出版禁止 死刑囚の歌

著者 :
  • 新潮社
4.14
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本棚登録 : 513
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103361732

作品紹介・あらすじ

『出版禁止』は第2弾も、やっぱり、すごかった! 幼児ふたりを殺した罪で、確定死刑囚となった男。鬼畜とよばれたその男、望月は、法廷でも反省の弁をひとことも口にしなかった。幼い姉弟は死ぬべき存在だった、とも――。本書の「編纂者」はこう書いている。「人の悪行を全て悪魔のせいにできるなら、これほど便利な言葉はない」。あなたには真実が、見えましたか?

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、お見事!初読みの作家さんだったので帯の煽り文句に半信半疑になりながら読み始めたのだが、これが面白い!

    途中、違和感を感じる箇所がいくつかあったが、やはりそれは伏線だったようで、見事に回収してくれた。

    何人かの記者たちがある事件について調査し、色んな角度から事件を追うことで真実に迫っていくという形を取っている。
    ある事件とは、幼い姉弟がホームレスの男に殺され、土中に埋められるという凄惨な事件だ。そのホームレスの男は、その後すぐに自首するが、全く反省の色が見えない。
    その数年後、一家3人殺傷事件が発生する。その被害者家族は姉弟誘拐殺人事件の被害者遺族だった。この2つの事件に繋がりはあるのか。

    様々なインタビューにより、事件の外堀が埋まっていくかのように思えるが、事件の真実は二転三転し、全く違った真実が見えてくる。
    事件の真相を知った時、あなたはどう思うでしょうか。

    真実が明らかになった時、これまで自分が思い描いていたストーリーと全く違った結末に愕然とした。ただただやるせない。

  • 前作「出版禁止」でトリックの巧妙さに舌を巻いた作者さんの新たな「出版禁止」
    柏市で起きた2人の子供がホームレスに殺害された事件を追うジャーナリストの記事の形式から描かれ、前作同様、ジャーナリストが事件の世界に引き込まれて行ってしまうのかなぁ、と思っていたが、今回は同じ事件を様々な媒体で取り上げ、それをまとめるような形で描かれる。
    犯人とされた望月は、何故何の罪もない子供を二人も殺したのか?
    多くを語らないまま、死刑判決が下り、死刑が執行される。
    しかし、その翌年には望月が獄中で綴った短歌が雑誌に掲載され、再び事件の謎が浮かびあがるが、やはり動機は分からないまま。
    そして、さらに時は過ぎ、東京向島で一家三人死傷事件が起きる。
    この被害者が柏市の事件の加害者であることで、再び事件の謎に戻る…
    と言うことが繰り返されるので、何度も同じ内容を読まされている気がする。
    しかし、ラストまで読むと、本当に少しずつ事件の真実へのヒントが明かされていることが分かる。
    ラストは死刑囚・望月が遺した全ての短歌10篇が掲載されて終わるのだが、この謎を自分で解くところが何とも面白い!そして、この短歌に隠されたメッセージが見えた時…
    やっぱり、この作者さんはただものではないと思わされる。

  • 体力のいる作品でした。
    お腹が減っても読む手が止められず3時間ぶっ通しで読み終えました。
    それくらいおもしろい。
    メモを取って確認しながら読み進めるこの作業がすごく好き!

    当初は世にも奇妙な〜的なゾッとする話を想定していましたが、全然違う。
    練りに練られたミステリー。
    大好きな短歌が暗号のように使われ、ワクワクした。
    今は謎の解明でスッキリした状態だけど、イノセントデイズを思い出させるやるせなさが残る作品でした。

    望月が唯一微笑んだ姿を想像すると胸がつまる。

  • 柏市姉弟誘拐殺人事件の犯人はなぜ事件を起こしたのか、その謎にせまるところから始まる本書。途中の違和感感じたところも、伏線が最後にきれいに回収された感じ!
    短歌の隠された意味、自分で全て探しきれなかったので、他の方のコメント頼りにしてしまった…。最終的に自分で謎を解き明かすのが新感覚。

  • 幼児兄弟二人を殺した男・望月。法廷でも反省の弁をひとことも口にせず、死刑囚に。編纂者は過去の記事等や望月周辺を徹底的に調べ上げ、最後に導かれたものは…。
    和歌をじっくりじっくりじっくりと深く見ていると…なのですね。何度か前のページに戻って確かめたので一気に読んだ方がいいかも。霧の中にいるような謎。上手に伏線も回収され、いやはやお見事! 心の描写にというのではなく、謎解きで面白かったね。

  • 犯罪ドキュメンタリー風、ミステリー小説の傑作ではないだろうか。
    読み進めるたびに、前提が覆され、真相に一歩一歩近づいていくので、読み手は先が読みたくてたまらなくなる。また、和歌について、わかりやすく学べ、この和歌が重要な鍵にもなっている。
    長江俊和さんの作品は、すでに何冊か読んでいる。「禁止」とタイトルについているシリーズだ。出版禁止とついてるタイトルは3冊あり、そのうちの2冊を読んだ事になる。もう一冊は、文庫になってから読んでみたいと思っている。

  • とてもトリックが凄くて、少し最後は
    前のページを読み返し短歌の暗号を
    考えた。
    物語だが、ルポルタージュ風に書かれた
    事件のあらましは、謎が謎を呼ぶ展開に。
    読む手が止まらない、ミステリー!

  • 読み終わって、実際はどうだったんだろ?とググろうとしたとき、この話がフィクションなんだーって気づきました

  • 最後の和歌にゾワっとしました…!
    以下ネタバレです







    すべては おわった
    もう くいはなき いのちをたつことが
    わたしのねがい わたしのしょくざい
    ふくしゅうは むなしい
    あくまに うちかつため
    にくしみ たちきる
    ぜんぶ わすれて
    すみな きみはいきろ これで ようやく
    たどりつく ふだらくに
    もうすぐ きょうかに あえる

  • 前作の出版禁止より好みだった。
    作り込まれた構成で魅せるミステリーであると同時に、前作のような初心者でもうまくいけば自分で何かの手がかりを発見できるような言葉遊び。最後のトリックは途中でわかったけれど、その背景には気づけずに読んでいて面白かった。

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著者プロフィール

1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」を制作、熱狂的なファンを生む。監督として映画化し、上映。2014年、小説『出版禁止』がヒット。著作に『ゴーストシステム』『出版禁止』『掲載禁止』『東京二十三区女』『検索禁止』などがある。

「2023年 『恋愛禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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