鬼神の如く: 黒田叛臣伝

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103280132

作品紹介・あらすじ

戦う相手は殿でも、ましてや将軍家でもない。――神君家康公だ。「謀反の疑いあり」――黒田家家老・栗山大膳は、虎視眈々と大名家の取り潰しを狙う幕府の次なる標的は自藩だと悟りながら、主君を訴えた。九州の覇権を狙う細川家、ルソン出兵を志す将軍・家光、そして藩主・黒田忠之に命を追われるなか、不敵に振る舞い続ける大膳の真意とは? 黒田騒動を舞台にまことの忠義と武士の一徹を描く本格歴史長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 葉室麟作品は、20冊目。
    江戸時代の「黒田騒動」を基にしている。同騒動は詳細の記録が、黒田家/幕府側の双方で証拠を破棄(隠滅)させたらしく、詳細不明のため、歌舞伎や小説でいくつも題材になっているらしい。本作もフィクションであるが、とても楽しむことができた。
    葉室さんの作品らしく、栗山大膳の生きざまが際立っている。(人はここまでできるのか?、と感じさせる)江戸時代の死生観や仁義といったものが、武家のあり方を考察させるのであろうか。

    印象的な点は下記。
    ★「兄上はなぜ間者などお引き受けになられたのでしょうか」「師匠に命じれたので、弟子として叛くわけにはいくまい」
    ★「武蔵が強いのは、奴が死人だからだ」
    ★やらずともわかることです。何事もやってみなければわからないのは愚か者です。
    ★人も梅も同じだな。美しいものには香がある。
    ★乱を起こすに、若いも年寄りもない。ただ、おのれの行く道を信じて迷わぬ者だけが力強き者に抗して立つのだ。
    ★神を見失った者のそばからは、神は立ち去れます。どこまでも神を信じることでしか。ひとは生きていけないのです。
    ★命を拾ったのは徳川家だ。…。ルソンへ兵を出せば、豊臣家同様、滅んでおったであろう。
    ★一揆が強くなるわけは、…、怒りでござる。ひとは人である限り、おのれを虐げる者への怒りを忘れませぬ。…。それゆえ、命を賭して戦い、決して退きませぬ。

  • 黒田騒動。黒田家家老の栗山大膳が、虎視眈々と取り潰しを謀る幕府に対抗し、謀略の限りを尽くす。面白いね、まだ、戦国の動乱の気風残る時代に生きる人たちの生き様が、すごく魅力的。いっきに読みました。

  • 黒田藩の重臣・栗山大膳が黒田家を改易の危機から守る物語だが,大膳のやり方が尋常ではない.杖術に長けた深草卓馬と妹の舞は夢想権之助の弟子で,大膳の護衛役となる.竹中半兵衛に連なる采女正の存在がつかみにくかったが,宮本武蔵や柳生十兵衛が出てきたのには少し驚いた.天草四郎も出てくる.江戸城での訊問では,大膳が鮮やか戦略で黒田藩の改易を回避する.このような重臣を持っていた黒田藩の人材の層の厚さ,さらには大膳の苦言を最終的に尊重した黒田忠之の君主としての矜持が凄いと思った.

  • 大河ドラマがきっかけで黒田家の存在を知り、その2代先の黒田と栗山の話を読んだ!!
    大膳が面白かった(((^-^)))
    あと舞と卓馬もいいキャラだなって思った!
    ただ歴史小説はどこまでが本当かわからなくなる…(..;)笑

  • 戦国乱世は終わっても大名の戦いはまだ続いておるというこだ。将軍家にしても邪魔になりそうな大名は片端から取り潰しておるのだ。兵を動かさぬ戦が行われていると心得ねばならぬ 武門は泰平の世であっても常に戦をしているのだ。武士が生きるとはそういうことだ。それが嫌なら武士をやめでなければならぬ

  • 初め登場人物の名前が全然覚えられず苦労した

    特に劇的に進んで行くのではなく粛々と進むので読み進めるのがなかなか困難だった

    天草四郎と黒田のつながりは興味深かった
    史実はどうなのかしらべてみたい

    栗山大膳という男、賢く主君にも臆せず物を言う豪胆さ、恐ろしい男だ

  • かなりエンタメ要素の強い黒田騒動.栗山大膳の超人的な懐の深さにびっくり.天草四郎がさらっと登場するが,少し消化不良の感がある.

  • 黒田騒動を描くのかと思いきや、天草四郎なんかも出てくるわ、宮本武蔵も出てくるわ、結構総花的なお話。もっと黒田家の話が知りたかったー

  • 黒田騒動が舞台。
    黒田家を取り潰そうとする幕府。
    大名取り潰しであぶれた浪人たちを手兵にしてルソン討伐を企む竹中采女正。隣藩の勢力削ぎ落としを画策する細川家が刺客・宮本武蔵を送り込む。柳生但馬、十兵衛親子が家康が黒田家に出した感状を奪おうと暗躍する。この窮状に黒田家家老・栗山大膳は主君・忠之、幕府に謀反の疑いありと訴える。果たして大膳は忠臣か逆臣か。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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