商う狼: 江戸商人 杉本茂十郎

著者 :
  • 新潮社
3.64
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本棚登録 : 185
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103520221

作品紹介・あらすじ

「いざとなれば、金は刀より強いんです」江戸の商業を“最適化”した風雲児の生涯! 甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻子を失う。その悲しみを糧に、茂十郎は三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、十組問屋を再編し、菱垣廻船を立て直して流通を一新。江戸の金の流れを掌握し、「狼」と恐れられながらも商いの道理を貫いた実在の改革者に迫る傑作歴史小説。

感想・レビュー・書評

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  • 先日読んだ『木挽町のあだ討ち』が超絶面白かったので、永井紗耶子さんおかわりです

    こちらは「本屋が選ぶ時代小説大賞」とのこと

    うん、悪くない
    悪くないんだけど…
    江戸の商人で高い志を持った杉本茂十郎という人がいたんだね、へーっていう

    ちょっと自分にはエンタメ度が低すぎました

    今村翔吾さん読み過ぎたかな?(それが悪いみたいな言い方w)
    大丈夫、ちゃんと分かってるから!っていうね
    もっとエンタメに寄ってええんやで!っていうね

    いじょ!

    • みんみんさん
      駕籠と飛脚と損料屋かな〜
      他はシリーズじゃないから適当に♪
      北原亞也子の慶次郎‼︎
      駕籠と飛脚と損料屋かな〜
      他はシリーズじゃないから適当に♪
      北原亞也子の慶次郎‼︎
      2023/06/10
    • みんみんさん
      北原亞以子だった〜
      北原亞以子だった〜
      2023/06/10
    • ひまわりめろんさん
      そっもすごく面白そうだけど、まぁ、そのうちにね
      そっもすごく面白そうだけど、まぁ、そのうちにね
      2023/06/10
  • 江戸商人の頂へと駆け上り、毛充狼と言われた男。
    実在した杉本茂十郎をえがく歴史小説。

    第10回「本屋が選ぶ時代小説大賞」。

    とても面白かった!

    人物が魅力的。

    既存の枠組みや、悪しき慣習を打ち破っていく、茂十郎がまず痛快。
    最初は彼を斜めに見ていた者たちが、少しずつ変わっていくのもよかった。

    私利私欲ではなく、江戸の民の幸せを第一に考える、茂十郎の言動は、とにかくさわやか。

    しかし、金と権力が集まれば、だんだんと軋みが発生するもの。
    茂十郎の原動力の源がわかるからこそ、歪んでいくのが切なかった。

    これだけの難事を、実際にやり遂げた人物が実在したことに、驚き。
    読み応えのある作品だった。

  •  「金は刀より強い」と十組問屋の旦那衆の古臭いやり方から、経済改革を果たした男、杉本茂十郎。

     経済を廻すものは誰なのか? 

     それは何のために行うのか?

     橋や建物の改修工事は?

     永代橋が崩落したために妻と跡取り息子を亡くした男が何を求めたのか?

     今こそ、読むべき作品なのだと感じました。

     前作は大奥を舞台にした女性の職業小説でしたが、今回は江戸というお上のいる大きな都市での経済改革をした男性の物語というべきでしょう。



     この辺りは私の歴史の知識が浅くて、杉本茂十郎という人物がいたことも知りませんでしたし、元々は飛脚問屋の婿養子になった人物。飛脚の運賃に関する上奏をしたため、「飛脚定法」という価格を定めたそうです。

     そのことがきっかけとなり、十問屋衆と争うことになります。



     そこから始まる物語は、まるで今の社会を映し出す鏡のようでした。

     十問屋が甘い汁を吸っている大企業の姿に見え、必死に経済改革を推し進めようとする茂十郎を陥れるようになるお上は現在の政府に。



     「貧すれば鈍する」、「衣食足りて礼節を知る」という言葉があるように、お金というのはこの小説の中でたびたび例えられる血液のようなものだと思います。それが茂十郎が語るようにお上や大店の人々の手によって詰まってはいけない。

     そんなことになれば、人間であれば死んでしまう。

     そんなことも考えてしまいました。



     そして、茂十郎がこの仕事に命を懸けるきっかけとなった永代橋の崩落事故。ここで、彼は妻と息子をなくすのですが、その後、肝心の橋の再建をするのに、資金をどこから調達したらいいか、意見がバラバラ。

     本当に江戸時代の話なのかしらと思ってしまいましたよ

  • 新田次郎賞に永井紗耶子さん:時事ドットコム
    https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041300954&g=soc

    『商う狼: 江戸商人 杉本茂十郎』(新潮社) - 著者:紗耶子, 永井 - 本郷 和人による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
    https://allreviews.jp/review/5006/

    永井紗耶子 『商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/352022/

  • 永井紗耶子さんの文章を好きになったので、こちらも読んでみた。
    江戸商人・茂十郎が悪しき慣習を打ち破り、江戸の繁栄に生涯を捧げる。
    とても面白かった。やっぱり永井さんの、主人公に対する深い愛情が感じられていい。

  • 2023.1 ストーリーの線がぶつ切れで、乱暴な進行な気がする小説だったかな。

  • 今住んでいる場所の近くの話で興味深く読んだ。時折通るこの橋が落ちて、多くの人が亡くなった過去があったんだなぁ。
    理想を求めた茂十郎の凄みのある生き様がかっこよかった。いつの世も、お金をあるべき場所に行き渡らせることは本当に難しいんだなと思う

  • 野心家である主人公が権力を得てから失うまでを描いた作品。江戸時代の商人の物語であるが、規制を打破し権力を握り、そして更なる高みに行きつく前に妬みや嫉妬、既得権にしがみつくものから排斥されてしまう流れは現代の世も変わらない。杉本茂十郎という一人の商人や周りの人間のキャラが深掘りされていて読み応えのある一冊になっている。

  • これはシンドイ…

  • 実在の人ということで、とても興味深く読めました。
    判断力と決断力の強い人だという印象ですね。

    身近に似た人がいるので、人物が重なりました。
    「上司が変わると仕事も変わる」とよく言っていましたので、同じだな~と思いました。

    ずっと続いていく組織を作るのはとても難しいですね。茂十郎は、命を懸けてその時代を作った人ですが、引き継がれていかなかったのが悲しいです。

    生きていて欲しいと私も思いました。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で第11回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2021年、『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』で第40回新田次郎文学賞、第10回本屋が選ぶ時代小説大賞、第3回細谷賞を受賞。他に『大奥づとめ』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『帝都東京華族少女』『横濱王』『広岡浅子という生き方』などがある。

「2023年 『とわの文様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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