男子の本懐

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103108139

作品紹介・あらすじ

途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である-。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、首相・浜口雄幸と蔵相・井上準之助は金解禁を断行した。性格も境遇も正反対の二人の男を軸に人間の生きがいとは何かを静かに問いかける、城山文学の真骨頂。歴史の教訓によって現代を照らし出す新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 緊縮財政と行政整理による〈金解禁〉。それは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して、昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が、いかにして一つの政策に生命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説。 --このテキストは、文庫版に関連付けられています。

  • 名作。大感動。

  • 当時の金解禁政策が結果として愚策と評価されてしまったかもしれないが、浜口雄幸と井上準之助は素晴らしい人間だったに違いない。この物語からは、そんなオトコをみた感動もあったが、”政治”の難しさも感じた。現在の日本は、当時と非常に似ている状況にある。大不況、大地震、中国との摩擦など、とても似ている。消費税増税などは、金解禁とは全く違うが緊縮金融政策として強行したような部分は近い状況にある、ように見える。野田総理が浜口を目指しているとしたら、志は是非ともそうあって欲しいが、将来、消費税増税などの関連政策が愚策であったといわれないことを願いたい(少なくとも戦争開戦にまで結びつくようなことにまで発展するようなことはないと信じたい)。

  • 読了。浜口雄幸と井上準之助の金解禁に命をかけた人生を描いた一冊。以前に高橋是清を読んでそれはそれで納得したけど、この二人も自分の考えに責任を持って生きている。政治家の生き方って壮絶だな。全く正反対(高橋是清と井上準之助)の二人だけども、軍部を困った存在としているトコは共通している、というかこの時代の話はほとんど全てが軍を悪者に描かれる。これも戦後のアメリカ発の思想ではないかと思う。今度は軍を中心にした話を読んでみよう。

  • 経済に疎い自分には知らない用語が多々ありましたが、濱口元首相と井上元大蔵大臣の壮絶な人生物語として非常に面白く読めました。

  • 政治家・浜口雄幸と井上準之助の、自分の信じた道に正面から挑む生きざま。これに、ぐいぐい引き込まれました。

  • 高知行きが決まり、ご当地本を探していて見つけた一冊。
    第27代総理大臣浜口雄幸。
    井上準之助と共に、筋の通った生き方を通した二人。
    東京駅で暴漢に撃たれた時に、言ったセリフがタイトルの言葉。
    ケガの養生中に、鳩山一郎に国会へ出るよう執拗に叩かれたため状態が悪化し、亡くなったのだとか。
    正面突破で正論をぶつける二人、オトコマエだ。
    今の世に、こんな政治家はいるのだろうか?

    日本の国も大きく変わろうとしている今、鳩山一郎の子孫は、さてどう舵をきっていくのだろうか?

  • 城山三郎さんが亡くなられたこともあり、読んでみました。
    男子たるもの、かく心構えをもつべしと感じました。

  • 先月逝去された城山先生、ご冥福をお祈り申し上げます。<br><br>第27代目総理大臣、「ライオン宰相」こと浜口雄幸と、その右腕で大蔵大臣の井上準之助。昭和の二大左派。金解禁にかける男たちの情熱、友情…!!めちゃくちゃカッコイイ!!<br><br>あと個人的に、日銀時代の井上さんが上司に疎まれて米国に左遷されたとき、ホームシック?になったためか奥さんにメロメロ〜vvな手紙送りまくってたのに爆笑した!!この手紙の挿話だけでこの本の価値が飛躍的にあがってます(腐った見方)。マジ、すばらしい萌え政治家だよ浜口&井上…

  • 井上準之助と浜口雄幸、タイプは異なるものの、金解禁に殉じた2人の政治家(ステイツマン)を描いた名著です。
    井上準之助のOne Thing Onceの教え、二人の徹底した公に生きる姿勢、常に勉強を忘れない姿に、自分の生き方について考えさせられます。2/8

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著者プロフィール

1927年、名古屋市生まれ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。57年『輸出』で文學界新人賞、59年『総会屋錦城』で直木賞を受賞。日本における経済小説の先駆者といわれる。『落日燃ゆ』『官僚たちの夏』『小説日本銀行』など著書多数。2007年永眠。

「2021年 『辛酸 田中正造と足尾鉱毒事件 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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