経営者:日本経済生き残りをかけた闘い

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103505228

作品紹介・あらすじ

東芝、トヨタ、三菱、セブン&アイ。会社を「滅ぼす」のは誰か。なぜ今、日本を代表する企業で不祥事や内紛が相次ぐのか。戦前のカネボウから現在のソフトバンクまで、日本をリードしてきた企業の栄枯盛衰と、その企業の命運を決した経営者達の決断と葛藤を描き、日本企業と日本の資本主義のあるべき姿を問う。話題作『バブル』の著者が最前線で目撃してきた、経営トップ達の壮絶なるドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 血族経営にかなり否定的、まあ確かにイノベーションは生まれない印象 トヨタがどうなるか、だよね。

  • 再読記録
    永野氏の見識 「バブル」に匹敵
    1.日立と三菱重工の統合構想 知らなかった
     戦略なく、決断できない日本の象徴
     三菱Gは保守・頑迷固陋の代表企業
     →失われた30年の根源 硬直化した日本
    2.アベノミクス 
     出口戦略なきバブル
     終戦構想なき対米戦争と同じ
     無責任の極地
     →第三の敗戦
    3.経営の本質は「時代適合」
     利益はその対価であり結果
     倫理なき資本は暴走する
     アダム・スミス
     渋沢栄一「論語と算盤」
     塩野谷祐一先生・・・感謝!

  • 一日一篇。

    まだまだ記憶に新しいもしけは現在進行系の人物なのが新鮮。

  • 日経新聞の元記者である著者が自身の取材や知識をもとに戦後の日本経済を代表する企業の経営の裏側や経営者の横顔を書いた一冊。

    トヨタや日立、東芝といった日本を代表する企業からソフトバンクやファーストリテイリングといった平成になって台頭してきた企業など戦後を代表する企業の知らない一面を著者ならではの角度から書かれていて非常に読み応えがありました。
    コーポレートガバナンスの真実や各経営者の信念や企業の慣習といった表面的には見えないものも本書では浮き彫りになっており新しい発見も多くありました。
    また、現代の日本の礎を築いた渋沢栄一の哲学と本書で紹介されている経営者との対比も興味深いものだと感じました。

    富士製鐵の永野重雄氏や京セラの稲盛和夫氏やヤマトの小倉昌男氏など渋沢イズムを継承している方たちやセブン&アイグループの鈴木敏文氏と伊藤雅俊氏の関係などのエピソードは印象に残りました。
    そして、今日本をリードするトヨタやソフトバンク、ファーストリテイリングの実情に迫る部分は非常に考えさせられるものがありました。

    平成が終わり令和が始まる中で経営について日本経済の行方について多くの示唆を与えてくれる学びの多い一冊だと感じました。

  • 渋沢栄一が戦前の日本の公的目的を持った企業の在り方、資本主義の一形態を形作った。それは戦後も日立、東芝、三菱重工業によって受け継がれてきたがそこに生じた歪み、公的なものを言い訳、あるいは頼みとした経営というか組織存続方法、は正されることなく継続していった。
    岩崎弥太郎は資本主義そのものにフォーカスし一代で三菱財閥を作り、戦後は三井、住友などのより歴史ある財閥を凌駕することになる一方、そこにあるバックボーンは見えてきていない。
    奥田碩は、恋と製作所のピケンズ乗っ取り事件を防ぐことで豊田英二の評価を高めその後3代続くサラリーマン豊田社長の一番手となり、財界でも存在感を有した最後の人物となった。またトヨタはそのご本家に戻り、豊田章一郎が後を継いだが、官僚化が進んだとされる。
    21世紀になってから著者は経営者の小粒化が進んだと考え、孫正義、柳井正の二人しか突出した経営者は出ていないとする。前者は北尾吉孝のファイナンスのバックグラウンドの助けを得て二人三脚でビジョンを実現させてきたが、今ではその制限はなくリスクが肥大しているように感じられる。

  • 最初の方はかなり昔の話でよく分からない話が多かったが、中盤では藤田田、中内功、小倉昌男などのレジェンド、後半では豊田章男、孫正義、稲盛和夫、柳井正など最近の経営者が出てきて、しかもあまり報道されない側面が見られて面白かった。うまく行っているように見える企業、経営者にも負の部分があることをまざまざ見せつけられた。

  • 1作目の「バブル」は実に面白かった。同じ水準を2作目に求めると、二匹目のドジョウがいないことに気付かされる。この点はがっかり。
    ただし、この先入観(高すぎる期待感)を割り引くと、歴代の日本の名(「迷」もかなりある)経営者がコンパクトに綴られており、テンポの良い良書であると思う。とても勉強になる。

  • 必読書。40年のキャリアを持つ経済記者の凄味が味わえる。

  • 【船頭の功罪】中山素平や小倉昌男,そして稲盛和夫から柳井正にに到るまで,日本の経済界を牽引し,時にかき回してきた経営者に焦点を当てた作品。それぞれの功罪を考えるとともに,日本的経営のあり方についても一石を投じています。著者は,前著の『バブル 日本迷走の原点』も大きな反響を呼んだ永野健二。

    純粋なノンフィクションというよりは,著者の考えや嗜好が強く滲み出ている評論的な作品。それ故に本書への評価も分かれてしまいがちになると思うのですが,日本的経営の功罪を考える上で非常に参考になる点は確かかと。

    〜経営者の歴史的評価を測るには,二つのポイントから見る必要がある。まずは自分が経営した会社が利益をあげる体制を作れたか。そして,本人が意図するかしないかを別にして,経営者として実践した制度改革や行動が,来たるべき時代に,一つの社会的規範として定着するかどうかである。〜

    人物から見る日本経済史としても☆5つ

  • 前作「バブル」で日本のバブル経済の発生要因を独自の視点で解き明かした作者の新作。経済をミクロに見る場合は必ず企業とその経営者の個性や活動に帰結するという筆者の考えに基づき、主に戦後の個性的な経営者17人に焦点を当てて書いた評伝集みたいな作品。17名の評伝集であるのだが、通底するのは戦前にあった日本の正統的(正道的?)資本主義である渋沢資本主義と強欲的資本主義(と作者は考えている?)三菱岩崎資本主義との対比において、戦後のそれぞれの正統な後継者は誰であろうか?というところ。

    渋沢資本主義の方はその正統な後継者を小倉昌男と稲盛和夫としている。岩崎資本主義の方は、、各経営者への尊敬と配慮からか明確にはしていない(孫さん?藤田田さん?あるいは中内さん?)そのほか、妙に豊田章男に厳しかったのも印象的。

    経営者マニアの私にはなかなか読み応えのある本であった。

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