沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103541912

作品紹介・あらすじ

恋人や家族が戯れる海の底で沈没船を発掘せよ! 気鋭の学者の初エッセイ。英語力ゼロなのに単身渡米、ハンバーガーすら注文できず心が折れた青年が、10年かけて憧れの水中考古学者に。その日常は驚きと発見の連続だった! 指先さえ見えない視界不良のドブ川でレア古代船を掘り出し、カリブ海で正体不明の海賊船を追い、エーゲ海で命を危険にさらす。まだ見ぬ船を追うエキサイティングな発掘記。

感想・レビュー・書評

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  • 『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』 水中考古学者・山舩晃太郎著|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
    https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/my-asa/RbWweceiM9.html

    山舩晃太郎『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』
    [対談]山舩晃太郎×丸山ゴンザレス/ロマンは現場で待っている!
    波 2022年2月号 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/sp/nami/backnumber/20220127/

    山舩晃太郎 『沈没船博士、海の底で歴史の謎を追う』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/354191/

  • 船舶考古学博士の著者による、水中遺跡発掘の現場を伝えている一冊。
    エッセイのような筆致で読みやすく、これまでの紆余曲折が綴られています。
    学者になるまでの冒険、なってからの苦労とやりがいがとてもわかりやすかったです。
    新たな技術の3Dモデルを駆使して世界の水中を発掘する素敵な姿が読んでいて想像できます。
    以下に感銘を受けた部分を引用します。

    “それでも、私の毎日は楽しい。なぜなら、「少ない給料で働いている」でなく「無料で海外旅行をしつつ、さらに小遣いも貰っている」と考えているからだ。これほどラッキーな職業はないと思っている。”

  • ネットで紹介されていて「ええ!」と驚いた
    「水中考古学者」の存在
    知らんかった~!

    著者の山舩晃太郎先生すごいわ~
    野球選手を目指していた矢先、怪我で挫折
    大学で出会った1冊の本が人生を変えた!
    そこから英語も全然だったのにテキサスの「A&M大学」で「水中考古学が学びたい」一心で猛勉強。
    でもって大学の講義は全部英語でめちゃめちゃ苦労したそう

    自分のやりたいことが明確な人はブレない
    すごいわ~!!

    で…水中考古学
    水中に潜って沈没船やらを調査して歴史と時代を考査するというものなんだけど、多くの人は「トレジャーハンティング」と間違えてるらしい。
    私もこの本を読む前までは金貨やなんかすごいお宝がザクザク…うひひと思ってたのだけど全く違っていた。
    松舩先生は船の構造や木材の年代などからその時代を考査するのだとか。
    きれいな海に潜ることもあれば、どぶ川に潜ることもり…
    でも歴史を紐解く証拠物を見つけた喜びや感動はすごいそう。

    よりよい発掘と研究のために生み出したコンピューターを駆使した3Dの復元構築方法など…
    松舩先生の功績は大きい

    研究者ってかっこいいな~!と思うのは
    その好奇心
    給料の良しあしではなく「そこに沈没船があるから…」「歴史のロストヒストリーを探る」的な知的好奇心の強さ

    そして、最後の戦争遺跡の話も印象的でした。

  • 世界中の海や川の底に眠る沈没船。
    それらの発掘現場のリアルを伝えてくれる、若き水中考古学者の情熱あふれる1冊です。

    船のキール(竜骨)をはじめとした骨格を掘り起こしたり、積み荷の状況を分析したり、フォトグラメトリの技術を駆使して3D復元モデルを作成したり…。
    読んでいてわくわくしてくるのは、著者自身が発掘現場のいいところも困ったところも全部、なんとも楽しそうに語ってくれているからです。

    その熱意のすごさは著者がこの世界に飛び込んだ経緯からもうかがえます。
    大学でプロ野球選手の夢を諦めることになった著者ですが、ある日大学図書館で出会った1冊の本をきっかけに一気に水中考古学の虜になります。
    そこからすぐに留学を決意し、住むところも決めずに渡米。
    当時はマクドナルドで注文することもできないくらいの英語力だったとのことですが、大学の授業についていくために猛勉強、最終的に博士号を取得し、現在は世界各地の現場で活躍されている…うーん、すごい!
    著者の水中考古学への並々ならぬ好奇心がとてもとても眩しかったです。

    わくわく感の余韻で、明るい気持ちで読了。
    好きなことに邁進している人はやっぱりかっこいいです。

  • 『水中考古学』という言葉自体は知っていましたが、あまりその内容について聞く機会はありませんでした。この本はその知られざる世界をそっと垣間見ることができる1冊だと思います。

  • その挫折と一念発起で水中考古学者となった著者の歩みと、
    世界各地で潜った水の底での、水中調査や発掘を行う姿。
    情熱とロマン溢れる沈没船博士の、軽快なエッセイ。
    第1章 人類は農耕民となる前から船乗りだった
    第2章 発掘現場には恋とカオスがつきものだ
    第3章 TOEFL「読解1点」でも学者への道は拓ける
    第4章 エーゲ海から「臭いお宝」を引き上げる
    第5章 そこに船がある限り、学者はドブ川にも潜る
    第6章 沈没船探偵、カリブ海に眠る船の正体を推理する
    第7章 バハマのリゾートでコロンブスの影を探せ
    第8章 ミクロネシアの浅瀬でゼロ戦に出会う

    「船がそこにあるから」潜る!
    水中考古学の基礎知識と発掘現場のリアルを軽快な文章で
    紹介する著者は、野球での挫折を味わい、大学進学後に
    読書から水中考古学で人生の指針を見い出す。が、
    アメリカの大学院留学時の壊滅的な英語力に呆然。
    だが一念発起で猛勉強し、大学院生に。
    学ぶ事の楽しさを味わい、心を鷲掴みされた授業から教授に
    押しかけて弟子入りして助手となる。それからの目覚ましい活動!
    大学院を卒業し、水中考古学と成り、
    フォトグラメトリの方法論で注目され、
    世界の発掘現場を潜り、3D画像の実測図を作成することになる。
    クロアチアのアドリア海。
    ギリシア、フルニ島のエーゲ海。
    バハマ、ハイボーン・ケイ島のカリブ海。
    ミクロネシア連邦、チューク諸島の太平洋。
    水中とはいえ、自然や環境での異なる場所での発掘の困難さ。
    合い間に語られる、懐事情や木材と金属の朽ち方の違い、
    水中文化遺産保護の問題など、興味惹かれる話題も言及。
    何とも困難な場面が連発の発掘作業ですが、
    「私は本当に水中考古学が大好きだ」と言い切れる潔さ。
    今も何処かで潜っているのかな・・・これからの活動も楽しみです。

  • 野球少年だった著者。野球で大学進学するものの、3年の時に「かなわない世界がある」とプロ野球選手になる夢をあきらめた。卒論のテーマを探しているときに運命の1冊と出会い、水中考古学に目覚める。

    英語力ゼロのままアメリカの大学に留学し研究者になるまでの過程、フォトグラメトリを使った水中発掘の様子、発掘物からどのようなことがわかるかが書かれています。
    表紙は可愛く中身出しはキャッチーだけれども、内容は新書レベルです。

    202.5

  • 水中考古学者の山舩博士の沈没船エッセイ。

    ・なぜ、水中考古学者になったのか
    ・学生時代、論文
    ・いかにして、世界中の沈没船プロジェクトに関わるようになったか
    ・トレジャーハンターへの憎しみ
    ・「フォトグラメトリ」
    ・考古学者たち
    ・学生たちの恋とカオス
    ・地元の人々と沈没船
    ・戦争と水中考古学

    〇機械があればフォトグラメトリを作成出来るわけではない。経験と技術
    〇トレジャーハンターは歴史の敵
    〇学問・研究の楽しさ
    〇第二次世界大戦の水中遺跡の保存のタイムリミット
    〇野球青年から水中考古学への転身。英語さっぱりだがアメリカ留学
    〇笑顔が人と仕事を呼ぶ

  • この世界の海のどこかに眠る歴史のロマンを一緒に探しませんか?という気持ちで著者が書いた、という本当のホントの最後にあるように、水中考古学という少し耳慣れない分野について、専門的な知識がなくとも読めるように書かれた本。
    クライブ・カッスラーのダークピットシリーズの実物じゃんとか思いながら、楽しく読めました(小説の方は、ここ10年以上手に取っていないが)。
    親友のブラジル人(小説はイタリア人だったか)と、一緒に沈没船を見つけるところから始まり、水中考古学の道に至るまでの米国留学のドタバタ劇は、バイタリティーにあふれていて、こんなんよく出来ましたね、と感心しました。
    何よりも水中考古学が好きだということと、好奇心に溢れているところが、とても好感が持て、海に眠るまだ明かされていない秘密を是非研究して頂きたいと思いました。いやー頑張ってほしい。
    それにしても、名前に船が付いているのも、これは洒落じゃないんですよね。
    凄いや。

  • プロ野球選手を目指していた著者は歴史小説などを読んでいて、読書好きだった。
    一万年前の人間の脳と頭蓋骨が発見された。脳?酸素が存在せず水温もほぼ一定で、腐敗せずに保存されていたということを、本で目にした。
    それが衝撃的すぎて、水中考古学に興味を持つようになる。
    (大学まで13年間も野球選手を目指していて、そこからの水中考古学への方向転換にも興味がわく。)
    水中探査機の進歩やスキューバダイビングなどの浸透に伴い沢山の沈没船が見つかっている。
    とてもたくさん!驚く量。
    沈没船復元再構築のための、フォトグラメトリを使ったデジタル3Dモデルの作成が専門分野。
    画期的らしい。
    「バッタを倒しにアフリカへ」みたいなノリがある本。
    作者の、水中考古学が大好き楽しい!という気持ちが伝わってくる。
    コロンブスのキャラベル船、戦争遺跡のゼロ戦、ワクワクした。

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