刑事弁護人

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 878
感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103544517

作品紹介・あらすじ

有罪率99・9%の刑事裁判に挑む若き女弁護士は真実に辿り着けるのか。構想17年の新たな代表作、降臨。現役女刑事による残忍な殺人事件が発生。弁護士・持月凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句、弁護士解任を通告されてしまう。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、残忍な誘拐殺人事件、そして息子を亡くした母親の復讐心? 気鋭のミステリ作家が挑んだ現代版「罪と罰」。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの図書館本です(嬉泣)。
    500p超の単行本だったので座って読んでいたら腰痛気味になりました。


    主人公の持月凛子30歳は刑事弁護人です。
    事件の被疑者に付く弁護士です。
    相棒となった西大輔37歳は以前は警察官でした。

    凛子たちが弁護するのは垂水涼香33歳で殺人事件の容疑者です。職業は警察官でジャーナリストの夫がいて子どもの響を4歳で亡くしています。

    死んだのはホストクラブに勤める元バンドマン、前科のある加納怜治。22歳の時窃盗で逮捕されています。

    涼香は加納の自宅マンションで加納を酒瓶で殴って死亡させています。
    涼香は加納の客であり性的暴行を加えられそうになりとっさにそこにあった酒瓶で殴り殺すつもりはないのに死んでしまったと供述しています。

    西は、加納が窃盗で逮捕された警察署が以前に涼香が勤務していたのと同じ警察署だったことから以前から涼香が加納と知り合いだったのではと疑い涼香に尋ねますが涼香はホストクラブで初めて会ったのだと言い張ります。

    涼香の言っていることは本当なのか…?
    嘘だとしたらなぜ嘘をつくのか…?
    そして涼香は本当に加納に殺意はなかったのか…?

    凛子は父もまた、刑事弁護人であり、弁護した事件の被害者に逆恨みされ殺されています。

    事件がだんだんに解明され凛子と西には真実が見えてきます。
    それは涼香にとって非常に不利なものでした。
    でも最後まで凛子は涼香に殺意はなかったと信じて公判に挑みます。

    刑事弁護人である凛子の優しさと、最後まで心を折る事なく、周囲の人々の為に真実を語った涼香、どちらも素敵でした。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんにちは♪
      久しぶりの図書館本、良かったですね✩⡱
      雪解け、春が来ましたか⁇
      まことさん♪こんにちは♪
      久しぶりの図書館本、良かったですね✩⡱
      雪解け、春が来ましたか⁇
      2023/03/18
    • まことさん
      くるたんさん。こんばんは♪
      今年の冬は久しぶりに暖冬で、早く春がきました。今月は気温が20℃以上の日もありました♪
      だけど、なぜか、今日だけ...
      くるたんさん。こんばんは♪
      今年の冬は久しぶりに暖冬で、早く春がきました。今月は気温が20℃以上の日もありました♪
      だけど、なぜか、今日だけ冬に逆戻りし、今はやんでいますが、ぼた雪が降りました。
      予報だと、明日からまた、お天気がよくなりそうです。
      図書館は、今、いっせいに、予約本が入ってきそうで、全部読めるか、心配しています。
      2023/03/18
  • 長編だと感じさせないくらいに夢中になりのめり込んでしまった。
    圧巻であった。

    刑事事件ばかり扱う人権派弁護士として名の知れた父を被害者の母により刺殺された過去があるにも関わらずに同じ刑事弁護に使命感を抱く持月凛子。
    一方、刑事の職を辞し弁護士になった西大輔。

    同じ事務所の二人が、弁護を受けた案件は女性警察官・垂水涼香が起こしたホスト殺害事件。
    この真相を個性ある二人が突き止める。

    最後まで勢いが揺らぐことなく満足度100%。
    弁護するということの難しさをひしひしと感じ、その重責は、半端ないものだと痛切に感じた。
    信頼関係あってこそだが、言えないこと、言いたくないこと、それをどうやって超えていくのか。
    誰かが聞いてあげるしかない。
    それが自分だと。


  • 刑事弁護人というのも過酷な仕事だと思う。
    弁護することで被害者側からは憎まれ、場合によっては世間も敵に回すことになるが、自分が守っている相手=加害者からも騙され、利用される恐れがあるのだから。

    分厚さに怯むが、読み応えのあるエンタメだった。

  • 長い。
    長過ぎる。
    それでも読者が納得のいくような筋書きであれば良いのだが、そうではなかった。

    弁護士の持月凛子と共に事件を追っていく(読み進めていく)内に、一読者である私は被告人の嘘やら行為やら証人が語った被害者の発した言葉の意味やらに容易に気付くのに、凛子はアレもコレもソレも気付かなかったり気付くのが遅かったりするので白けてしまった。

    被告人が起こした2つの事件そのものも、設定が色々と陳腐で残念。
    私がずーっと引っかかり問題視していたある点については、最後の方で「○○や○○がなければまったく意味のないことは承知していましたが、藁にも縋る思いで(やった)」で片付けられてしまった。

    他にも色々と、設定された事件が雑でいまいちの為、せっかく『刑事弁護人』をテーマとして著者が書き表したかったことが霞んでしまったと、私には感じられた。

  • ホストクラブのホストを、客である現役女性刑事が殺害するという事件が発生。
    弁護を引き受けるのが、若手弁護士望月凛子。それに、受任事件を選別するという元刑事から転職した変わり種の弁護士西大輔。
    二人して接見するが、容疑者の垂水涼香の言葉に真実味が感じられない。彼女は何を隠そうとしているのか。
    凛子と西は真相を探るべく、関係者を訪ね歩く。
    その過程で、二人ともそれぞれ事件で身近な人を亡くしており、弁護士になった理由も明らかになってゆく。
    涼香の事件の真相解明を縦糸に、弁護士とは、と問いかける複層的な筋立てとなっている。
    題名からも、事件を通して弁護士の意義・あり方について問うのが著者の趣旨だろう。
    冤罪を晴らさんとする弁護士活動はもちろん肯定されるが、残忍な犯罪を起こした加害者をも弁護する弁護士活動とは、と。
    被害者家族や身内にとって、加害者を弁護する弁護士は加害者同様憎むべき敵となる。それでも弁護する意義はどこに。
    弁護士と検事との緊迫な法廷場面、次々と現れる証人、そして次第に明らかになる涼香の隠された思惑。
    読後、心地よい余韻に浸れる良質のリーガルミステリー。
    構想に17年をかけたという著者の思いが込もっており、著者の代表作のひとつとなるだろう。

  • 長編映画を見終わった感じで、正直疲れました。決して内容が退屈というわけではありません。会話や発言の一つ一つが意味を持って奥深いです。

  • ❇︎
    刑事弁護人

    読み応え充分の全504ページ。
    人は嘘をつく、その嘘に隠された真実を
    追い求める物語。

    ーーーーーーー
    人権派弁護士事務所に勤める持月澟子は、
    ホストを殺害して逮捕された垂川涼香の
    弁護を引き受けることになる。

    でも、最初の接見に赴いた澟子が聞いた
    涼香の供述は検察側の主張とは正反対だった。

    重大な刑事事件の弁護に携わった経験のない
    澟子の協力者として所長の細川が白羽の矢を
    当てたのは同事務所の西弁護士だった。

    独特の戦法で異端児の西と組むことになった
    澟子は、西に反発しながら涼香を救う方法を
    徐々に見つけ出していく。



  • 現役の女性警官による、ホスト殺人。
    初めての刑事弁護を担当する望月凛子と、元刑事の西の二人が加害者の弁護に挑む。

    ブクログのレビューも真っ二つに分かれていたが、私はこの500ページが長かった。
    特に序盤が長くて、読み終えるのに、かなり時間がかかった。
    まず登場人物が多く、関係図が頭に浮かばない。
    そして、コロコロ変わる被告人の供述。
    警察官、しかも刑事なのに、何でこんなに弁護人に非協力的なんだろう、と違和感しかなかった。
    物語が進むに連れ、いろいろな過去が明らかになっていくが、登場人物のほぼ全員に悲しい過去があり過ぎ。
    重厚な作品を描きたい気持ちは分かるが、公判になり、裁判のシーンが多くなる終盤までは、本当に読み続けるのが辛かった。
    最後の最後まで、真実を言わない被告人にはどんな事情があれ、違和感しかないし、全てが明らかになっても、感情移入が全然出来なくて、この作者さんの作品の中で一番つまらなかったかも。

  • 504ページ、本を見た時に長いお話だと感じ読めるかな?
    と、ちょっと思いましたが薬丸岳さんの作品なので読み始めました。
    女性弁護士持月凛子が刑事事件の弁護人になります。
    事件は、女性刑事がホストを殺害したという事件。
    注目を集める事件です。
    同じ弁護士事務所の元刑事の西大輔と一緒に事件を調べる。
    刑事弁護人は大変ですね。
    被害者からの恨みもかいます。
    読み進めるうちにのめり込み、長編だったけど読み終わりました。
    この二人のコンビでの話をまた読みたいです。
    やはり、女性が活躍するお話は好きです。

  • やはり薬丸岳さんはすごい。今回も弩級の作品でした。人物造形、構成、展開、全てよく考えられています。これだけの厚みにならざるを得なかった、どの箇所も削ぎ落とすことのできなかった一編だったと思います。

    犯罪を犯す事、罪を暴くこと、罪を裁くこと、償うこと。親の心情、子の心情。遺族の苦しみ悲しみ、後悔。いじめ、虐待、性犯罪、窃盗、正当防衛、殺人。盛り込んでいる事物がものすごく多いです。様々なことを考えさせられます。
    裁判が始まってからのシーンは、どの展開も目が離せずページをめくる手が止まりませんでした。特に終盤に近くなってから出てくる新証拠には思わず前のめりになりました。
    量刑については現実の司法関係者による監修が必須だろうなと思っていて、物語としては収まりの良い終わり方と思いますが、これが現実だとすると賛否はかなりくっきり分かれるのではないかなと感じました。
    自分は正直、涼香が現役の警察官であることを思うと量刑が軽いんではと思いました。
    そこについては他の人の考え聞いてみたいですね。
    あとやっぱり、ドラマ化してほしいと思ってしまう。薬丸さんの作品読むといつもそう書いてる気がする…(笑)

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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