胃が合うふたり

  • 新潮社
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本棚登録 : 980
感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103341932

作品紹介・あらすじ

悩みごとはとりあえず、食べてから話そう。ふたりの友情はうまいものと共にある。ストリップ鑑賞の厳選おやつ、銀座絶品パフェめぐり、コロナ禍に交わすご馳走便、人生を変えた日の中国茶、新居を温める具沢山スープ――胃が合う友と囲む食卓は、こんなにも豊かで甘やかだ。人気作家とカリスマ書店員が共にした11の食事から、それぞれの見た景色や人生の味わいまでも鮮やかに描き出す、風味絶佳のWエッセイ集!

感想・レビュー・書評

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  • 作家の千早茜さんと、書店員兼踊り子兼エッセイイトの新井見枝香さんの往復書簡めいた、食にまつわる諸々を中心にしたエッセイ。
    タイトル通り、このお二人は本当に「胃が合う」 お二人で、単に好きな食べ物が同じというわけではなく、量も、食べたいと思うタイミング、食に対する姿勢、全てが「合う」こういう関係ってそうそう無いのでは、と思う。
    基本姿勢、価値観、なども同じ…違う部分はあれども、そこを認め合う、許し合うところまで同じで、こういう相手に巡りあえたお二人をうらやましく思う。
    食べているものもおいしそうで…でも絶対にこのペースについていくことはできないこともよーく分かるので、ただただ指を咥えて読むしかないのです…

  • 【新文化】 - 連載 第62回 - 本屋の新井です
    https://www.shinbunka.co.jp/rensai/honyanoarai/honyanoarai62.htm

    千早茜、新井見枝香 『胃が合うふたり』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/334193/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      猫と本
      【新文化】 - 連載 第63回 - 本屋の新井です
      https://www.shinbunka.co.jp/rensai/honya...
      猫と本
      【新文化】 - 連載 第63回 - 本屋の新井です
      https://www.shinbunka.co.jp/rensai/honyanoarai/honyanoarai63.htm
      2021/12/17
  • 書籍化されるのをとても楽しみにしていた本。
    食べ物についての、Wエッセイ。
    2人が過ごした出来事を、それぞれの目線で読めるって面白い。

    それにしても、よく食べるな~
    細いのにどこに入っていくのかしら。

  • 千早茜さんと新井見枝香さん、二人が一緒に食べたものについて、それぞれの視点と感性から綴られたエッセイ。
    楽しくキャッキャしたグルメレポ的なものを想像していたんだけど、思いの外シリアス調で驚いた。それぞれが大切にする生き方や、友情のあり方にも踏み込んでいて、ところどころでドキッとさせられる。
    食べたケーキの断層やパフェの構造まで細かくメモを取るほどの記録魔だという千早さんが書いた文章に、心に残る箇所があった。

    【 人の記録にはルールがある。まず、決して暴いてはいけない。その人が見せてくれる顔や言動を文字にするだけで、こういう人間だろうと予測をたてることも、話してくれないことを探ることもしてはいけない。自分の意図が絡んできたら、もうそれは記録ではないから。ありのままのその人を観察する。同時に、そばにいることを「許されている」のだと忘れないようにする。人が人といるのは当たり前ではない。】

    これ私も忘れないようにしたい。餌場が同じ野良猫は、食べ終えたらそれぞれのねぐらに帰る。
    人と人との関係性はいつだって変わりゆくし、むずかしいけれど、同じものを食べて同じ美味しさを共有できるというのは、きっと幸せと呼んでもいいものだよね。
    私は誰かとする食事が苦手で(自意識や心配事で味に全く集中できないので)、一人きりで食べるのが落ち着くんだけど、”胃が合う”友人がいたらどれほど楽しいだろう。”胃が合う”って表現、いいよね。

    とここまで書いて、食に関する本ばかり5冊連続だったことに気がついた。そりゃおなかすくわ。 

  • 陳腐な言い方だとはわかりつつ、「色々な人がいるもんだなあ」。

    そんな世の中で相性の合う人合わない人がいるのは当然なのであって、皆と仲良くする必要はないのだな。
    知らない人は赤の他人だから存在を無視するという意ではなく。

    適当な距離を持ち、繋がるご縁を大事にする相手も大事だし、来世でよいご縁があるかもと、そのまま極力関わらずに生きていく相手もいるし…。

    味覚や食欲が一緒に居て負担にならない相手は大事にしたいもの。

    美食家で食べ物のシーン描写が本当に巧い作家千早茜さんと、仕事や知人を通じて仲が深まった元本屋店員であり現踊り子の新井見枝香さんの往復書簡のようなやり取りを1冊にまとめた本。
    千早さんは尾崎世界観さんともそんな形態で小説を一緒に出版された記憶。

    相手に踏み込むか否か、どれほどの距離を保つかどうかは家族であっても答えは難しい。
    でも困ったとき、辛いときに、相手に弱みを見せたくないというくだりはほっとする。

    いつもべったりとか、何事も一緒でという共有共感こそが至上命題のような圧がメディアから流れているから、現実はそうでもないなと再確認。

    食事に関しては、まあよく召し上がること! 量も質も想像を超える。若い頃は食べたいものを食べたいだけと思うが、豪華すぎる食材は身体にも負担がかかることがあるから頻度を気を付けないと、などとコレステロールが急上昇するお年頃のおばさんの戯言ですね。

  • 図書館で借りたもの。
    ストリップ鑑賞のおやつから憧れの高級フレンチまで、胃袋のソウルメイトふたりが共に囲んだ11の食卓を舞台に、心模様や人生の味わいを鮮やかに描き出したエッセイ集。

    同じことについて描いてるのに、それぞれ着眼点が違くて面白い。

    千早さんのTwitterフォローしてるんだけど、夜中にケーキとか食べててなんであんなに細いのか…。
    執筆に糖分使ってるから?

  • 面白い!
    読む場合は家の中か、外ではマスクをすることを強くオススメします。
    お二人の絶妙なやり取りに口元が緩むこと必至なので、電車の中で読むと、周りの目を気にしてしまうでしょう。笑

    普段エッセイは読まないけれど、これを気に開拓してみたい。
    もともと千早さんの本が好きで、どうしてこんなに繊細な文章が書けるのかと思っていたけれど、読んで納得。
    五感が鋭いだけでなく、その表現も細かい。とにかくよく観察している。
    新井さんは初めましてだったけれど、その自由さと飾らない文章にとても好感が持てた。
    お二人共言葉への愛情に溢れているし、食を通じた優しさや思いやりを感じて、とても穏やかな気持ちになる。
    あたたかいなと思う。

    本の中で紹介しているお店は、漏れなく行ってみたいとチェックしてしまうものばかり。
    お二人の他の作品も読みたい!
    間違いなく、読み方も受ける印象も変わるだろう。

  • 千早さんと新井さんは大人になってから知り合い友人となったようですが、2人の関係性を見ているとまるで旧知の仲のように感じる。

    共有してきた時間の長さではなく、密度の濃さなのでしょう。

    「食」はこの2人にとって何よりも好きなことで、何よりも大切な価値観。お互い遠慮せず、好きなものを好きなだけ食べられる相手。人間の本能として食べる行為はとても自然なもので、生存に欠かせないもの。その部分が合う相手というのは何者にも変え難い存在だと思う。

    夫婦だって食が合わないとしんどいって言いますしね。

    「食」から生まれた関係かもしれない。2人の性格的に依存しあって生きるなどあり得ないけど、そんなことではなく心を預けられる関係なのがとても良いと思った。

    胃が合う誰かに私も出会いたい!

    純粋に食べ物のことを語るエッセイというよりは、食べるという行為を通して人物像や人格、考え方、2人の関係性を深掘りする本だった。

  • 胃袋のソウルメイト。書店員の新井さんと作家の千早さん。彼女たちの共通点は「胃が合う」二人の関係は、ドラマ・アンナチュラルを思い出す。ドラマの彼女は「絶望してる暇があったらうまいもの食べて…」と口にしていたが、なんかそんな雰囲気があった。新井さんも千早さんも、なんでこの二人がリレーエッセイ?と思ったが、読み進むにつれ、食い意地のはった二人が、食べることから相手を思い、自分の内面を掘り出していったら、これ公開ラブレターっぽくない?覗き見しているような後ろめたさと、開けっ広げな二人の器のでかさに、ありがとう。

  • 最高のエッセイ!とても面白かった!読んでいる最中がほんわか幸せな気分になれたのは久しぶりな気がして、少しずつ読んでいた。
    書店員、踊り子、作家と3足のわらじを履く新井見枝香さんと作家の千早茜さんの共同エッセイ。とにかく美味しそうで面白い。人間ってやっぱり食べることで幸せ感じるんだと再確認。人の生き方を尊重するって冷たいんじゃなくて逆に温かいんじゃないかと再確認。それぞれの合う関係や距離感で、無理なく付き合っていけるのが一番だなと再確認。
    もう再確認の嵐で、温かい気持ちになった。
    もともと甘いものがあまり好きでは無かったが、この本を読んでパフェを無性に食べたくなった。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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