嘘 Love Lies

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103399520

作品紹介・あらすじ

どんな地獄だろうと構わない。でも、この秘密だけは、絶対に守り通す。刀根秀俊、美月、亮介、陽菜乃は仲のいい友達グループだった。中学2年の夏にあの事件が起こるまでは――恐怖、怒り、後悔、そして絶望。生涯拭えぬ過ちとトラウマを抱えたまま、各々の人生を歩んでいた4人。求め合う体と秘めたる想いが、さらなる苦悩を呼び、暴力の行き着く果てに究極の愛が生まれる。著者渾身の恋愛長編!

感想・レビュー・書評

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  • 複雑な家庭環境故に、幼い頃から友人の居なかった、刀根秀俊は、中2の時、男女3人の友人を得た。

    計算された優等生の正木亮介。
    母親からの過度な干渉を受けている中村陽菜乃。
    由緒ある神社の娘桐原美月。

    4人の長閑な青春の日々が、ある事件によって、崩れてしまう。
    秘密を抱えた4人の苦しみ、絶望、後悔。

    そして、それぞれが選んだ道。
    絡み合った運命が、徐々に、解けて来たとき、感動の涙が出てきた。

    本の重さより重い内容。
    たかだか中学生が抱えなければいけなかった罪。
    それを利用する、ヤクザ。

    「守らなければならない人」の為に、自分を犠牲にしても、守り抜く。
    そんな若者の初ない物語。

    母親のネグレクトを受け、ヤクザに利用されながらも、ひたすら守りたい人を守る、刀根秀俊への、作者・村山由香氏の愛が、ひしひしと感じた一冊。

  • 眼を覆いたくなるような暴力や
    虐待・恐喝・レイプと、
    描かれている禍々しいものの向こうに
    少しづつ見えて来たのは
    不思議なことにとても純粋な魂でした。

    まだ自分が何者かもわからぬ中学生の頃に
    抱え込んでしまった重大な秘密と嘘。
    その嘘も秘密も裏を返すとそこにあるのはやはり
    あまりに拙いけれど、確かに愛であったのでしょう。
    読んだのは暴力を描いた小説なれど
    読後に感じるのは人を思うピュアな心。
    面白くて一気に読めるストーリーでした。

  • 序盤は、曖昧な人間関係の伏線オンパレードで少し混乱。14歳の時に巻き込まれた事件が人生に影を落としている4人の話。俗にいう内縁の夫と母親からのネグレクトされていた時に受けた施しとか、自分のために犯罪を犯したとかで健全ではない恩に縛られた関係。それと子供との無償の愛とか、相手を心から想う純粋な気持ちを秘めつつ踏み込めない関係。これがストーリーの中で混ざりあう独特の世界観に酔えました。登場人物達の繋がりが明らかになり、このドロドロした世界観をどうするんだろうと読み進め。読後は、なんたろ、解放されたというのか、かなり心が晴れたという感覚を味わっています。

  • 長編だけど一気に読めた。
    面白かった。
    恵まれない生い立ちで、中学生からヤクザと関わることになる刀根。
    中学の仲間、淡い想い、不幸な事件、逃れられない宿命、そして実は複雑に関わり合う互いの縁、ラストは一気に、見事に回収される。

  • 九十九の人への執着を感じた。佐々木へ執着するあまり、妹の子の秀俊。佐々木の弟分が可愛がっていた近藤を手の内に入れ、蝕んでいく。人の汚い部分と、深層心理、弱いものを取り込む賢いやり方。
    最低な人間だったけど、人間らしさを感じた。

  • ずっと本読みから遠ざかっていて、暫くぶりに引き込まれた一冊。
    ドロドロしているけど、一気に読めました。
    色々と深いつながりがある中、すんなり読み進められたのは、村山さんならでは。

    やはりこの作家さんが好きだな〜

  • ストーリーはよく練られていてほぼ完璧だと思う。良質な劇場映画を観ていた気分。作者の文章は流れるような安定感があって、読んでいて心地よく前に進んで行く感じだ。村山由佳は、女性の感情の深いところを描かせると本当にピカイチだと思う。

  • 中学時代に仲の良かった4人が中学2年生の時にある事件が起きる。その事件の秘密をそれぞれ抱えたまま、20年後のそれぞれの様子が描かれる。
    普通の恋愛小説を読みたくて、手に取った作品だったのだけど、内容が少しサスペンスタッチでちょっと意外な展開。
    あらすじだけ読むと、別々に人生を歩いてきて、20年後再会したことにより、物語が動き出すと言うパターンかと思っていたら、4人ともずっと人生を共にしている。
    その中でそれぞれが抱えていた「嘘」と言うか秘密が多分この物語の核になるのだろうけど、いろんな意味で意表を突かれた感じがする。

  • 新潮社出版部部長、中瀬ゆかりさんの絶賛に乗っかって読んでみた。
    乗っかって「良かった」
    隠し通さなければならない秘密を共有する4人の中学同級生。彼らのその後の人生は同じ秘密に引きずられながら4人4様の異なった方向に捻れて行く。

  • 重苦しい設定で途中から読むのをやめようかと迷ったが、登場人物の一途さだなぁ、見捨てられずに最後まで。予想を裏切って、うまく納まったから読後感も悪くない。村山作品として秀作の部類かな?ただ、もう少し明るさも欲しいなぁ~
    中学時代の4人組が事件を引きずっての現在、やくざが絡むので残酷な部分も多く、巫女体質は不自然じゃないかとか疑問もあるが、不運、不幸な状況でも純さを失わない登場人物って感じだな。面白いってより、結果として入り込めた。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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