人を殺すとはどういうことか: 長期LB級刑務所・殺人犯の告白

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103136316

作品紹介・あらすじ

二件の殺人を犯した男は、己の罪とどう向き合ったのか。無期懲役囚が獄中で綴った驚愕の手記。

感想・レビュー・書評

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  • ほとんどが反省しない。

    著者に対しては不愉快な感情しか生まれない。

  • 他の著書の内容が良かったので本書を手にしましたが、犯罪者のオナニーエッセイという感じで、非常に不快な内容でした。
    とにかく、文章のいたるところから、自分はすごい、他の奴らとは違う、みたいな主張が滲んでいます。
    「二人目の妻とは子を作らないと約束して一緒になりました。妻は…(略)…四度妊娠しましたが、…(略)…全て中絶して貰っています」の部分では吐き気がしました。

    とは言え、検察の論告で衝撃を受けた場面や、受刑者を客観的に分析しているところなど、良い意味で心に残る部分も多くあります。
    特に、60代のヤクザの組長Kは印象深かったです。

  • ★はつかなかったけれど、犯罪者を見る目がついて勉強になった。本当に殺人犯が書いているのかという声もアマゾンなどではあったが、取りあえず破綻とか矛盾は感じなかった。多分同著者の他の本も読みます。

    ***以下抜き書き**
    ・ここでは心の病んだ人は、私も含め大勢いますが、その病み方は千差万別です。病気というなら覚醒剤、窃盗、強盗、殺人等どれも病気なのでしょうが、強姦と放火に限ってはそれが異質なように思えるのです。他の病がドライ系(そんなものはないのですが)だとすると、放火と強姦はウェット系のような感じです。何かじとっと沁み込んでいくみたいな感じです。
    (人嫌いで人付き甲斐が下手で暗い。常に抑圧され心の中に不満を一杯抱えて上手にそれを排出できない感じ)

    ・受刑者の中には、ほんの一握りだけですが、反省しているということ自体に自己満足していたり、酔っている人も見られます。浅い反省や贖罪の念で、償いをしてる気になって自虐的に喋ったり事実以上に己を悪く言うのですが、じっくりその言葉と行動、そして言葉の表現の強弱を追うと自己満足、つまり反省しているんだという行為で止まっているのです。いつしか被害者や遺族への慰謝の心は霧散しているのです。

    ・ずっと以前にトルストイの『戦争と平和』を読んだことがありましたが、ロシアの貴族でロシア軍の将校でもあるピエールが捕虜収容所に入れられた時に幸福を知ったという記述がありました。一字一句まで正確ではないですが、幸福は自分自身の中にあり、一切の不幸は欠乏からではなく過剰からくるというようなことが書いてあったと思います。当時の私は、これが感覚として理解できず、不自由な収容所で貴族でもあるピエールがこんなことを思うのは無理があると解釈していましたが、かなり遠回りしたにせよ、今やっと分かった気がします。

  • 自分でも自分の心はわからない。
    だから、外からはさらには・・・

  • ノンフィクションの、無期懲役囚による手記。

    著者は服役するあいだに自分の行為がとても罪深いものだったと感じるようになり、「贖罪とはなにか」「自分はどう生きるべきか」を考え続けてきたそうだ。

    中盤では親しく話すようになった囚人のケースを紹介しているのだけど、それによって「犯罪」が決して遠い世界のものではないと感じてしまったり(いつ誰が被害者になったり、あるいは加害者になるかもわからないのです)、それにこれを書いている人は現に加害者なのだと改めて感じてしまい、怒りや嫌悪感がこみあげてきて、ちょっとハードだった。

    手記の終盤で、彼は
    「殺人という行為は、実行した本人より周りの苦悩の方が圧倒的に多いのです。」
    といっている。
    当たり前のことじゃないか、と思うけど、これって殺人に限らず、あてはまるかもしれないと思う。
    悩みの深さは本人しかわからない、というようなことを言うけど、わからないからこそ本人以上に思い悩んで心配してくれたり、ずっと見守ってくれている人がいるはずなのだ。

    こんな風に、命や生きることについて考えることができたのでさいごまで読んでよかったかなと思う。

  • まず最初に、これLさんのこと書くために書いてない?と思った。好きなのが分かる文章だった。

    胡散臭いと思いつつ手に取ったので想定外にしっかりした文章で楽しく読めた。
    人殺しをした人間はどういった考えを持ちがちなのか少しだけ分かった気がする。

  • 社会
    思索

  • 服役中の殺人犯による自叙伝。もちろんペンネーム。『反省させると犯罪者になります』の中で紹介されていた。「人」を理解するのに役に立つのではないかと思い、読むことにした。

    書評はこちら↓
    http://naokis.doorblog.jp/archives/asakatsu_spicy.html「女のカラダの悩み」と「殺人犯の告白」について〜東京朝活読書会「テーマ:刺激的な本」(4月28日)より。

    <目次>
    はじめに
    第一章 二つの殺人事件を起こすまで
    第二章 長期刑務所の生活
    第三章 殺人犯の肖像(上) 堅気の受刑者たち
    第四章 殺人犯の肖像(下) ヤクザ受刑者たち
    第五章 一生を刑務所で暮らすと決めた
    あとがき

    2014.02.12 『反省させると犯罪者になります』の中で取り上げられている殺人犯・美達大和氏の著書。
    2014.04.22 読了
    2017.11.13 社内読書部で話題になる。

  • 著者は、2人を殺した無期の受刑者。前半は、彼の生い立ちや、その刑を受けるまでの経緯について。後半は、彼と同じような刑に服する人々の観察記。これによると、人を殺すような人は、どれだけの刑罰を受けようとも、反省することはまれで、従って更正もほぼ不可能。どうしようもないほど、社会常識や公共の福祉を理解できないそうである。まあ、あえて言われなくても、そう思ってはいたが、実際にそうであると言われると、やるせない気がします。

  • 二人を殺害し無期懲役で服役中の著者が自己の犯罪を分析すると共に所内で出会った殺人者を観察、分析。殺人者については堅気と所謂ヤクザを区分して書いているがこのセグメンテーションが理解を容易にしているようにこの著者の頭脳明晰ぶりが強烈な印象でまるでジャーナリストによるルポのようなこの本は、通常では取材できない社会の一部を切り取った貴重な資料である。

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著者プロフィール

美達大和
1959年生まれ。無期懲役囚。現在、刑期10年以上かつ犯罪傾向の進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で仮釈放を放棄して服役中。罪状は2件の殺人。ノンフィクションの著書に『刑務所で死ぬということ』(小社刊)のほか、『人を殺すとはどういうことか』(新潮文庫)、『死刑絶対肯定論』(新潮新書)、『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)、『私はなぜ刑務所を出ないのか』(扶桑社)、小説に『夢の国』(朝日新聞出版)、『塀の中の運動会』(バジリコ)がある。また「無期懲役囚、美達大和のブックレビュー」をブログにて連載中。http://blog.livedoor.jp/mitatsuyamato/

「2022年 『獄中の思索者 殺人犯が罪に向き合うとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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