ランドラッシュ: 激化する世界農地争奪戦

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103280712

作品紹介・あらすじ

ウクライナでは欧州・中東諸国、インドが農地争奪戦を展開。極東ロシアでは韓国が国ぐるみで巨大農場を建設。アフリカでは中国が密かに農地を囲い込む。将来の食料不足に備え農地を獲得すべく各国が入り乱れて「ランドラッシュ」を繰り広げる中で、日本はこの現実にどう向かい合おうとしているのか-。「食料問題」という観点から人類の未来を検証する。

感想・レビュー・書評

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  • 社会
    国際

  • 日本の食料自給率が低い事に感心を持つ方必読。
    海外における農地確保による食料危機への対策は是なのか。考えられる一冊。

  • Amazonの商品説明の意味が分からない。NHKで放映したのが2011年、新しい情報を追記した本書の出版日が2010年?

  • グローバル化の中で地域の幸福を得るためにはどうすべきか考えさせられる。今のグローバル化は必ずしも、地域のくらしを尊重していないのではないか。

  • USや穀物メジャーの作った仕組みが歪んできているということ? それにしても韓国とわが日本のスピード感の違いがこんなにあるとは

  • ・中国・韓国と日本の、勢い・危機感の差に愕然
    ・他国の土地・作物を搾取する、ということをモラルが低いと捉えるのか、ビジネス・国家戦略と捉えるべきなのか悩む
    ・熱いハートとスキルを持つ官僚の方。見習いたい。
    ・そういえば社会の授業でウクライナは土地が肥沃、と習ったなー。もう忘れてたわ。

  • 農地争奪戦-ランドラッシュ。

    農地を獲得する側と提供する側。
    それは経済格差を孕んだ力関係をも明確に浮かび上がらせる。
    食糧危機を経験した先進諸国が食糧確保のため、途上国の土地を買上げるor借上げる、その構図が「新植民地主義」との批判をも生む。

    先進国側から投資を呼び込むための新たな「資源」として農地を差し出す途上国側、国をあげて法整備を行い、それはしばしば弱者の生存さえも脅かす。

    狙われる土地としては東欧、ロシア、アフリカなど。「広大な」土地を一度に獲得でき、現地人の農業形態が「肥沃な」土壌を現代に至るまで残してきた、この2点が外国企業としてはおいしい。

    現地に利益を還元する仕組みを確立しない限り(利益追求型のクソ資本主義の奴隷である企業が取り仕切る限り)ランドラッシュは否定的なニュアンスでもって語られる以外にない。しかしこれもある一部の人たちの間での話であり、私達、消費者は商社が買上げた穀物の値段のウラにランドラッシュという問題があることなんて気付きもせず、その上下する値段にばかり気を取られ一喜一憂するのである。
    そうやって構造的な暴力の中に投げ入れられている私たちには何ができるのだろうか。

    穀物メジャーあたりについても調べなければ。

  • 食糧危機と金融危機に端を発する、
    グローバルな農地収奪合戦。
    それを「ランド・ラッシュ」(農地の)と呼ぶ。

    なぜそれが拡大しているか、
    実態はどうなのか。
    現地へのルポを軸に生々しく描く。

    ウクライナで大豆栽培に挑む日本農家、木村愼一と
    外務省職員、井上隼一の姿も象徴的に描かれる。

    ランド・ラッシュの背景には、
    農作物の不足というよりは、
    「行き所を求めるマネー」のほうが本質的なことと
    して横たわっていると感じる。

    農作物にも相場があり、乱高下が見込まれれば当然、
    投機的マネーが流れてくる。
    そして、農作物を作り出すための土地そのものも、
    マネー・ゲームの材料となる
    (これが本書で学んだ一番大きなことかもしれない)。

    穀物で利益を上げたい者、それは純粋に生産者や流通者たち
    だけではない。
    最もグローバルな市場経済のファクターとして、そこに
    群がるものは世界にたくさんいる。

    そして、安全保障的な捉え方をされる産品であることが、
    さらに問題を複雑化させている。

    マネー・ゲームはやめなさい、などと叫んでも無駄である。
    市場経済とは、それを認めているのだから。

    生産者に最大限に利益と安心をもたらす方法はないのだろうか?
    ひとつの私の考えは「市場に乗せない」ことである。
    プレミアム価値をつけ、あるいは消費者などチェーンの川下の
    プレイヤーたちと直接取引をすることによって、
    グローバルなマネーゲームの影響をなるべく避ける。

    上場会社を非上場にするのに似ているかもしれない。

    日本の農家、農地はランド・ラッシュとどうかかわるだろうか。
    もっともっと現実を見つめて、考える必要があると思った。

  • ・ランドラッシュに狂奔する国家と企業
    ・土地への資本投下を誘致する国家
    ・土地を売却、もしくは奪われる農民
    ・食料安全保障に向けて動き出す外務省
    ・利益第一で動く商社
    ・国内農業の保護に汲々としている農水省
    ・そもそもの食料システムの変革を求めるIAASTD

     ランドラッシュ自体は悪いことではないのは確か。食糧増産は必要なことだし、資源の有効活用にもなる。雇用も生まれるし経済も活性化する。もちろんその影に土地・資源の酷使、農民からの収奪という側面があるのも分かる。だからそれに対するルールをつくろうという外務省のスタンスが一番自分の考え方には近かった。
     国連の専門家はこれに対してそもそもの問題は貧困と不平等にあると言う。大規模生産者に小規模生産者が駆逐され、輸入依存となり穀物価格に翻弄されるようになってしまうと。対等な貿易関係を作ることが大切と。
     この本では2つの意見が対立軸として描写されるけど、両方推し進めればいいんじゃないのと私は考える。貧しくて資本のない土地に金のある企業が国際ルールを守った上で進出する。先進国は関税・農業への過剰保護を取りやめて途上国の農産物と対等な土俵で勝負する。こーするのが全体最適じゃねぇかなぁ。先進国だって消費者の利益>生産者の不利益になるはず。国の政策としてはやりづらいのはわかるが。

  • インドは現時点では食糧をほぼ自給している。インドはこれから、水が問題になる。
    中国のアフリカ進出。アフリカはランドラッシュの最前線。
    進出側は相手国のために生産しているわけではない。
    ランドラッシュの標的となったスーダンやカンボジアはいずれも飢餓に苦しむ国である。お構いなしに外国勢が食料を確保しようとする。
    日本と韓国は穀物自給率において似たもの同志。いずれも約8割を輸入に頼っている。

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