望むのは

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 150
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103349136

作品紹介・あらすじ

隣の家のお母さんは、エプロンを着けたゴリラだった。奇妙な世界の王道青春小説。十五歳。若い人間として生きられる、これが最後の一年だ。歳を取るのが怖い小春は、隣に越してきた同い年の歩くんと出会う。彼はバレエダンサーで、おまけにお母さんはゴリラなのだ! それっていったい、どういうこと――? 部活動、新しい友だち、恋にも似た心の揺れ。少し風変わりな世界で成長する少女の一年を描く長編。

感想・レビュー・書評

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  • 中央校舎の四つ辻では、光まで交差する。天井近くに張り巡らされた窓から、線状の光が百も、二百も差し込んできてそこで交わる。節点ではどんな色も希薄になり、水色にはしゃぐ男の子も、濃く赤く駆け抜ける女の子も、そこを過ぎるとき、一瞬、ただの光になる。ひかり辻、とそれで名付けた

  • 色の描きと何よりも登場人物の個性
    最後の“彼”の登場にはつい声が出てしまった
    小春が歩に絵を見せて打ち明けた時、歩はきちんと受け止めただろうか

    里見先生が良い( ; _ ; )

  • 同作者を読むのは三作目。一作目が異郷ファンタジー、二作目がパラレル現実と来て、今回は現実……に見せかけて不意打ちでファンタジーが突っ込まれていた。比喩かと思ったらゴリラって。
    文体それ自体は変わらず読みやすいはずなのだが、主人公の視点がこちらの見たいところを注視してくれない感じで、どうにも読みづらかった。別の視点があればもう少し立体的に見られた気もするが、「15歳」の狭い視野(あるいは美術家の独自の審美眼)それ自体も重要な要素なのだと思っておく。

    直前に読んだのが『リリース』だったので、また同性愛と周囲の反応に傷ついた人物というモチーフが繰り返されるのかと思ったが、それをいちいち特別なものと取沙汰しているこちらの反応の方が変なのかもしれない。色恋の要素が繰り返されても別に気にも留めないのに。

    他、ほぼ最後のページで気づいたことだが、「歩くん」は「あるくん」と読み間違いかねないのではなかろうか。うっかり読み違えて混乱した。

  • 児童文学みたいな文章で空想の世界に入ってくような話。
    ジェンダーレスとかそういうの好きな方なのかな?
    もうひと息、読ませる何かがほしいとこです。

  • 青春小説。目新しいのは隣の家のオバさんがゴリラだったり先生がハクビシンだったりする事。SF的であり面白いがそこまで。

  • お隣に住むやさしいおばさんはゴリラ(似ているのではなく本物の)で、美術の先生はハクビシン。鯛やらダチョウやら、もう何でもありの不思議な世界に住む15歳の小春。16歳はもう大人と感じている小春は、高校入学の年に、ゴリラのおばさんの家に戻ってきた息子が同じ高校だと紹介される。スラリと細身の歩くん(人間です)と一緒に登校する小春。誕生日順の出席番号から歩くんは16歳だとわかり軽いショックを受ける。小春は3月生まれ。残された子ども時代は短い。高校での新しい友達とその関係を不思議な世界観で描く。

    いやはや、すごいもの読んでしまった。
    歩くんはバレエダンサーで、実はゲイ。そんな歩くんに密かに思いを寄せる小春。小春が心を開いた女友だちの鮎。その鮎に思いを寄せるクラスの人気者・相沢くん。そしてダチョウ!
    もう、読んでみないとわからない。そして、人によっては全くついていけないと感じると思うが、純粋な青春物語なのだ。

    私は好きだ、こういう小説。

  • リリース:益岡さん

  • 15歳。色。絵。山。バレエ。動物。
    不思議な世界だったけど、でも思春期の世界でもあった。
    最後の最後びっくりした。予想してなかった…。

  • 隣の奥さんがゴリラ、という驚愕の始まりの割に、児童小説のようなお行儀の良い物語。

    抽象的すぎて、作者は本人の正解があるのだけどそれが当たってるのかさえわからない。

  • 新聞の書評をみて興味をもったにゃ

    ごりら?!
    ハクビシン!鯛!ダチョウ?!

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著者プロフィール

1981年、千葉県我孫子市生まれ。2013年、「今年の贈り物」で第25回ファンタジーノベル大賞を受賞、『星の民のクリスマス』と改題して刊行。2017年、『リリース』で第30回三島由紀夫賞候補、第34回織田作之助賞受賞。2018年、「無限の玄」で第31回三島由紀夫賞受賞。「風下の朱」で第159回芥川龍之介賞候補。2019年、『神前酔狂宴』で第41回野間文芸新人賞受賞。その他の作品に『ジュンのための6つの小曲』、『望むのは』など。2022年8月、3年ぶりの新作長編『フィールダー』が刊行予定。

「2022年 『無限の玄/風下の朱』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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