キュー

著者 :
  • 新潮社
3.25
  • (5)
  • (6)
  • (16)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 210
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103367352

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読んでいる途中で、ああ「ニムロッド」と繋がっているんだなと嬉しくなったのだけど、終盤で「いや違う!過去の全作と繋がってるんだこれ!!」と気づいて悔しくなった…「ニムロッド」以外、まだ読んでいないんだもの…。
    読んでいなくても支障はないと思うけども。
    とても感想をまとめることはできないのだけど、あちこちの場面が焼き付いていて、この先も思い出して考えることになると思う。
    そういう作品が読めたことは嬉しい。
    ただ、女性が最初から最後まで聖女的な、ただ見守る受け手だったのは残念。

  • 最初映画みたいでわくわくと思ったけど、その後ずっと単調で長々しく感じた。物語というよりイメージの集合みたいで感情移入できなかった。

  • 第二次世界大戦と現在と700年後の3つの世界が「All Thing」を中心として交互に進行。奇想天外な!と思ったが、「2001年宇宙の旅」で出て来るモノリスのような、人智を超えた「モノ」が案外この世界を支配してるのかもと感じ入った。不思議な余韻。

  • 人類の歴史を俯瞰する小説。
    700年後の人類は、緑色のゼリー状となり岩のような存在になつている。通称、肉の海と呼ばれるそれは、いくつかのパーミッションポインを経た人類の最終の姿である。他の生物がいなくなった世界に、Rejected Peopleと呼ばれる人造人間が寂しさをが抱え黄昏ている。そうした世界が待っている現代に、錐国と等国の勢力争いがあり、それに巻き込まれる主人公たちの物語と言ったところが、この小説のだいたいの内容か。

  • 読書開始日:2022年2月10日
    読書終了日:2022年2月16日
    所感
    著者はどの作品も描きたいことは一貫している気がする。
    描きたい結末に対してアプローチは変えている。
    人間の進化の行き着く先は、偶然性、一回性を排除した世界。全てが明かされた世界。
    でもそこは無である。
    それを防ぐために、上記とは反対のこれまでの世界を維持する存在を対極に起き、どうにか全知に至る無に陥らないようにしていた。
    これは全て、天才ゆえに世界に交わらずオーバードーズを繰り返した立花茂樹の、COLD SLEEPに入った時の妄想だった。妄想でも立派に世界の延命措置を考え尽くしていた。
    どうにも妄想の延命措置すら終わりになった時に選んだ方法、寂しさだけを与えた女型のリジェクトピープルと離島で静かに過ごした。
    寂しさとその寂しさを共有することが、人間の最優先事項であり、円錐の先、知を知り尽くしたゴールなのか。
    著者がこんな感動のラストを目指すかは疑問だが、性善説の自分はこのラストに落ち着く。
    重厚で難解。でもなぜだか心地良いし、自分の世界に対する違和感を言語化してくれる。不思議な人だと思う上田岳弘さん。

    オリンピックの開会式はその国の歴史を振り返る
    他の天体の光を全部かき消して孤独に燃える太陽
    他人に指針を与えるタイプの人間、いわゆる人望、その確固たる物差しで、周囲の者は自分のあやふやな精神を測られることを欲する
    ひとかたまりとしてみられている感じ
    自分だけは全ての物事と関係ない
    たらればを言い出したらとゆな行為にも大義名分を貼り付けられる
    なにか言い訳めいた東京大空襲
    リトルボーイ、蒸発、太陽が2つになった
    予言の成就に魅入られるタイプの人間
    パラノイア
    僕に興味があるというより、確かめるため
    堰を切る
    一回性、偶然性、そういうことを過剰に忌避したから、わたしたちはギムレッツに支配された。そしてギムレッツの重心である祖父は、一回性、偶然性に満ちた過去、ラヴェラーズに願いを託している?
    双眸
    意気軒昂
    発展や進歩は終局と変わらない。求めていたものから逃げることになる。そのことをよく知らないといけない
    生殺与奪
    洗濯機によって、主婦の負担が増す。
    無駄がどんどん省かれることによって、なにか意味のあることをしなければという強迫観念にやられる。携帯電話の出現もそう。どんどん無駄が剥ぎ取られる。
    コミュニケーションに場所も時間も制約が無くなった今、重要なのは想い。相手に割く時間
    人間は暇を嫌う、隙間埋めたがる。適当な文で、会話で、既読で。
    傀儡
    目を覗き込む
    瀬戸際の感触に触れていそう
    約30の嘘
    俎上
    寂寥
    慰撫す
    寂しさの感情=知的生命体らしさ=客観的に眺めたいいこーる
    毛唐人
    不自然であることが人間の発露
    いや、ただ臆病なだけかな
    無くて七癖
    差異を作るための壁建設に精を出していたものたちほど、この廃止を受け入れた。これは恐怖心によるもの
    ギムレット
    全ての望みを叶えられたその後の絶望がある。円錐の先の座標が予定された未来。その一撃がジーニアスルル。レヴァラーズ
    一回性というなの一回性
    セックスイコール肉の海
    一顧だにしない
    知への欲を前にすれば人類の命など
    失敗を前提とするらアジャイル式こそが効率的手段=肉の海
    進みすぎた知は全てを無に返す。そうならないための世界最終戦争=永久に戦争を続ける方法論として推と等の破れ目を作り続けた。
    他社の視点が自分の人格の一部に含まれていると考えるのは結構心地が良かった
    天才は時の流れが遅く感じる。世間との視点が違う。合わそうとしても行動力がらないため、ずっと眠ることを夢見、オーバードーズを繰り返す。恭子は、どのまでも先のことを考えることを勧めた。立花茂樹の始まり?
    お前らはただ盲いているだけ。先先まで想像し尽くしたことはあるか
    私は私であるひつよくはないとじっかんできるけれど、それを突き詰めていった世界の行き止まりを私は経験してしまった

  • 確か、雑誌「ダ・ヴィンチ」の書評見て手に取った。
    がんばって半分くらい読んだけど、、、
    この本、何がおもしろいんだろう?
    評価が良い人も居るので、私に理解出来ないダケなんだと思います。

  • 41もうオッチャンには無理です。ゴメンなさい。かまいたちの、UFJでゾンビに会うネタと同じ不条理を感じる。謝って!

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00593722

    平凡な医師の僕が突然拉致された先では、世界の趨勢を巡る暗闘が繰り広げられていた。その中心には、長年寝たきりのはずの祖父がいるという。そして明かされる祖父の秘密、それは人類を一つに溶かすという使命なのだが――超越系文学の旗手がその全才能を注ぎ、Yahoo!JAPANでの同時連載も話題となった、芥川賞受賞第一作。(出版社HPより)

  • オフィスビルに勤務する医師、立花徹。彼は三十代後半になった今も高校時代に仲良くしていた女性、渡辺恭子をよく思い出す。
    「私の中には第二次世界大戦が入っている」と話す渡辺恭子は男女問わず惹きよせる魅力の持ち主だった。彼女は前世の記憶があり、それは広島で原爆投下で亡くなった女性らしい。卒業前に彼女は姿を消してしまった。

    立花徹はハニートラップにかかり、「等国」に拉致される。そこで知らされたのは、自分の祖父、立花茂樹が等国と敵対する「錐国」の中心になる存在だということ。地下29階に浮かぶAll Things。

    立花茂樹は五十年物間寝たきりだったが、突然起きだして介護施設から消えてしまう。彼は第二次世界大戦の際、石原莞爾と出会って≪世界最終戦争≫、等国と錐国について学んでいた。
    戦後、実業家として活躍した立花茂樹は埼玉県狭山市でAll Thingsを掘り当て、その後ずっと寝たきり状態だった。

    スカイツリーで立花茂樹と渡辺恭子は巡り合う。そして新幹線で≪世界最終戦争≫が起こる八戸へ向かう。等国の武藤と立花徹も二人を追っていく。

    八戸キャニオンの展望台で、≪世界最終戦争≫的な行為が行われ、終わる。そしてそれは彼らが人類であることをやめるのと同じことらしい。
    立花徹は記憶を書き換えられ、今回の件すべての記憶を失っていた。渡辺恭子だけが根源の目で見たことを覚えている。

    700年後、八戸でCold Sleepから目覚めた人間がAll Thingsを使って孤独なRejected Peopleに会いに行く。
    テニアン島にいたのは、原爆投下で亡くなった椚節子と渡辺恭子の記憶を持つRejected People。彼は一緒に過ごし、寿命がきて消えた。

    ---------------------------------------------

    いままでに出版された上田さんの小説、それらのまとめのよう意味合いの物語だったと思う。難解だった。

    石原莞爾、塔、太陽、私の恋人、前世の記憶を持ったまま転生してる人。これまで読んできた本に何度も登場したワードが出てくるたびに、これは!!と思うのだけど、多分ほとんど理解できていなかった。等国とか錐国とかどんどん新しい言葉も出てきてわりとパニックだった。全部つながってるのはわかるけど、どこがどういうふうに、と訊かれると答えられない。
    『異郷の友人』の主人公は石原莞爾だったこともあるし、立花茂樹にした≪世界最終戦争≫の話は予言だったのかな。難しすぎるぜ。

    過去と未来が影響し合う、というか≪時の留め金の解除≫の後では、時間は関係ないのかな。
    むむむ……。
    リジェクテッド! リジェクテッド! リジェクテッド!

  • 20200222 図書館

全19件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上田岳弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×