FEED

著者 :
  • 新潮社
3.53
  • (10)
  • (33)
  • (24)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 204
感想 : 49
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500414

作品紹介・あらすじ

いちばんの親友って、誰? あなたは訊く。餌を見るみたいな目で――ねえ。友情って、そんな関係だったっけ? 家出したふたりの少女が出会ったのは、噓が充満、盗みが横行する最底辺のシェアハウスだった。社会から弾き飛ばされた者たちで作られる疑似家族。居心地、けっこういいかも。だが些細な行き違いから、歩む道は分岐してしまう。喰われる側に墜ちた少女は、やがて――。少女たちの友情と愚行そして後悔、つまり、青春の全記録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 馬鹿は罪、弱いのも罪。

    勇気を出して家出してきたのに、堕ちるしかないんだろうか。家出する前に、誰かに相談とか、頼るとか出来なかったんだろうか、、

    実際の事件のようで生々しい。

  • 二人の少女の物語。同じような立場だったのに、まったく違う人生を歩むようになってしまった彼女たち。でもその運命を分けたのは、もしかしたらただの運や巡りあわせでしかなかったのかもしれません。それこそ「出会い」によってその人の人生がどれほど左右されてしまうことになるのか、というとても恐ろしい物語でした。
    「地獄」と形容されるような境遇も、決して絵空事という気がしなくて。ほんのすぐそこにあって、一歩間違えれば足を踏み入れてしまう、そんな感じ。それほど愚かじゃなくても、そして悪人ではなくても、落ちてしまうことがあるのだというのが悲しくてしかたありませんでした。
    はらはらどきどきしながら読み進みましたが、それでも雰囲気は悲嘆に満ち満ちていてつらい一冊。でも読んでいる最中も読んだ後も、不快ではありませんでした。

  • 胸クソ悪さを求めて図書館へ。
    しかし櫛木理宇にしては胸クソ悪いという感じではなかった。
    とはいえスッキリというわけでもなく、櫛木理宇らしさはあった。
    フィクションではあるが妙にリアル。
    実際にあった事件を思い起こすような部分もあるが、それ以上に彼女たちがリアルなのかも。
    ああ確かにいるよなあという、周りに普通にいるよなあという感じの彼女たち。
    幸せに向かっている彼女と不幸のどん底に落ちてしまった彼女。
    違いはなんだったのか?
    どこかで選択を間違うとどうにもならなくなる。
    なかなかの作品であった。

  • 最初はすごく気持ち悪い展開。そして読んでいく毎に一体最初のは何だったのか。あの描写は必要だったのか。私はすごく気持ち悪かったので、あれはできれば読みたくなかったものなので、その存在意義を問いたかったのですが、読んでいくにつれ、こういうことかと怖くなりました。
    あとは淳平に幸せになってほしい。あの子がかわいそうで仕方がない。頑張ったんだろうなぁと。好きな子に振り向いてもらえるように自分自身を奮い立たせて。道は間違っていたけれど、頑張った彼はすごかった。

  • なんか、凄い話しだった…
    早く逃げて!早く、って思いながら読んだ。
    2人の運命を分けたモノは…賢さというより心の強さだったのか

  • 面白かった。
    ・・・と書くと、不謹慎な内容で、かなりヘビー。
    読んでいるとつらくなる内容ではあるけど、今の世の中で貧困にあえいでいる若者の姿がしっかり見えてきた。

    家出してシェアハウスで暮らす少女、綾希。
    シェアハウスなんて言うと聞こえはいいけど、彼女に与えられたスペースは2階ベッドの1スペースのみ。
    トイレ、風呂のみならず冷蔵庫も共同で、貴重品を入れるボックスにはちゃちな鍵がついているだけで、誰でもその気になれば開けられる。
    そんなシェアハウスで暮らすのは綾希と同じように家出した少年、少女や行くあてのない人たち。
    そのシェアハウスに眞美という少女が入居し、二人は仲良くなる。
    やがて、綾希はふとした偶然からコーヒーショップを営む女性と知り合い、そこから別の生活への糸口をつかむ。
    一方、眞美は海里という女と知り合い、どんどん転落の道を歩むこととなる。

    同じ所からスタートして全く別の人生を歩むこととなった二人の少女。
    冒頭、ひどい暴行を受けて死んだという少女の画像がネットに出回ってそれを綾希が見ている場面からこの話は始まる。
    そして、読んでいく内にどんどん堕ちていく眞美を見ていると嫌な予感がつのる。
    そうじゃなければ・・・と願いつつ読み進める。
    結論は知っているけど、その過程でしっかりと読ませてくれた。
    これでもか、とどん底に生きる人々の悲惨さを描いてていて、読んでいてつらくなったりしんどくなったりする人も多いかもしれない。
    だからこそ、あまりに違う人生を歩む事になった少女の姿がぐんと胸に響いた。
    それこそがこの本で作者が言いたかった事なんじゃないかな?と思う。

    綾希は賢い。
    眞美はいい子だけど、考えが浅い。
    その場の雰囲気で流されてしまう。
    これを見ると、育った環境やもともとの性格もあるけど、ちゃんとある程度の教育を受けているかどうかというのも大きいように思った。
    もし、眞美がちゃんとした教育を受けて、もっと自分の頭で考える力があったら・・・。

    大変などん底状態から這い上がるのはしんどい。つらい。
    それに比べて堕ちるのは簡単だし一瞬。
    だからそっちに流れる方が多いのも分かる。
    だけど、どこかの地点でやっぱこれはヤバい・・・となる。
    そこからは楽しい事が苦しみに変わっていくー。
    自分の心に最後の最後で気づいて嘘がつけなかった眞美。
    悲しいけど、彼女を救う事はできなかったと思う。
    やるせなく、ハードな内容だけど、ちゃんと問題提起していて、読ませてくれる本だった。

  • こういう感じの本書く作家さんだったんだな。なかなかに恐かった。一気に読めた。
    やはり、教育、知性は大事だ。考える力。世界は広い。くだらない大人を何とかしなければ子供を守らなければ。憤りを感じた。秀作。

  • いちばんの親友って誰?あなたは訊く。餌を見るみたいな目でーねぇ。
    友情ってそんな関係だったっけ?
    最底辺のシェアハウスで二人の家出少女は出会った。
    生き残るために寄り添うが、やがて運命は分岐する生と死に…。

    16歳の伊沢綾希は高1の冬休みに貯金百万円を持って家出し、
    家賃の安さ・敷金礼金保証人がいらない、年齢制限がないのを理由に
    「シェアハウス・グリーンヴィラ」に逃げ込んだ。
    住人は皆モラルが低く、嘘が充満し盗みが横行する最底辺のシェアハウスだった。
    そこに、同世代の関井眞実が入居し、二人の間には友情が芽生え始める。
    住み心地最低のシェアハウスを直ぐにでも出て行きたいと仕事を探すが、
    身元が不確かな未成年の二人にはまともな就職先がみつからない。
    社会から弾き飛ばされた者たちで作られる疑似家族…。
    二人は些細な行き違いから歩む道は分岐してしまう。
    綾希は、警察に追われて逃げ込んだ喫茶店の店主・季枝に出会い
    お店に通い詰めるようになる…。
    眞実は、シェアハウスオーナーの知り合いの同世代の海里の、
    華やかな雰囲気に呑まれて彼女へ心酔していく…。

    プロローグから悲惨で辛い結末が描かれている。
    どうしてそうなったの…?怖いのに引き付けられた。
    読んでるのが辛くて気持ち悪く、怖い。不快でたまらない…。
    本当にこんな世界があるのだろうか…?嫌、あるのだと思った。
    家出を選択せざるを得ない酷い家庭環境。
    家出した少年・少女に甘い言葉を掛けて利用し搾取する最低の大人。
    二人の明暗をわけたのは、運の要素も大きかった。
    人生って運に左右されるところが大きい。
    人生の岐路に立たされたとき、正しい道を選べるかどうかは、
    意志の問題だけじゃない。
    その選択肢を得られたことそのものが幸運なんだ。
    残酷なまで二人の対比描写は凄かった。
    綾希の幸せな姿にホッとしたし、これからの幸せを願わずにはいられなかった。

    ★の数も悩みましたが、読むのが辛いのに最後まで読まされてしまった。
    好きな作品じゃないし、読後感も悪いけどここまで描くのって凄いと思った。

  • 一気読み
    とても重たかった…でも読まずにはいられなかった

  • 登場人物がどれもリアル。明暗の別れた少女二人の進む道は、同じシェアハウスにいながらも始めから同じではなかったのかなと思う。自分の力で手にしたお金を少額ながらも誇りに思えた綾希、人から与えられた高額な物を誇らしげに思い満足していた眞美。読了後、二人で仲良く履歴書を書いていた描写を思い出すと何とも後味悪く悲しい気持ちになる。あと、冒頭と最後の描写、リンチ、生放送や実況など数年前に起きた実際の事件とあまりに似ているので参考にしたのかなと思った。

全49件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫛木理宇の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×