紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 127
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103060802

作品紹介・あらすじ

『源氏物語』の作者・紫式部の肉声が甦る。一千年を繋ぐ魂のトリビュート。一条天皇の后が里帰り先で臨月に。その父で朝廷の最高権力者・藤原道長を始め、皆が固唾を飲んで見守る中、后に仕えるわたしはなぜかブルーで、グルーミィ。そのわけをあなたにお伝えします。二〇二四年大河ドラマで大注目、世界的文学を書いた当時の最先端女性のすっぴんダイアリーを、現代の「同業者」がリ・リリース!

感想・レビュー・書評

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  • 紫式部本人による紫式部日記、ということで、所々補足があって理解しやすい作りになっている。
    紫式部が小式部内侍のことがとても好きなこともしみじみ伝わってくるし、清少納言に対する苛立ちも現代的で面白い。
    けれども使っている言葉が「ワイフ」「グルーミィ」など、度々普段自分は使わないものに置き換えられていて気が散ってしまった。

    具体的にいうと、90ページの「大晦日の夜には鬼やらいがある」のところなんて、原文が「うちとけゐたるに」(くつろいでいたところに)が「いずれにしても、いつもはどこか冷めているわたしは、けれどもこの瞬間は、ただの冷静(チル)な物腰よりもチル・アウトをもとめていた。そう、くつろぎ。実際にそうしていた」ととても長く捕捉されていて、尚且つチルアウトと言われてもピンと来ず、余計にわかりにくく感じてしまった。
    逆に今10代20代の女性ならわかりやすいのだろうか。

  • TBSラジオアフター6ジャンクションで
    柴田元幸先生がおすすめの本を紹介するというので、どんな翻訳ものかと思ったら、
    古語から現代語への翻訳だった!

    柴田先生が言うには、古川日出男さんが、紫式部に憑依して現代語訳した。

    ということでした。

    まさに。
    最初に私たちにむけて古語の基本的なことを簡単に説明してくれてるんです、紫式部姉さんが。

    女房といったら、どの男のワイフ?と考えたりしませんか?それはゆゆしい事態です。局と口にしていたら、あなたはツボネとはなんだろうと眉をひそめますよね?
    とこんな感じで。
    局とは、しきられた部屋。
    房というのも同じ。
    つまり、女房と局は同じ女性のための仕切られた部屋。でも、女人たちのこともまた女房という…
    分かってるようで分かってなかったですありがとう姉さん。

    そして自己紹介。
    私は宣孝のワイフでした。998年にむすばれ、1001年に彼は死んだ。わたしは以来、ずっとシングル・マザーです。

    彼女はいつもブルー(感傷的)で、グルーミィなんです。なんか、素敵じゃん

    紫式部日記は紫式部さんが中宮の女房になってから書いているんですね、
    前半は中宮さまのご出産の様子がドラマチックに描かれ、周りの方々の事を敬ったり憧れたりというかんじ。

    しかーし、後半怪しくなります。
    有名な和泉式部や清少納言批判もありますが、
    ライバルの斎院さまの女房たちのはなしがいちばんおもしろいところ。
    いわゆる「日本書紀の御局」とはこのあたり。悪口をいいふらされるのです。

    まひろの弟、あのダメ弟 惟規の恋人、中将の君という女。この子が問題なのだ。

    憂し。

    ぜひ、中将の君があからさまに書いた手紙を、どこかから入手した紫式部姉さんのお怒りを読んでみてくださいね。

    ほんとジェンダー平等について書かれているわ。

    ラストに、殿である、道長とのやりとりもなんかほのめかしています。
    式部姉さんったらそれ、匂わせって言われちゃいますよ。

  • とてもアクロバティックな現代語訳に思えるので、これはもう訳と言うより二次創作の域にまで片足突っ込んでるのかもしれません。けれど少なくとも、著者が伝えようとした紫式部日記の最もおいしいエッセンスは、現代の感覚でリアルに瑞々しく受け取れるように書かれていると思いました。
    読まれることを意識して書かれた、挑発的な日記文。「憂し」=「グルーミィ」、ことごとくクールな感性の紫式部の格好良さが感じられました。

  • おもしろい!
    翻訳本だ

  • 紫式部がルー大柴に…?
    日記上での紫式部は結構陰鬱(悪口&自虐)で、大河の「まひろ」とは結びつかず。ここからどんどん心がしんでゆくのか…?見逃せない!(←大河の感想になってしまった)

  • 2024年、大河ドラマとしても話題の紫式部。その紫式部日記を現代語訳、そこに著者の見解も交えた作品。かなりの超訳と感じるが、現代の若い人にはわかりやすいかもしれない。ただ、当時の風習や簡単であっても良いので、相関関係が理解できていないとわかりにくいかもしれない。

  • 平家物語の犬王の時のような、軽い口語なのですらすらと読めた。エキスをギュッとしたような印象なので、逆に全文はどんなだろう?と気になる。
    また、自作解題という名の後書き?が面白い。紫式部=パンク姉さん!紫式部トリビュートも読まなければ。また、批評を受けたという短編は書籍になってるのかな?気になる。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著作に『13』『沈黙』『アビシニアン』『アラビアの夜の種族』『中国行きのスロウ・ボートRMX』『サウンドトラック』『ボディ・アンド・ソウル』『gift』『ベルカ、吠えないのか?』『LOVE』『ロックンロール七部作』『ルート350』『僕たちは歩かない』『サマーバケーションEP』『ハル、ハル、ハル』『ゴッドスター』『聖家族』『MUSIC』『4444』『ノン+フィクション』『TYOゴシック』。対談集に『フルカワヒデオスピークス!』。CD作品にフルカワヒデオプラス『MUSIC:無謀の季節』the coffee group『ワンコインからワンドリップ』がある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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