(霊媒の話より)題未定: 安部公房初期短編集

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 227
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103008118

作品紹介・あらすじ

2012年、新たに発見された幻の短編「天使」をはじめ、19歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」を収録。戦中から戦後にかけて、作家デビューの時期に執筆されながら、生前未発表のまま残された10編と、敗戦で混乱する奉天を舞台にした「鴉沼」を採録。やがて世界に名を馳せる安部文学の生成期の息吹を鮮烈に伝える初期短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 凝縮された安部公房。久々にがっつりときめきました。
    何周もしてるのにずっと飽きない安部公房。
    「天使」は新潮でも読んだけど一番安部公房っぽいな。
    「終わりし道の~」とかも読んでる人には意外性はあまりないかもしれないけど、安部公房の二面性(あとがきによると。私は二面性とは思わないが)が楽しめる作品集。
    「第一の手紙~第四の手紙」が一番よかったな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「久々にがっつりときめきました。」
      読みたい、、、
      「久々にがっつりときめきました。」
      読みたい、、、
      2013/03/28
    • 美希さん
      >nyancomaruさん☆

      安部公房好きなら読むべきです!
      図書館で借りたんですが、購入も検討しています。
      >nyancomaruさん☆

      安部公房好きなら読むべきです!
      図書館で借りたんですが、購入も検討しています。
      2013/03/29
  • TVで砂の女の番組を見て、積ん読になっていたこの本を思い出し読んだ。作家のデビュー前後の未発表作品(やその断片)を纏めた一冊だが、既に安部公房らしいシュールな世界を舞台とした物語が繰り広げられている。太平洋戦争の敗戦前後の数年間の混沌の中だから、こういう世界観が生み出されたのかなと思った。

    #安部公房 #題未定 #安部公房初期短編集 #新潮社 #読書 #読書記録 #読書記録2022

  • 難しくて半分ぐらいしか意味を咀嚼して読めなかった。

  • ふむ

  • 気に入ったのは虚妄、題未定、鵜沼。

    恋人関係寸前の男女が登場人物として出てくることも多い。 しかしどこか片方(特に男性側)は独りよがりで、共感性に乏しく、同時に残酷さ、未成熟な攻撃性さを持っている。
    この未成熟な攻撃性や独りよがりさは他の短編の登場人物も然りであって、共感的な他者(家族や女性)を傷付ける。
    そして救済はなく、独りよがりなまま傷付いた(傷付けた)者が残る。
    この短編集に出てくる人物達は「会話」をしない。会話に見えるのは「独り言」であって、感情の共有は一切なされていない。まさに未熟なモノローグ、未成熟な攻撃性に支配されていると言える。
    楽しい物語では無い。

  • 文学

  • 発売当初に購入したものの長らく積読になっていたものをようやく読了した。これを読むにいたるまでに新潮文庫で出ている安部作品はあらかた読み終えたので、満を持して。(『夢の逃亡』『ユープケッチャ・カーブの向こう』『けものたちは故郷を目指す』『死に急ぐ鯨たち』を積読、『未必の故意・緑色のストッキング』『幽霊はここにいる・どれい狩り』、『石の眼』、『飛ぶ男』はまだ手に入れていない)私が安部公房を読み始めたころにはとっくに亡くなっており、これ以上彼の作品は読むことは出来ないのだな、と思っていただけにこの未発表作品集は一安部公房ファンとしては嬉しい。しかしながら安部本人の心証を考えると未発表作品が死後世に送り出されるということは墓を暴かれることに近いのであろうと思ってしまう。未完作品だったり序盤や終盤が失われていたりする作品も収録されておりこれは本意ではないんだろうなぁと思ってしまう。第一絶筆でもなければ生前世に出回らなかったということはなんらかの瑕疵があると安部本人が感じていたからではないのだろうか。「第一の手紙~第四の手紙」は続きが読みたかった。「悪魔ドゥベモォ」はこのなかでは一番好きだ。『他人の顔』や『壁』につながる部分が見受けられこの短編集は習作に近いものであるのでマニア向けだろう。「キンドル氏とねこ」あたりでだいぶ方向性が定まってきておりこれを昇華させたのが『壁』であろう。この話は好きだった。安部公房のまだ作家としてこなれていない若き日が知れる貴重な資料だが小説として発表するには至らない作品でもある、と感じる。

  • 未発表作品が見つかったというニュースを新聞で読んで以来、いつか読まねばと思っていた一冊。
    「燃え尽きた地図」「人間そっくり」「笑う月」あたりの作品を十代の頃に貪った自分としては、久し振りに著者に会えた気持ちでして、ページを繰る手も勿体無いとか思いながらも止まりませんでした。
    未完成や冒頭が不明だったり途中が不明だったりしている作品もありましたが、若き日の安倍公房の足跡を辿るには結構な御馳走でした。圧し掛かってくる自意識だとか、気恥ずかしくなるようなセリフ回しや詩、ちょこちょことした漢字の使い方。ああ、大好きだったなあ…。
    タイトル作品の他には「天使」「白い蛾」あたりは優しさが有り、「タブー」「虚妄」あたりは、らしい作品だなと思いました。

  • クロッキーでもない、荒く描いたデッサンでもない。
    安部公房であり、安部公房でない。
    観察される側から観察する側へ、外側の世界から内側に、安部公房らしくなさが安部公房に、いつの間にか、薄皮一枚でべろりと、あっという間に反転する様は以降の作品に同じ。
    この時代はまだ小脳レベルで書くには至っていなかったのかな、それでも、彼にとっては。

  • 若き安部公房は、すでに安部公房そのものだった! 没後二十年記念出版――。昨年、新たに発見された幻の短編「天使」をはじめ、十九歳の処女作「(霊媒の話より)題未定」など、戦中から戦後にかけて執筆されながら、作家生前は発表されなかった十編に加え、敗戦で混乱する奉天を舞台にした稀少な一編「鴉沼」を収録。やがて世界に名を馳せる安部文学の、まさに生成期の息吹きを鮮烈に伝える短編集。

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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