守教 上

著者 :
  • 新潮社
3.25
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本棚登録 : 143
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103314233

作品紹介・あらすじ

隠れキリシタンたちの魂の叫びが、甦る! 慟哭の歴史巨編! 戦国期の伝来から、弾圧を経て、江戸時代の終わりまで。九州のその村に、隠れつづけたキリシタンたち。殉教する者、転ぶ者、密告する者。史実をもとに、命を賭けて信じ続けた村人たちの姿を、過酷な状況を、残酷な処刑を、心の迷いを、温かい視線で描ききった落涙必至の歴史小説。あなたの知らなかった真実が、ここにはある!

感想・レビュー・書評

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  • 九州の戦国末期から江戸時代のキリシタン歴史小説。

    上巻は戦国末期で時代的には信長の隆興から関ヶ原の戦いまでで、布教が広がってゆくのを感じました。
    とはいえ、九州豊前の庄屋が舞台なので、直接歴史にはかかわらず、あくまで時代に流される人々が描かれる。
    作者の歴史ものは淡々としていて感情移入しずらく、読み進みにくいのですが勉強にはなりました。
    九州は不案内なので地図が欲しかったところです。
    下巻は江戸時代のキリシタン弾圧を描くと思うので気が進まないですが、地図と年表は欲しいですね。

  • 大友宗麟がキリスト教の王国を夢見た九州を舞台に、信長、秀吉の死を経て関ヶ原の戦いが終わるまでの話。バテレン追放令が発せられこれまで順風だった宣教に波が寄せてきた。純真な農民たちの熱心な帰依が印象的。2024.2.9

  • 自分が信じるもの誰にも止められない。下巻へ。

  • 戦国時代のような、混沌とした、秩序なきタイミングだからこそ、
    宣教師たちは日本全国に足を運び、布教活動できたのだ、
    と読み深めるにつれ、そう思うに至った。

  • 歴史の授業でさらっと覚えたことが詳しくわかる。

  • キリスト教が日本にどのようにして入ってきたのか、人々にどのように受け入れられてきたのか、ずっと関心があったので、本作により、その一端を垣間見ることができた。

  • 3.2

  • 海を渡り日本に来て、日本の言葉や文化を覚え、いろんな土地を渡り歩いて神の教えを伝えてゆく神父や修道士たち。その説教を聞き、農民たちは信者となってゆく。百人を超える農民たちがそれぞれ布や木で手作りしたロザリオを持ち、皆で祈りの言葉を唱えるシーンは、布教してきた神父たちにとっても圧巻であっただろうな。淡々としていたけれど読みやすかった。今度の日曜日は教会に行こう。

  • 宗教心は無い。歴史ものは好きだけど、些細な史実を列記する史書的作風は苦手。本当なら、そんな私には苦手なタイプの作品のはずなのですが。。。
    先日、九州北部豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市の近郊を舞台に、秀吉による禁教令から明治の解禁までの300年にわたり、一村全体で宗旨を守った隠れキリシタンの歴史を綴った上下2巻の大作です。
    禁教が動きにどんどん追い詰められながら「胸の中で祈り信じる事さえ守れば良い」と踏み絵もし、寺へのお参りもする。そうして守った信心です。
    印象に残るシーンがあります。藩から仏教寺院への宗旨人登録を要求され、村の代表として庄屋が僧侶の元を訪れる場面です。村人たちが互いに助け合って見事に農作業をし、他村の飢民や捨て子を受け入れてきた事を数十年にわたって見てきた僧侶は「それは仏の教えと同じだ」とキリシタンの教えを守りながら末代にわたり宗旨人登録を請け負うことを約束するのです。
    この作品に描かれる江戸時代の禁教令だけでなく、十字軍遠征、昨今のイスラムテロなど、宗教には悲惨な歴史が付きまといます。それらは他教を排斥するという狂信的な信仰や、信仰の陰に隠れた権力争いが元になって居ます。ほとんどの宗教は本来、自らを律し、他者に慈愛を持つことを説いています。他教への寛容さがあれば、もう少し世界は良くなるのでしょうが。
    この物語は、帚木さんの故郷である福岡県が舞台です。隠れキリシタンというとどうしても長崎が頭に浮かび、福岡県でもそうした村が有ったことを浅学にして初めて知りました。また登場人物の一人・ペドロ岐部神父の事も初めて知りました。江戸初期に国外追放され、マカオで日本人は司教になれないと悟ったペドロ岐部はローマを目指します。インドのゴアからは単独で水夫や駱駝曳きをしながら日本人として初めてエルサレムに足を踏み入れ、その後ローマまでたどり着きそこで司祭になります。その後、ますます禁教令の厳しくなった日本に潜入し、最終的には仙台で殉教するという凄まじい人生を送った人です。幾つか小説化されて居るようなので、そのうち読んでみたいと思います。

  • 久々に帚木蓬生を読んで、しかも殉教がテーマなので重くて疲弊。
    大量の歴史事実を詰め込むために文章がどうしても説明的になっていて、それも読んでいて苦痛。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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