きみのためのバラ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 302
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103753063

作品紹介・あらすじ

ヘルシンキ、ミュンヘン、メキシコ、バリ、アマゾナス、沖縄…世界の片隅でひっそりと起こる贈り物のような出会いと避けがたい別れ-。遠く離れて暮らす幼い娘と年に一度旅をする父親。憑かれたように求めあった年上の女医と青年の奇妙な十夜。駅のホームでトランクに腰かけていた黒い瞳の美少女。そして二度と会うことのない彼女のための、一輪のバラ。人生の一瞬が永遠に変わる恩寵のようなひとときを刻みつけた、美しい八つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 『きみのためのバラ』読了。
    高校生の頃以来の再読でした。
    まるで世界旅行をしている気分になった。こんな話だったっけってあんまり覚えていなかったっていうのもあるけど、秘境の地で人々の生活や人生が交差していくなかでいろんな発見や出来事がある。
    国境を超えても人間の本質は変わらないんだな。
    短編集だったんだけど、一番良かったのが「20マイル四方で唯一のコーヒー豆」だった。
    なんだろう、拠り所みたいな場所で昔の記憶を思い出した少年。少しずつそうして大人になっていく過程みたいなものを感じた。
    世界に行ってみたいな。
    まだ行ったことがない。きっと、広いんでしょうね…
    以前読んだときは「連夜」という幽霊?が体に乗り移って楽しいことをするという話が面白かったって記録に書いていたけど。
    なんとなくその話だけは覚えていてやっぱり印象は強かった。
    沖縄が舞台だったんだけど。

    2020.1.23(1回目)

  • 初読み作家。タイトルに惹かれ購入。
    様々な場所で、ただ通り過ぎるだけだった人たちが一瞬の奇跡のように出逢う。“会話”を交わせなかった一日の終わりのディナーで目の合った男女。妻を殺して義父から逃げる男の出会った“逃げる人々”の教えてくれた奪い合う気持ちを攫ってしまう言葉。幸せになるはずだった花嫁の、絶望としなやかなというには苦しい強さ。父との関係に罅を持つ少年の切ない変化への憧れと小さいが確かな前進への気配。異国を舞台とした(沖縄も入っているけれど)その場所の空気とともに織られる他愛ないが故に後から意味を持つ一瞬を描いた短編集。洗練された文章というのかもしれない。やわらかさというよりしなやかさ、そして芯の真珠のような発光で物語を照らす。久々に好きになった男性作家。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「他愛ないが故に後から意味」
      翻訳や詩もする池澤夏樹だから、ちょっとしたコトに意味を持たせるのが上手いのかなぁ~
      「他愛ないが故に後から意味」
      翻訳や詩もする池澤夏樹だから、ちょっとしたコトに意味を持たせるのが上手いのかなぁ~
      2012/05/07
  • 池澤作品に漂う、あの雰囲気はなんなんだろう?村上作品の中の、どこか寂しい冷たさや、あるいは恩田陸作品のねっとりと絡む様な濃厚な暗さに飽きた時、わたしはある意味で癒しを求めて池澤作品に手を伸ばす。彼の書く文体にはアジアの南風が宿っているような気がする、あたたかく、やわらかく、それでいて体を解放してくれるような。

    どれも小品としてスケール・深度ともにきれいにまとまってはいるが、『20まマイル四方で唯一のコーヒー豆』『きみのためのバラ』がとても良かった。多分誰しも一度は経験した事がある、過去と今とのオーバーラップ。つらいものにせよ青春の青臭い1ページにせよ、筆者は過去を克明に描いて見せることで、現在に向かってひらく裂け目をも明確にしようとしている、そんなふうに思った。


    あと池澤さんは、「味が濃くてはっきりしていて、香辛料がたっぷり」な料理が好みとみた!

  • 面白かった。

  • 初めての池澤夏樹。いい短編集に出会ったことが無かったから、中々いい。とても上手い。上質な翻訳物を読んでいる無国籍な雰囲気がある。

  • 旅する大人の小説。外国語を話すと違う自分になれるという行に共感☆

  • 読破せず
    おもしろい?

  • 自分の気持ちに素直に向き合おう、と思える本。

  • 一話ずつの物語がそれぞれの旅。
    どの国かはたまた何をしているのか全く違う。

    “人生の広場”がすごく好きで、
    “きみのためのバラ”の終わりが美しい!

  • なんでこの本を読もうと思ったのか、サッパリ思い出せない。

    内容も悪くはないけど、好みの感じではないし。

    表題作もサッパリだわ笑

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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