華岡青洲の妻

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 67
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103011170

作品紹介・あらすじ

世界で初めて全身麻酔に挑み、乳がんの摘出手術に成功した江戸後期、紀州の名医、華岡青洲。その成功に不可欠だった麻酔薬の人体実験に、妻と母は進んで身を捧げた。だが、美しい献体の裏には、青洲の愛を争う二人の女の敵意と嫉妬とが渦巻いていた…。著者の没後20年を記念して、新装版で甦る日本文学の作品。

感想・レビュー・書評

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  • 2022.03.10 図書館

  • 嫁姑の恐ろしい闘い…!!タイトルからは予想していなかった内容でした。有吉佐和子さんの人間観察力と描写力がすごい。

  • 昔ドラマで見たことがあって、読んでみたくなった。姑と嫁の水面下の戦いが怖ろしい。紀州弁がその怖ろしさをさらに増幅させている。
    女の人のさまざまな感情を細やかに表現する有吉佐和子さんの文体が好き。

  • 日本の医学界に素晴らしい人物がいると知り、勇んで読んだ。

    たぶん医者という視点でみていくと素晴らしい人物なのでしょう。

    しかし有吉佐和子はその妻と姑との静かな確執を中心に据えているため、読んでいて震え上がった。青洲の妹の小陸が死に際に加恵に語った言葉が当時の女の地位を示していてつらかった。

    初めて有吉佐和子を読んだが、とても読みやすかった。改版には語彙説明がついていて、馴染みのない単語を理解しながら読み進められた。

  • 世界で初めて全身麻酔による乳岩治療に成功した医者として,医学関係者の中で知られるだけであった華岡青洲の名を一般に認知させることとなった一冊です。
    妻加恵の身体強健で気丈な性格は,とりもなおさず,姑於継のいうことに素直に従うだけとはいかず,姑と妻の壮絶な争いとなります。
    有吉佐和子の緻密な心の描写には,読む者を嫁姑問題のまっただ中にひきこんでしまうんですね。
    恐ろしい~作品でした。

  • 於継も加恵も凛としていてかっこいい。夫息子のため、嫁姑の対抗心のため、自身を捧げることができるのか…華岡青洲も自身の研究の為に母嫁を使うというのはどういう気持ちだったのか…
    2012/10/14読了

  • コンセプトコーナー2012年 7月「主人公はお医者さん~医者として、人として、医療と向き合う人々~」の選書です。

  • 有吉さんの作品からは、感じ取ることがたくさんありすぎて、心の中がよく分からなくなる印象をうけることが多い。この作品で感じたことは、嫁姑関係は難しい、どれだけ夫に尽くしたとはいえ、妻の貢献は夫ほど注目されないということ。姑と加恵が争ったり競ったりする場面で、加恵がどれだけのくやしい思いをしていたのかは感じ取れた。しかし、彼女が夫の薬の実験によって失明した時には、彼女の狼狽がまったく感じ取られなかったのは、彼女の強さゆえだったろうか。

  • 家庭を守る女達と、自分の道に生きる男。そのどちらもが強い精神力を持っていた時代の話です。於継と加恵の憎しみ合いは明らかに出さないからこそ恐ろしく、でも美しくも感じられるのです。表面的には男のため、実際には自分達の存在意義を賭けた戦いなのに決して下品にならない。はしたない真似はしない、という当時の人のプライドのようなものが見えるのです。思ったことをすぐに口にするのも魅力だけれど、慎みや我慢強さなどの文化も大事じゃないかと考えさせられました。青洲のためを思って、という建前の争いを醜いと思う人もいるかもしれないけど、それをいったら二人の女性を利用して麻酔薬を作った青洲もずるい。加恵は於継に勝ったのを後ろめたく感じていたようだけれど、それは誰しも持っている感情だと思います。

  • 医者の嫁とその姑の話が主。所々で、ドキッとしました。

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著者プロフィール

昭和6年、和歌山市生まれ。東京女子短期大学英文科卒。昭和31年『地唄』で芥川賞候補となり、文壇デビュー。以降、『紀ノ川』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』『複合汚染』など話題作を発表し続けた。昭和59年没。

「2023年 『挿絵の女 単行本未収録作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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