アスクレピオスの愛人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 362
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103631101

作品紹介・あらすじ

WHOのメディカル・オフィサーとして、感染症医療の最前線で働く美貌の女・志帆子。離婚した有名美容外科医との過去、さらに野心溢れる病院理事長との大人の関係や、年下の小児科医が秘める熱い想い…男たちの憧憬を一身に浴びながら、キャリアも女も輝かせる志帆子には、決して語られることのない「秘密」があった。そしてある事件をきっかけに、彼女の周囲に、憎悪と疑惑、嫉妬の渦が伝染していく-。純粋であるがゆえに残酷で、ひたむきさゆえに奔放。マリコ文学史上最強のヒロイン誕生。東京、ジュネーブ、アンゴラ、バンコクを舞台に、さまざまな問題を抱える現代医療の現場を鮮烈に生き抜く女を描く衝撃のメディカル・ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • とにかく林さんらしい文体だなぁと。結構下調べもされたのでしょうね。下世話な話しもふんだんに入っていますが、医療の現実がたくさん淡々と描かれているようで興味深いです。
    好き好きがはっきり分かれそうな物語です。

    主人公に林さんの理想が詰め込まれている感じがしました。
    女なら、こんな女になってみたいと思う人は多そうです。
    若い頃はこんな色気たっぷりで、男がみんな靡いちゃうような女なんて
    頭が良かろうが愛想良かろうが鼻白む思いでしたが、今は「持ってたら人生楽しいだろうなぁ」と素直に思います。
    持たざる人生をそこそこ送ってきたから。年取ったからだなぁと(笑)

    タイトル、「恋人」じゃなくやはり「愛人」でないとなりませんよね。

  • 志帆子の愛人はアスクレピオスというか、使命感なんだな、って最後に納得できた。すごくカッコいい。

  • 以前、自転車で行けるくらい近所の大学にマリコさんが講演に来ていたので聴きに行ったことがあります。
    そのときにこの本の裏話をたくさん聞いたので、いつか読もうと思いつつ、つい後回しに・・・
    結局1年越しでしたが今回やっと読むことが出来ました。。

    この本は、編集者側から、
    「とにかく本が売れません。未曽有の出版不況にもかかわらず売れているのは今は医療モノだけです。私たちと一緒に、平成の白い巨塔を創りましょう!!」
    と持ちかけられた企画だそうで。
    それで、モデルとなるWHOで活躍する日本人女性もみつけてもらって、ジュネーブへも編集者の同行のもと、取材をさせてもらったそうです。
    しかも、「平成の白い巨塔にするなら、裁判もしないと!」と取材ができる弁護士さんなんかも手配してもらったというようなことをおっしゃってたような・・・(うろ覚え)
    とにかく、「こんなテーマでこんな医療モノを描いて」とかなりお膳立てをされての執筆だったそう。

    実際に読んでみると、よく取材されてるなあとは思いましたが、はっきりいって林真理子に医療モノは向かないですね。
    バブルな恋愛モノとか、女同士の戦いとか、ワイドショーとか昼メロを楽しむ感覚で息抜きに読める本じゃないと光らない。
    彼女が書くと、医療現場での「死」まで陳腐に軽くなっちゃうのです。
    っていうかこの題名じゃ医療モノだってわからないし、そのまえに覚えにくいんですけど、それはよかったのでしょうか??編集者さん。

    編集者って、作家の得意不得意作風に関わらず、売れる本をつくるためにずいぶん強引なんだな、と読み終わってあらためて感じました・・・

    • まるたま。さん
      林真理子は医療モノは向かない!に同感。
      林真理子は医療モノは向かない!に同感。
      2014/03/12
  • ものすごぉく期待して読んだのと、
    この小説の主人公と、主人公のモデルになった実在の女性とがあまりにもかけ離れたキャラクターだったので、ちょっとゲンナリ。

    ストーリー自体は林真理子さんらしい展開で、上手いなぁと感じた。
    ただ、林真理子さんの他の作品に比べると、特別に素晴らしいとは思えないかった。

  • アスクレピオスはギリシャ神話の医術を司る神の名前です。
    主人公はWHOの高官である才媛、そして誰もが惹き付けられる魅力のある女性。

    正直に思ったことをそのまんま書きます。
    文章が上手く読みやすいのでページをめくっていくのだけれど、次はどうなるのかとわくわくするわけではなく、自分にとっては楽しい読書ではありませんでした。
    主人公、志帆子の心の動きには主眼は置かれていなかったのですね?
    深いところの思いは謎めいたままというラストは残念です。

    興味深かったところは娘である、れおなの医大での実習の部分。
    こつこつ猛勉強をする受験生。そしてみっちり学ぶ医大生。
    医者となってからも本当にご苦労も多く頭が下がるばかりです。
    お医者さんてすごいですね。

    それにしても林真理子さんは医者およびその周りの方々にずい分精通していると感心します。
    お金持ちの方々の生活志向にも詳しく、作中お金をたっぷりもった人たちの描写がやたらと登場したのには辟易しました。

    確かに一般庶民の知らない世界を垣間みることはできましたが、そこまで披露してくれと望んで小説を読んでいるわけではないのです!
    作者自身がセレブへの並々ならぬ憧れを持っているのだろうと感じられ、鼻白む思いです。
    美への意識の強さもまさに林真理子さんの志向があふれていました。
    たっぷりお金と手をかけることが佳しとされているような…。
    そして書名にもなっている”愛人”。
    私は図書館へ予約した時は「アスクレピオスの恋人」だと思っていましたが手元にきてみたら愛人…。
    そんな愛人のもろもろを書きたかったのでしょうかね。
    この作家さんはもういいかなぁ…と思わされた作品でした。

  • こんな女の人がいてもいいと思う。むしろいてほしい。この主人公の様な男の人はいるんだから、仕事ガンガンして自分の欲望に正直で。男と女で違いってそんなにあるのかなー。ない気がする。

  • 終わり方が予想外、医療に携わる者の覚悟を見せてもらえたなという感じ。

  • これも図書館で何度か借りて、でも家に帰るとなんか読む気分になれなくて、
    今回やっと手をつけられて、最後まで読めました!
    シーナの魅力もよくわからないけど、シーナを崇める男の人達のよさもなんかよくわからない。。。
    面白かったのは面白かったけど、終わり方もなんだかなぁと。
    シーナほど使命感を持って医師をしていると、どっかでメチャクチャなことをしないと、バランスが取れないのかなとか思ったりしました。
    グイグイ読み進められて面白かったけど、最後がスッキリしなかったので、星3つにしておきます。

  • 最後はよかった!
    どういう終わり方するんだろうと思っていたから
    ただ・・・このの後よね
    きれいな人を描くのは上手いな~~

  • 医療女史の生き方とその周囲の絡みが、大変興味深く書かれてあり、面白かった。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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