- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103737179
作品紹介・あらすじ
「夢の帆」は俺が作る――。江戸海運に革命を起こした男の堂々たる航跡! 播州高砂の漁師から身を起こし、豪胆な船乗りとして名を揚げ、時代を先取りする海商となった松右衛門。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすこととなる。あの高田屋嘉兵衛が憧れた、知られざる快男児を活写する長編歴史小説。
感想・レビュー・書評
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ちょうど10年前だから震災の年、青森を出港した復元北前船「みちのく丸」が我が市の美保関に寄港した。かつて読んだ『菜の花の沖』で知る千石船と呼ばれる弁財船だ。なんというスケール、これを造る船大工、操舵する水主、現代の船舶とは別モノの当時の技術に感動した。嘉兵衛に次ぎ松右衛門の物語に触れ、改めて蝦夷の鰊が食用としてでなく魚肥として扱われたこと、松前藩がアイヌに対し極めて横暴であったことなどを思い返す。今回は新綿番船を初めて知り、こうした競合いが廻船技術を高めたのだとしみじみ思う。松右衛門帆は復元商品あるんか。
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骨太の歴史小説。500ページ弱を一気読み。人の心の機微、思いが鮮やか。思わずこぶしを握りしめて読み終えた。柱は牛頭丸、後に松右衛門と呼ばれる船乗りだが彼に寄り添う女性たちも、時代に流されずおのれを通す意味でも素晴らしい。私の中では直木賞もの。
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昨年の新田次郎文学賞受賞作だが、それもうなずける傑作だ。
《豪胆な船乗りで、時代を先取りする海商、そして北前船の帆の改良で、江戸海運に革命をもたらした男》(帯の惹句)の物語である。
題材としてはかなり地味だ。
主人公の 工楽松右衛門は一般にはあまり知られていないし、誰もが知る著名人はほぼ出てこない(のちの山片蟠桃や高田屋嘉兵衛が出てくるくらい)。
話自体も、帆の改良(=帆布を発明した)が山場なのだから、何とも地味。
にもかかわらず、約450ページの大作を一気読みさせる。ドラマティックな物語に仕上げる手際は、さすがベテラン作家である。
特徴的なのは、武士がほとんど出てこないところ(わずかに登場する武士は、陰湿ないじめをする悪役だったりする)。商人と職人たち、そして何より江戸時代の船乗りたちの物語である。
「歴史経済小説」の趣で、当時の経済の仕組みがよくわかる。海商、職人たちの世界の描写は濃密で、臨場感に満ちている。
松右衛門が生涯に愛した4人の女たちをめぐる、清冽なラブストーリーとしての側面もある。
これは、著者が初めて男性を主人公に据えた歴史小説だったそうだ。タイプの異なる4人のヒロインたちの鮮やかな描き分けにこそ、著者の真骨頂があるのだろう。 -
兵庫、高砂にこういう人が居たの知らなかった。
海運並びに北前船がなぜ江戸時代、経済の根幹になり得たのか理解を深める切っ掛けとなりそう。
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また たくさんの事を知る事が出来ました。
松右衛門さん が スゴすぎ 素敵すぎです。
船の事 湊の事 時代背景 などなど 色々な事がどっしり詰まっています。
私も高砂の海をみてみたい!
「年をとるというのは、力を得るということ。時間を味方にできたということやったんや」
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北前船、北回り航路、高校の日本史で暗記したが、いまいち何のことか分からなかったことが、30年たってようやく理解できた1冊。日本の地理と時代背景がないとなぜ日本海航路が中心なのかわからない。ストーリーは一人の男が水夫から大船主になる、ありふれたサクセスストーリー。しかし背景にある、船の製造工程、商いの仕組み、身分制度に派生する幕末の外交姿勢など、サイドメニューが抱負で、学ぶことが大きい一冊だった。繰り返すが、北前船の意義を理解したことが、すごい収穫として感じられた。なぜだろう。高校時代から引っかかっていたのだろうか。
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高砂出身の北前船の船頭松右衛門、帆の布の改善など工夫した!
進み方がいらいらした! -
兵庫ラジオカレッジ
玉岡先生のお話はわかりやすくて興味深い!
物語の背景と人物に理解が深まると
歴史が面白くなっちゃいますね
北前船の帆を極めた主人公
そして玉岡先生お得意のそれを支えた女性たち
生き生きした物語が期待できます -
二人の関係が切なかったりしたけどそれはそれでよかった。こういう方がいたおかげで今の日本があるんだなあと。読んでよかったです。