず、の逆もまた真なり。この人の小説はあまり面白くないけど、評論はすこぶる面白い。小説のなかで働く力学とそこに流れている時間についての考察で、これを読めば、ワイドショーやお笑いネタとは決定的に異なる、小説というジャンルの面白さ(書き手にとっては、難しさ)がよくわかる。
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小説論の第三集目。モードが変わったな、という感じを受ける。三冊目になって、非常にわかりづらい部分が多くなった気がする。小説を書かない僕にはわからない部分が、実感できない部分が、でてきているのかなぁ、と思いながら読み進めていた。あとがきに新作を書き始めていて、書いては消し書いては消しを繰り返しているというようなことが書かれていて、とても嬉しかった。新作を心から待つ。(08/11/9)
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群像2009年1月号書評より
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保坂和志さんの本は、「途方に暮れて、人生論」「三十歳までなんか生きるなと思っていた」に続き3冊目。少々私には難しく途中かなり飛ばしてしまった。小島信夫さんに関連している章はどれも面白かった。2008/11
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ちょっと、がっかり。
楽しみにしていたのに、なんて感想は怒られちゃいますよね。