砂浜に坐り込んだ船

著者 :
  • 新潮社
3.28
  • (1)
  • (19)
  • (19)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 164
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103753094

作品紹介・あらすじ

すぐ隣りにある死。語りかけてくる死者。死を思いつつ生きることが人生を深くする――。札幌近郊の海岸で、砂浜に坐り込んだような姿で坐礁した大きな貨物船。その写真を眺めていると、死んだ友人が語りかけてくる。夫に先立たれた母と暮らし、旅と遊びが好きだった。友人の苦しい晩年と、行方の見えない自身の現在を描く表題作など、生と隣りあわせにある死を描いて、人生の奥深さ、底知れなさに触れる全8篇。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  「治すのは身体の中から湧く力」、これは、そうだなと思います。「身体というのは究極の私物」「運命はそれ以上に私物」、この2つの言葉は、私にとってとても新鮮でした。言われてみると、そんな概念、理解できます。池澤夏樹「砂浜に坐り込んだ船」、2015.11発行、8つの短編が収録されています。

  • まあまあ

  • 苦麻の町 被災地の福島県に由来

    使者との対話

  • 心臓がきゅーっとなるくらいの想いを内包した短編集
    文体は軽めなのに味付けは濃厚
    監獄のバラードが実体験に重なり忘れられない一作になった

  • 砂浜に坐り込んで動けなくなった船は、まるで、不本意に亡くなった友人のように思え、
    あんなに愛していた彼女を捨てた自責で自殺行に、

    心の奥底に漂っている悲しみが、沈殿できずに流浪しているようだ

  • すぐ隣りにある死。
    語りかけてくる死者。
    死を思いつつ生きることが人生を深くする――。
    札幌近郊の海岸で、砂浜に坐り込んだような姿で坐礁した大きな貨物船。
    その写真を眺めていると、死んだ友人が語りかけてくる。
    夫に先立たれた母と暮らし、旅と遊びが好きだった。
    友人の苦しい晩年と、行方の見えない自身の現在を描く表題作など、生と隣りあわせにある死を描いて、人生の奥深さ、底知れなさに触れる全8篇。
    (アマゾンより引用)

    この人の物語、あと一冊読んで面白くなかったらもうこの人の本は読みたくない

  • "今の彼の喪失感を想像しようとして、それは想像してはいけないことだと気づいた。想像が届くことではない。それならばその部分は空白にしておいた方がいい。"(p.27)


    "悩みが深い時に欲しいのは助言ではない。ただ聞いてくれる相手だ。"(p.37)


    "力がないんじゃなくて、その気持ちがないんでしょ。"(p.166)

  • 短編の作品毎に色が違う。
    ちょっと作品に入り込むには自分の知識が不足している。

    しかし最後のマウント・ボラダイルへの飛翔は背景を理解してもう一度読みたいと思った。


    mt. borradaileをもっと詳しく知りたいと思った。

  • 津波がやってきて、街をさらっていきました
    海はみんなを持っていったけど、遠い異国の植物の種を残していきました
    なんかそんなかんじ

  • 東日本大震災後の悲しみや、人の心の立ち直りを思わせる短編集。表題作の、死者との会話には「マシアス・ギリの失脚」のリー・ボーを思い出した。現実にはない不思議な話が多いけど、静かな筆致でナチュラルに描かれている。

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池澤夏樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×