原節子の真実

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103400110

作品紹介・あらすじ

小津との本当の関係、たったひとつの恋、経歴の空白、そして引退の真相……。その存在感と去り際、そして長き沈黙ゆえに、彼女の生涯は数多の神話に覆われてきた。真偽の定まらぬままに―― 埋もれた肉声を丹念に掘り起こし、ドイツや九州に痕跡を辿って浮かび上がったのは、若くして背負った「国民的女優」の名に激しく葛藤する姿だった。伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版の本格評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 最近、「青い山脈」と言う戦後間もない時期に上映された映画を見て、原節子さんを知った。

    すごくきれいな人だなと思って、調べていくうちに、外見からは想像できない、強さとミステリアスな雰囲気がある人だと思った。

    家庭が貧しくて、家族を支えるために14歳で女優になって、引退して95歳で亡くなるまで、一切の外との関わりをたって隠居生活を送っていたらしい。

  •  一気に読んだ。本書の特徴は過去のインタビューを丹念に読み込み、本人の声を丁寧に拾っていることにある。そこから、本人の考え方や仕事に対する客観的な姿勢が良く見えてくる。労作。

  • 原節子という人の人生に驚くことがいっぱいだった。元々小津安二郎の映画で別格のオーラを放つ人だと思っていたが、子の本を読みもっと好きな人になった。文章もとても読みやすく、日本の映画界のこともよく分かり、夢中で読めた。

  • 伝説の女優原節子のドキュメント
    表紙の写真も巻頭にある数枚の写真も、気品に満ちた美しさで圧倒される。
    大女優であるが清貧な一生を送り、一本芯の通った生き様は見た目の美しさよりも素晴らしい。
    美人薄明と言われるが、彼女は95歳の長命であったらしい。48代前半で映画界から去り、隠遁生活のように半生を暮らした彼女は何を思って晩年を過ごしたのだろうか?

  • 小津の映画に 出演した 原節子は まるで女神のようだった 。最高の女優だと思っている。 三島の評伝の後に この作品を読んだから 戦争を挟んだ 激動の日本という時代 を私たちの先達たちは 乗り越えてきたのだと 思い知った。
    笠智衆がかける「のりこさん」という声が耳に残っている。

  •  小津映画の本人評価が、一番なるほどと思わされた。
     

  • 2017.11.12読了 図書館

    両親の若かりし頃活躍した女優、原節子。
    40歳という若さで突然映画界から消え去ってしまったことも伝説の一つなのかも。
    本人に取材なく、ここまで書けるのはすごい。巻末のものすごい量の参考文献がその努力を物語っている。

  • 「原節子の真実」かどうかわからないけど、原節子の評伝。原節子って、現役時代もそれなりに有名だったんだろうけど隠遁したことで伝説と化し名を上げた面が強いんじゃないだろうか。大根役者と呼ばれた時代も長かったようだし、評価する人がいた一方、非難する人や大衆も常にいた感じ。動いている、つまり映画での原節子をほとんど見たことがないことあって、自分の印象としては動よりも静で美しい、そして主張のない人というイメージだった。『李香蘭と原節子』(四方田犬彦著)に影響された面もあると思う。
    でも、この本を読むとそんな原節子の印象がちょっと変わったかな。戦前の活動時は、電車で撮影所に通うなどいい意味で女優らしくない人だったよう。そして自分に学が足りないからと撮影の待ち時間は常に本を読んでいるようなとても真面目な人。だからだよね、人受けが悪かったりもする。
    真面目さゆえか気性のものか、戦前から水着グラビアを断ったり、俳優を色眼鏡でなく見てほしいといった主張もしているし、引退間近の頃の出演作や役柄をこき下ろすインタビューの引用などではヤケクソかと思えるほどの発言。
    何だかこの引退間際の40歳前後の原節子の振る舞いには、何だかシンパシーというか今の自分と似たものを感じた。人並み(恋愛して結婚して家庭つくる)でない生き方を何となく選択的に歩んでいるんだけど、何だかモヤモヤと逃した感、うつうつとした焦燥感や虚無感があるのよね。
    この本を読んで、演技や俳優という仕事に真摯に向き合おうとした姿は本物だと思った。一方で、義兄の熊谷久虎への盲目的ともいえる信頼や、戦中の国策映画への出演から戦後の民主主義を体現した映画への出演のあたりの気持ちの切り替えなどはどうしたんだろうと不思議にも思う。前者は真面目さゆえの盲目的な信頼とも考えられるけど、後者は演技に真摯に向き合うような性格が原節子の本質だとしたら、どう消化(昇華)して戦後も映画に出続けたのだろうか。著者が推察するとおり、戦後の活躍はある種の悔悟だったのだろうか。そうだとすれば、自身の出演作や役柄を酷評したのはなぜ……。
    結局、不思議な原節子像のまま。もう一度、『李香蘭と原節子』を読んでみようか。それとも出演した映画を見てみるべきか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    小津との本当の関係、たったひとつの恋、空白の一年、そして引退の真相―。伝説を生きた女優の真実を鮮やかに甦らせた、決定版本格評伝。

  • 美しさ、強さ、優しさ。独身であることに理由が求められるのは何故かしら。

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著者プロフィール

太田・石井法律事務所。昭和61年4月弁護士登録(第一東京弁護士会)。平成30年経営法曹会議事務局長。専門分野は人事・労務管理の法律実務。

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