ラザロの迷宮

著者 :
  • 新潮社
4.02
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本棚登録 : 914
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103066088

作品紹介・あらすじ

すべての推理が裏切られる快感! 誰もこの「館」(ミステリ)から抜け出せない――。湖畔にある洋館を友人と共に訪れた月島。殺人事件の犯人を当てる、脱出型の謎解きゲームが開催されるという。だが、男女8人の参加者たちの前で、本当の殺人が起きる……。戦慄の最終章に備えよ! 大人気シリーズ「心霊探偵八雲」著者が全身全霊をかけて読者に挑む、一頁先さえ予測不能のノンストップ・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 館での脱出型の謎解きゲームのはずが… 凝りに凝った構成とストーリーが秀逸なミステリ #ラザロの迷宮

    ■あらすじ
    推理作家である主人公は、友人と脱出型の謎解きゲームに参加するためペンションを訪れていた。発生する事件の謎を解くといった趣旨のゲームだったはずが、発見されたのは凄惨な死体だった。
    一方、とある警察署に、全身が血みどろになった男が意識朦朧の状態で入ってくる。事件の関係者もしくは被害者か、刑事たちは尋問を試みるが、彼は記憶喪失になっているようで…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    かなり凝ったプロット、読者を楽しませる工夫がいっぱいですね。神永先生の力がこもった作品だと思います。

    シンプルかつストレートな描写やセリフが多く、淀みなく世界観が脳みそに入ってきます。登場人物のイメージもつきやすく、人間関係も分かりやすいのが魅力ですね。

    本作の一番の推しどころとしては、やはりストーリーです。館もの+警察ものかしら? と思いながら読み進めることになるのですが、いや待て… 途中からは想像してなかった道のりを歩むことになるのですが、詳しくは読んでのお楽しみです。プロットの組み方、筋の通し方、伏線、複雑な人間関係を描き切ったのは、まさに作家デビュー20周年のプロの技でした。

    物語の出来がよいので忘れがちなんですが、事件の裏にある背景が筆舌に尽くしがたい。現実にここまでの悲劇は少ないのでしょうが、近い事件は現代でも、たびたび聞く内容です。情報化社会が生み出した口実としての正義… 人間の厭らしさや下品さには際限がなく、ほんと反吐がでそうになる。

    そして終盤にかけては、本書の装画のように美しく幕間を引いていく。事件に関係したすべての人たちが、これからの人生、幸せになってほしいと願いました。

    ■ぜっさん推しポイント
    私はこれまで、大きな事件や事故に巻き込まれたことはありません。日々流れてくるニュースを見ても、胸が痛むことはあっても、実害はまったくなく、無責任に言いたいことを言っている。こんな安定した生活を送れているのは、ただ運が良かっただけなんだろうと思っています。

    もし家族や友人が事件に巻き込まれてしまったら、自分はどんな人間になってしまうか、どんな行動をしてしまうか、想像だにできません。強く生きることの難しさが胸に沁みました。

  • 脱出型のミステリーかと思いきや多重人格とカウセリングする刑事の解決を期待したが、刑事にも妹を殺されている暗い過去があったり、玲子とナミの関係が最後にどんでん返しでひっくり返されたのは本当に驚きました。完全に騙されました

  • 神永学さん作家デビュー20周年記念作の『ラザロの迷宮』の概要と感想になります。

    概要です。
    新人賞を獲った若きミステリ作家の月島は、友人の永門と湖畔に建つ洋館で開催される謎解きイベントに向かっていた。一方で行方不明になった女性の事情を訊いていた刑事の美波紗和は、署に突然現れた血塗れの男性の「助けて」という呟きに困惑する。まったく異なる出来事は次第に1つの結末へ導かれていく。

    感想です。
    『心霊探偵八雲』シリーズが話題の神永学さんは今作が初読みですが、何回転したか分からなくなるほどの想像を超えた作品でした。ミステリ愛好家の読者さんは賛否両論あるかもしれませんが、夕木春央さんの『方舟』の作風が好きな方にはオススメします♪
    (ネタバレではないので、ご安心下さい。)

    • bmakiさん
      初コメですo(^▽^)o

      おっと、マメムさん、★5ですね!!
      マメムさんで、ミステリで★5とくれば、これは間違いなさそう!

      今...
      初コメですo(^▽^)o

      おっと、マメムさん、★5ですね!!
      マメムさんで、ミステリで★5とくれば、これは間違いなさそう!

      今日ノワール・レヴナントが家に到着しました。
      凄い厚み!もうこれだけでワクワクします!

      数冊本を隣の叔母から借りてしまったので、その後に読みますね!いつもご紹介頂きありがとうございますm(_ _)m
      2024/05/09
    • マメムさん
      bmakiさん、コメントありがとうございます。

      私の中での通称『デブっちょ』が届いたのですね♪
      辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』も...
      bmakiさん、コメントありがとうございます。

      私の中での通称『デブっちょ』が届いたのですね♪
      辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』もデビュー作が上下巻で分厚かったですが、厚さ並みの面白さがあったので『ノワール・レヴナント』のレビューを楽しみに待ってます♪
      本作は読者を選ぶかもですが、次第に浮き上がる真相にゾワッとする系統でした♪
      2024/05/09
    • マメムさん
      bmakiさん、あっ、初コメ返し頂いちゃいましたね(^_^;)ありがとうございます^_^
      bmakiさん、あっ、初コメ返し頂いちゃいましたね(^_^;)ありがとうございます^_^
      2024/05/09
  • 話の繋がり方と展開の仕方が衝撃的で、とんでもない発想力のもとに生まれた作品であるように感じました。

    本作は主人公である小説家が大学時代の友人とともに、脱出ゲームに参加することから始まります。その脱出ゲームでは、3件の殺人事件が発生すること、殺人犯が集められた6人の中に存在し、その犯人を当てるまで、屋敷から出られないというルール。

    そしてとうとう、「第1の事件」が発生してしまうのですが、なんとそこの事件現場にはリアルな死体が置かれていて…
    そして主人公たちは、館から脱出するため、連続殺人犯を特定しようと捜査を開始するというストーリー。

    ミステリーを読むようになって、ミステリーっていうのは本当に無駄の少ないジャンルの小説だと思うんですよね…
    会話1つとっても、日常を描く以外に物語の進行に関係のない会話やストーリーを妨げるような無駄な会話をしてはいけないような暗黙のルールが存在してる世界だと思うんですよ。

    そういううがった偏見のもとで読んでしまってるので、途中でなんとなく察しがついちゃったってことがありまして…
    この内容はあんまり好きじゃないけどまさか、この部分が繋がらないよなって思ってたら案の定なこともあって…

    作品としては面白いとは思うのですが、個人的には好みでなかった感じがありました。まぁ展開の察しがついても、その設定を受け入れる大人の心を持ってれば評価も少しは変わったのかな…

  • ミステリー書評
    読書レベル 初級〜中級
    ボリューム 478頁
    ストーリー ★★★★
    読みやすさ ★★★★★★!
    トリック  ★★★
    伏線・展開 ★★★★★★!
    知識・教養 ★★★
    読後の余韻 ★★★★
    一言感想:
    特殊設定ミステリが好きな方、ガツンと打たれるような刺激的な展開が好きな方にオススメの一冊です!

    こんな展開もありかーっと。特に第五章で、「んっ?」、「えっ??」、「えーーっ!」となること間違いなし!ノンストップで最終章まで突っ走る感じでページを捲る手が止まりません(笑。「ラストの衝撃」に備えた分かりやすい伏線も何箇所かあるので、勘のいいミステリ好きの方なら気付くかも。

    文章は、難しい表現もほとんどないので、読書初心者の私でもサラサラっと読めました。ただ、最後の解決編あたりから、「ラストの衝撃」を味わうためか、犯人当てのフーダニットがあっけなく解決してしまったなーと感じました。

    (私の知識レベルですが)読後に何となく、「シックス・センス」「白夜行」「エレファントヘッド」を思い出しました。共感していただける方がいたら嬉しいです。

  • 面白かったー。
    複雑だったけど二転三転あり、最後の最後まで騙された。
    まったく!予想できず、、、(⁠+⁠_⁠+⁠)
    現実ではちょっと考えられないけど映画とかにはなりそう。

  • 初神永作品!
    いやー、凄かった!!!
    半分くらいまでは(ん?どういう事だ?)と思いながら読んでたけど、後半からの怒涛の展開に脳が痺れました
    何度も心の中で叫び最後の最後までたっぷり堪能させていただきました

    こんな作品を生み出す神永先生凄すぎる!

  • きっちり騙されました。途中まではあっていたのに、違和感もあったのに、どんでん返し続きで最後には予想もつかない結末へ。
    大きなトリックが好きだから、これくらい大胆にやっていただけて大満足です。

  • 湖畔の洋館とある事件を追う警察の両方を
    交互にかなりテンポよく描いているので
    序盤からハマって読み進められます。
    まさにどんでん返しの連続、真実によりひとつに
    繋がりました。

  • 二つのストーリーが繋がっていくのは予想内ですが、想像を遥かに超える世界観でした。
    まさに迷宮!最後にタイトルの意味がわかりました。
    凄く考え込まれた素晴らしい作品でした。

    • はるさん
      私も読んでみたいです。
      私も読んでみたいです。
      2023/12/04
    • しゅんさん
      また借りてきます。
      また借りてきます。
      2023/12/04
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著者プロフィール

2003年『赤い隻眼』でデビュー。改題した「心霊探偵八雲」シリーズでブレイク。様々なエンタテインメント作品を発表し続けている。

「2023年 『怪盗探偵山猫 深紅の虎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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