一瞬の夏

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103275091

作品紹介・あらすじ

強打をうたわれた元東洋ミドル級チャンピオンが四年ぶりに再起する-栄光を夢見るボクサー、手を貸す老トレーナー、見守る若きカメラマン、プロモーターとして関わる"私"。偶然に出会った男たちが、いくつもの亀裂を乗り越えて"一瞬の夏"を疾走する。第一回新田次郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読んでみたいと思っていてようやく読めた。

  • 2023/3/17
    カシアス内藤

  • フィールドワークで推薦されている本である。研究書というよりはノンフィクションである。
     カシアス内藤というボクサーがカンバックして試合を行い、最後に韓国の朴との試合で負けるまでのストーリーである。どこがフィールドワークであるかよくわからないであろう。「かつて白い海で戦った」というノンフィクションの5巻で読んだ。
     これでフィールドワークに関する本はほとんど読んだことになる。

  • これはボクサーのカシアス内藤(元・世界ミドル級1位)という実在の人物と沢木さんが行動を共にし、詳細に記したドキュメンタリーである。

    著者の沢木さんにかかると、ただの黒人のハーフのボクサーが落ちぶれて、突然再度復帰し、その試合の行方を書いただけなのに、ものすごくドラマチックでまるで小説を読んでいるみたいに気になってどんどん引き込まれてしまう。

    沢木さんって本当にすごいな。

    だって私は女で、特にボクシングなんてこれっぽっちも興味も知識も持ち合わせていないのに、夢中になってしまったのですから。

    そして沢木さんのその行動力に驚かされるね。
    人間味もあるし。

    いやぁ、第一回新田次郎文学賞だけあるわ。

    実は、ボクシングだからと後回しにして読まなかったのですよ。
    ボクシング好きでも嫌いでも、とっても面白く読めます。

  • 再起に賭けるボクサーと、作者自身も含めたその周辺の人間像が丹念に書き込まれている。「敗者の美学」みたいなものを感じさせられた。

  • アリスの「チャンピオン」はこの作品からインスパイアされた?

    今なら「Number」あたりで普通に読めそう

  • 主人公カシアス内藤、トレーナーのエディ、カメラマンの利郎、そして著者である沢木耕太朗。無垢の信頼心で結ばれたこの四人が過ごした過酷な一年、そして一瞬の夏。
    ボクシングに偶然の一発は無い。
    たった一発に多くのボクサーが沈み、ほんの一握りの者だけが浮上する。それが力量であり、それこそがボクシングなのである。
    この世は報われない努力で満ち溢れている。それを承知の上で、この闘いに内藤が勝つことこそ 〈 poetic justice (詩的正義) 〉 ではないかと猛烈に思った。

  • 「やはり、それでも勝たなければならないのだ…。」

    再起を賭ける天才ボクサー・元東洋ミドル級王者カシアス内藤と、彼の夢に関わる人々の力強くも儚い物語。熱いタイトルが秀逸すぎの、沢木耕太郎による私ノンフィクション作品。

    カシアス内藤の内面から発せられる言葉の数々には、正直心打たれます。その分、最終話に向かって徐々に崩壊していくそれぞれの想いと繋がりは、読んでいて辛い。自分の生きかたに躓きかけたとき、再読すべき本のひとつだと僕は思います。

  • 作者の執筆に対する考え方に深い感銘を受けました。
    自分で見たものしか書かない。
    どれだけ難しいことか。
    挫折した時に読んで、凄い元気になりました。

  • 沢木耕太郎の自己陶酔的な面がプラスに働いている作品。熱い本だ。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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