お寺の掲示板

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 332
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103528715

作品紹介・あらすじ

人生のキャッチコピーは、〝門前〞にあり! 「おまえも死ぬぞ」「NOご先祖、NOLIFE」「ばれているぜ」……お寺の門前に掲げられた、グサッと心に刺さる標語の傑作をセレクト。難しい仏教用語は一切なし。お坊さんたちが考えに考え抜いた、生き方や人間関係のヒントとなるメッセージがここにある。NHK、朝日新聞、「タモリ俱楽部」…… 各所で話題沸騰中、待望の書籍化!

感想・レビュー・書評

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  • スルーしてしまいがちなお寺の掲示板。
    その時には、なるほど〜と思って見るのだがそのまま立ち止まらず…だった。
    こうして本になって読んでみると深いことばがいっぱいある。
    深く心に沁みてくるものもある。

    12 「わかっている」という煩悩。
    これが特に心に沁みた。
    ほんとうのいちばん深い闇は、わかっているという思いです。

    無明の闇を伴った自分自身の理性を過信するのではなく、理性以外の大切な情緒を取り戻していきたい。

    そう思う。

  • 表紙に「ばれているぜ」はずるいと思う。
    またしても、表紙買い。

    お寺の前にある掲示板に、妙に引き付けられることがある。

    何気なく通り過ぎようとするときに、急に揺さぶられることがある。

    様々なお寺の掲示板の文言を、ためになる解説とともにまとめた一冊。

    言葉を受け取ることで、何かを直接解決するわけではないのだが、新しい考え方と出会ったり、改めて気づかされることもある。個人的に好きなのは、言葉足らずで形にできない、考えのモヤモヤを解決するような、しっくりくる言葉。

    そんな言葉の一つがP84にある、ビヨンセのスピーチだった。
    「人生に大切なのは何回呼吸するかではなく、何度息を飲む瞬間に出会えるか」

    読めば、息を飲む瞬間がきっと何度も訪れると思います。

  • お寺の掲示板の世界は奥が深い。
    一 深い!  二 うまい! 三 あの人の、あの言葉
    コラムは「お寺の掲示板大賞」の経緯と裏側。
    「輝け!お寺の掲示板大賞2018」に投稿された作品から厳選。
    解説からは、考え抜いた言葉の深いメッセージが示される。
    言葉を通して仏教に触れて欲しいという、願いをも籠めて。
    タイムリーな話題を盛り込む掲示板がある。
    門徒さんの心の拠り所になり、十年以上替えられない標語がある。
    著名人の心に沁みる言葉を選ぶ、視点の重さ。
    様々な気づきに導く言葉は、仏教の本質にも繋がります。
    “他人と過去は変えられないが 自分と未来は変えられる”
    “おまえも死ぬぞ”・・・“仏教ハンパないって”!

  • 「輝け!お寺の掲示板大賞2018」に投稿された作品を集めた一冊。「満員電車の中で仏教を全く知らないサラリーマンがスマホで仏教に触れる」というコンセプトで書かれているそう。

    やはり、お寺のご住職が考えて、印刷でなく、「書いている」ことも読む人の心をつかむひとつの要因になっていると思う。
    言葉だけでなく、字面や配置がインパクトを増している。

    表紙の「ばれているぜ」もなかなか強烈。
    既にこのひとことで何もかも見透かされているよう。

    特に東京正徳寺の
    「大丈夫だよ
    生きて
    いける
    よ」
    の標語は、掛け替えると、門徒さんから戻してとお願いされ、十年以上掛け替えられないものとのこと。

    見ていて優しい気持ちになれる一枚です。

  • 「お前も死ぬぞ」
    ファッッ?
    まあ、そりゃそうだ。
    当たり前だが、普段は忘れている。
    著者も、「多くの人がショックを受けているのを見て、現在死がいかに遠い存在であるかを痛感」(9頁)したと述べている。
    だから、日々を大切にしなければいけないのだけれど、目の前の忙しさ、悲しさ、辛さ、喜び、欲望に囚われているのが実際のところ。
    たまにこうして振り返ってみるのがやっとだ。

    「あんたが悪いと指さした下の三本は自分を向いている」(36頁)
    人を責め立てることほどたやすいことはない。
    全然ダメだ、もっと頑張れ、やる気がない、ふざけるな
    一回は、そんな言葉に心を傷つけられたことがあるのではないか。
    その悲しみは怒りになり、また誰かを傷つけるけれど、ああ、なんてことだろう、言葉のナイフはまたしても自分を傷つけていた。
    そんな思いは82頁にも。
    言葉には注意。
    同じ頁の石原裕次郎の言葉も素晴らしい。
    「ひとにしてあげたことは、すぐ忘れろ。ひとにしてもらったことは、絶対忘れるな」

    レレレのおじさんのもとがチューラパンタカ(周利槃特)というトリビアや、アンパンマンやカナダの精神科医エリック・バーンの言葉(「他人と過去は変えられないが未来と自分は変えられる」、この言葉は私が小学生の頃に出会って強い影響を与えた)など、深くて、安らいで、救われる気持ちになれる。

    でも、本当は、誰かの名言でなくても、相手を大切にして、ねぎらってくれる言葉なら、それこそが救いになる
    先日、雨の日出会った女性の優しさに、私はとても救われた。
    「私も苦労してきたの、だから、気にしないで」たった、それだけでも。

  • お寺の傑作掲示板を収録。笑える掲示からハッと気付かされる掲示まで多様なバリエーションです。現職の僧侶による掲示の解説が付いており読み物としても面白い。「大丈夫だよ 生きていけるよ」が1番好みでした。DA PUMPの歌詞から来る掲示も良いですね。おすすめ本。

  • 読了しました。

    ■なぜ手に取ったのか
    全国紙新聞に掲載して興味が湧き手にした本です。

    ■何が語られていたのか
    著作名のとおり、「お寺の掲示板」に掲げられている言葉について、
    著者が仏教用語や、考え方を加えて解説されていました。
    お寺の掲示板は、そのお寺の住職が主に書かれているようです。
    それもかなり吟味を重ねて、読み手と対話をするように書かれているとのことです。
    本書にはその、住職の気合いの入った掲示板の実物写真が掲載されています。
    確かに、それを読むだけで「ぎくっ!」「背筋が伸びる」感じがするものばかりです。
    込められたパワーが本からも伝わってきます。
    一方、読んでもその意味が分からないものもあります。
    丁寧に、仏教での考え方や一般的な知識などを用いて丁寧に解説されています。
    私も掲示板写真をみて、8割はぐっときました。


    ■何を学んだのか
    仏教を超えた、人のあり様、考え方などの価値観を揺るがされる思い得る
    ことができました。
    利他、愛、自身、未来、過去、現在。その一つ一つの言葉が深く浸透しました。

    ■どう活かすのか
    心が洗われる思いがしました。
    読むだけで視点や、視座が変わります。
    ものの感じ方や少し悟りを開いた感じ?!を得られますので、
    忙しさで忘れしまいがちですが、軽い再読で呼び戻すことで、
    心の持ちようを維持したいと思います。

    ■どんな人にお勧めなのか
    心を洗いたい方、「はっ」としたい方、背筋を伸ばしたい方にお勧めの本です。

  • とてもよかった。
    お寺の掲示板はいつも見かけるたびにやはり見てしまう。
    表紙にあるように、「ばれているぜ」や、「おまえも死ぬぞ」、「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる」、「人の悪口はうそでも面白いが自分の悪口はほんとでも腹がたつ」など心に残る言葉があり、解説と共に読めてよかった。

  • 以前からお寺の掲示板に書かれている標語には興味を持っていた。本著では、全国各地のお寺の掲示板がピックアップされ、コメントが付されているのだが、掲載数が少なく物足りなく感じた。コメントは最小限にして、もっと掲示板の写真を見たかったなと思った。できればそれが設置されている環境(背景)も見てみたい。日常の中に何気なく置かれている風景を見てみたいと思った。

  • 『タモリ倶楽部』で気になっていたら、まさかの本になっていてビックリ!
    笑えるけどハッとする言葉が多く、説教くさくなくウィットに富んでいるところにとにかく惹かれます。
    解説も仏教用語や背景を小難しくなく教えてくれる軽妙な文体で読みやすかったです。
    もっとボリュームあっても良かったのにな…と思うのは贅沢すぎるかな。

    一番印象に残ったのは
    「人の悪口はうそでも面白いが 自分の悪口はほんとでも腹が立つ」
    人間は自己中心的で自分の愚かさを受け入れることが難しい、という解説とあわせてグサッときました。

    「あんたが悪いと指さした下の三本は自分を向いている」
    「大丈夫だよ 生きていけるよ」

    もどこかに書き留めておきたい一言です。

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